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ただし、神経心理学やリハビリテーションの分野においては遂行機能とも訳され、前頭葉損傷による高次脳機能障害の説明概念として機能しており、目標設定や、行動の抑制・制御が行えるかといった行為能力に重きが置かれている。ただし、遂行機能の検査として使われているものはWCSTなど、実行機能測定にも使われる課題と基本的に同一であり、概念そのものが異なるわけではない。 | |||
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< | <br> (執筆者:松吉大輔 担当編集委員:定藤 規弘) |
2012年6月28日 (木) 18:56時点における版
英語名:executive function, executive functions
実行機能 (じっこうきのう)、とは、複雑な課題の遂行に際し、課題ルールの維持やスイッチング、情報の更新などを行うことで、思考や行動を制御する認知制御システムである[1]。その神経基盤は前頭前野 (prefrontal cortex) に存在すると考えられている[2]。遂行機能あるいは実行制御 (executive control)、認知制御 (cognitive control) などとも呼ばれる。
代表的な行動課題
ウィスコンシンカード課題
ストループ課題
心理学モデル
Baddeleyのモデル
詳細は中央実行系を参照
MiyakeとFriedmanのモデル
発達
児童
思春期
成人
老年期
神経機構
訳語の妥当性
類似概念である中央実行系にも言えることであるが、「実行」という名前はついているものの、この概念は必ずしも何らかの行為の実行をモデル化したものではない。「統御」あるいは「執行部」「管理職」など、高次からの情報管理・制御という意味を持つ他の訳語の方が、概念が指し示すニュアンスに近い。実際、中華人民共和国においては、執行機能という訳語があてられている。
ただし、神経心理学やリハビリテーションの分野においては遂行機能とも訳され、前頭葉損傷による高次脳機能障害の説明概念として機能しており、目標設定や、行動の抑制・制御が行えるかといった行為能力に重きが置かれている。ただし、遂行機能の検査として使われているものはWCSTなど、実行機能測定にも使われる課題と基本的に同一であり、概念そのものが異なるわけではない。
関連項目
参考文献
- ↑ A Miyake, P Shah (Eds)
Models of Working Memory: Mechanisms of Active Manitenance and Executive Control
Cambridge University Press:1999 - ↑ 2.0 2.1
Miyake, A., Friedman, N.P., Emerson, M.J., Witzki, A.H., Howerter, A., & Wager, T.D. (2000).
The unity and diversity of executive functions and their contributions to complex "Frontal Lobe" tasks: a latent variable analysis. Cognitive psychology, 41(1), 49-100. [PubMed:10945922] [WorldCat] [DOI] - ↑
Friedman, N.P., Miyake, A., Young, S.E., DeFries, J.C., Corley, R.P., & Hewitt, J.K. (2008).
Individual differences in executive functions are almost entirely genetic in origin. Journal of experimental psychology. General, 137(2), 201-225. [PubMed:18473654] [PMC] [WorldCat] [DOI] - ↑ A Miyake, N P Friedman
The nature and organization of individual differences in executive functions: Four general conclusions
Current Directions in Psychological Science, 21(1), 8-14:2012
(執筆者:松吉大輔 担当編集委員:定藤 規弘)