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 脳機能イメージングによる幾つかのデータは前者の立場を支持している。たとえば、異なる身体部位の動作を表す動詞(例.噛む、蹴る)を読むときは、それらの各身体部位(例.顏、脚)を制御する[[運動野]]の領域が活動するという報告がある<ref><pubmed> 14741110 </pubmed></ref>。これは動作動詞の理解が運動システムを駆動することで実現されるという仮説と矛盾しない。
 脳機能イメージングによる幾つかのデータは前者の立場を支持している。たとえば、異なる身体部位の動作を表す動詞(例.噛む、蹴る)を読むときは、それらの各身体部位(例.顏、脚)を制御する[[運動野]]の領域が活動するという報告がある<ref><pubmed> 14741110 </pubmed></ref>。これは動作動詞の理解が運動システムを駆動することで実現されるという仮説と矛盾しない。


 一方で、動作動詞の理解は視覚や運動のモダリティ固有の神経回路には依存しないという研究も存在する<ref><pubmed> 21486297 </pubmed></ref>。これによると、単語の意味は左側頭葉、[[頭頂葉]]および[[前頭前野]]のモダリティ非依存的な神経システムにおいて理解される。また[[意味認知症]](semantic dementia)の研究に基づき、モダリティに依存しない意味情報のハブが側頭葉前部にあるという提案も為されている<ref><pubmed> 18026167 </pubmed></ref>。
 一方で、動作動詞の理解は視覚や運動といったモダリティ固有の神経回路には依存しないという研究も存在する<ref><pubmed> 21486297 </pubmed></ref>。これによると、単語の意味は左側頭葉、[[頭頂葉]]および[[前頭前野]]のモダリティ非依存的な神経システムにおいて理解される。また[[意味認知症]](semantic dementia)の研究に基づき、モダリティに依存しない意味情報のハブが側頭葉前部にあるという提案も為されている<ref><pubmed> 18026167 </pubmed></ref>。


 しかし現時点において、上述した2つの立場のいずれかを棄却するような決定的な証拠はない。[[意味記憶]]が前頭葉、側頭葉、頭頂葉といった広い領域に分散して表現されていることはおそらく確かであるが、意味の表象や処理に関する詳細な脳内機構については更なる研究の進展を待たねばならない。
 しかし現時点において、上述した2つの立場のいずれかを棄却するような決定的な証拠はない。[[意味記憶]]が前頭葉、側頭葉、頭頂葉といった広い領域に分散して表現されていることはおそらく確かであるが、意味の表象や処理に関する詳細な脳内機構については更なる研究の進展を待たねばならない。
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