「グリア細胞」の版間の差分

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====神経伝達物質受容体の発現====
====神経伝達物質受容体の発現====
20世紀末まではもっぱら、ニューロンの支持細胞としての機能のみが注目されていたアストロサイトであるが、実は1980年代後半にはこの細胞にグルタミン酸受容体、GABA受容体、セロトニン受容体、ノルアドレナリン受容体など様々な神経伝達物質受容体が発現していることがすでに報告されている。この頃から、分子生物学的に神経伝達物質受容体の存在を実証する方法が確立され、アストロサイトにはGタンパク質共役型受容体が分布していることが明らかにされてきていたのだ。現在ではプリン受容体、アセチルコリン受容体、ヒスタミン受容体、ドーパミン受容体の発現も確認されている。もちろん、すべてのアストロサイトに発現しているのではない。しかし、主要な神経伝達物質のほとんどがアストロサイトに発現する可能性があるのだ<ref><pubmed>3117429</pubmed></ref>。
20世紀末まではもっぱら、ニューロンの支持細胞としての機能のみが注目されていたアストロサイトであるが、実は1980年代後半にはこの細胞にグルタミン酸受容体、GABA受容体、セロトニン受容体、ノルアドレナリン受容体など様々な神経伝達物質受容体が発現していることがすでに報告されている。この頃から、分子生物学的に神経伝達物質受容体の存在を実証する方法が確立され、アストロサイトにはGタンパク質共役型受容体が分布していることが明らかにされてきていたのだ。現在ではプリン受容体、アセチルコリン受容体、ヒスタミン受容体、ドーパミン受容体の発現も確認されている。もちろん、すべてのアストロサイトに発現しているのではない。しかし、主要な神経伝達物質のほとんどがアストロサイトに発現する可能性があるのだ<ref><pubmed>3117429</pubmed></ref>。
[[ファイル:Kudo Fig6.png|thumb|right|350px|'''図6 G-タンパク質共役型グルタミン酸受容体を介したアストロサイトのカルシウムオシレーション
[[ファイル:Kudo Fig6.png|thumb|right|350px|'''図6 G-タンパク質共役型グルタミン酸受容体を介したアストロサイトのカルシウムオシレーション'''<br>初代培養海馬細胞に蛍光カルシウム指示薬fura-2を負荷して、NMDAとt-ACPDの作用を検討した後MAP2抗体とGFAP抗体で、それぞれニューロンとアストロサイトを同定した。黒枠:NMDAまたはt-ACPDにカルシウム応答をする細胞。赤枠:t-ACPDによってアストロサイトに引き起こされたカルシウムオシレーション(動画参照)。]]
'''<br>初代培養海馬細胞に蛍光カルシウム指示薬fura-2を負荷して、NMDAとt-ACPDの作用を検討した後MAP2抗体とGFAP抗体で、それぞれニューロンとアストロサイトを同定した。黒枠:NMDAまたはt-ACPDにカルシウム応答をする細胞。赤枠:t-ACPDによってアストロサイトに引き起こされたカルシウムオシレーション(動画参照)。]]
====細胞内カルシウム濃度の変化====
====細胞内カルシウム濃度の変化====
 受容体の発現があったとしても、それが機能的に意味を持っているかどうかはわからず、多くの神経研究者は注目することなく時が過ぎた。というのも、アストロサイトは電気的にはまったく不活性であると報告されており、確かに、深い静止膜電位は持つものの、通電してもまったく応答することはない<ref><pubmed>5966434</pubmed></ref>。電気生理学が脳研究の中心的な解析手法であった当時、こんな不活性な細胞が伝達物質受容体を発現していたとしても意味がないと考えられたのも不思議はない。
 受容体の発現があったとしても、それが機能的に意味を持っているかどうかはわからず、多くの神経研究者は注目することなく時が過ぎた。というのも、アストロサイトは電気的にはまったく不活性であると報告されており、確かに、深い静止膜電位は持つものの、通電してもまったく応答することはない<ref><pubmed>5966434</pubmed></ref>。電気生理学が脳研究の中心的な解析手法であった当時、こんな不活性な細胞が伝達物質受容体を発現していたとしても意味がないと考えられたのも不思議はない。
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====グリア伝達物質の遊離====
====グリア伝達物質の遊離====
[[ファイル:Kudo Fig7.png|thumb|right|350px|'''図7 グリオトランスミッターとトライパータイトシナプスの概念'''<br>ニューロンの終末(①)とスパイン(②)の間でのシナプス情報伝達に加えて、そのシナプスを包むアストロサイト(③)とニューロン間の情報伝達調節機構が組み込まれたシステム取り入れた概念。アストロサイトから遊離さる伝達物質はグリオトランスミッターと呼ばれる。]]
 アストロサイトがモノアミン刺激によってGABAやグルタミン酸を遊離できることは、カルシウム濃度上昇の発見以前に報告されていた<ref><pubmed>3005511</pubmed></ref>、<ref><pubmed>2575232</pubmed></ref>。このような神経伝達物質遊離がカルシウムの上昇によって引き起されるのか。また、それによって周辺のニューロンに影響を与えることができるのか。これらの証拠があれば、ニューロンからアストロサイトへの情報伝達ばかりではなく、アストロサイトからニューロンへの逆行性情報伝達が証明できる。この点も比較的簡単にクリアされたのだ。アストロサイトにおけるカルシウム濃度上昇がグルタミン酸 、ATP、D-セリンなどの分子を遊離できること、これらの直接的にも間接的にもニューロンの活性に影響を与えることが証明されている(図7)<ref><pubmed>12927771</pubmed></ref>。
 アストロサイトがモノアミン刺激によってGABAやグルタミン酸を遊離できることは、カルシウム濃度上昇の発見以前に報告されていた<ref><pubmed>3005511</pubmed></ref>、<ref><pubmed>2575232</pubmed></ref>。このような神経伝達物質遊離がカルシウムの上昇によって引き起されるのか。また、それによって周辺のニューロンに影響を与えることができるのか。これらの証拠があれば、ニューロンからアストロサイトへの情報伝達ばかりではなく、アストロサイトからニューロンへの逆行性情報伝達が証明できる。この点も比較的簡単にクリアされたのだ。アストロサイトにおけるカルシウム濃度上昇がグルタミン酸 、ATP、D-セリンなどの分子を遊離できること、これらの直接的にも間接的にもニューロンの活性に影響を与えることが証明されている(図7)<ref><pubmed>12927771</pubmed></ref>。
 グルタミン酸(glutamate)は脳内のシナプスの70%で興奮性伝達物質として使われている分子である。従って、これを遊離できることはアストロサイトから周辺のシナプスに情報を伝達できることを意味する。
 グルタミン酸(glutamate)は脳内のシナプスの70%で興奮性伝達物質として使われている分子である。従って、これを遊離できることはアストロサイトから周辺のシナプスに情報を伝達できることを意味する。
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==オリゴデンドロサイト==
==オリゴデンドロサイト==
===名称と形態の特徴===
===名称と形態の特徴===
オリゴデンドロサイト(oligodendrocyte; oligodendroglia):この名前はアストログリアに比べて突起が少ないことに基づいている(図8)。日本語では「希突起神経膠細胞」と訳されている。この細胞は前述のようにカハールの弟子である、リオ・オルテガによって発見された(1928)、オルテガはこれらの細胞を第三の脳細胞として発表する。実は彼が第三の脳細胞と分類した中には後述のミクログリア(microglia)も含まれていたのだ。この発表は師であるカハールには受け入れられず、リオ・オルテガは破門の憂き目にあう。
[[ファイル:Kudo Fig8.png|thumb|right|350px|'''図8 オリゴデンドロサイトの形態'''<br>髄鞘を形成した状態(A)としていない状態(B)(共にガラクトセレブロシド(O1)抗体による免疫染色)。A: 池中一裕先生提供、B: 馬場広子先生提供]]
 名前はアストログリアに比べて突起が少ないことに基づいている(図8)。日本語では「希突起神経膠細胞」と訳されている。この細胞は前述のようにカハールの弟子である、リオ・オルテガによって発見された(1928)、オルテガはこれらの細胞を第三の脳細胞として発表する。実は彼が第三の脳細胞と分類した中には後述のミクログリア(microglia)も含まれていたのだ。この発表は師であるカハールには受け入れられず、リオ・オルテガは破門の憂き目にあう。
中枢神経系におけるオリゴデンドロサイトの特徴的な形態は、突起が神経軸索に巻き付いてミエリン髄鞘を作っている様子である。成熟脳に分布するすべてのオリゴデンドロサイトが髄鞘を作っているわけではない。図8Bに示すように、見かけは単に突起を伸ばした細胞の形をとっているものも多い。
中枢神経系におけるオリゴデンドロサイトの特徴的な形態は、突起が神経軸索に巻き付いてミエリン髄鞘を作っている様子である。成熟脳に分布するすべてのオリゴデンドロサイトが髄鞘を作っているわけではない。図8Bに示すように、見かけは単に突起を伸ばした細胞の形をとっているものも多い。
====同種の細胞====
 リオ・オルテガはオリゴデントロサイトの突起の数や、細胞体の形態、分布する部位などからI型からⅣ型の四種に分類している。しかし、四種に分類されたオリゴデンドロサイトの基本的な機能には大きな差はないようである。


====同種の細胞==== 
 末梢神経の軸索に巻き付き、ミエリン髄鞘を作るシュワン細胞(Schwann cell)(亡突起膠細胞)もオリゴデンドロサイトと同種の細胞である。
リオ・オルテガはオリゴデントロサイトの突起の数や、細胞体の形態、分布する部位などからI型からⅣ型の四種に分類している。しかし、四種に分類されたオリゴデンドロサイトの基本的な機能には大きな差はないようである。
 
末梢神経の軸索に巻き付き、ミエリン髄鞘を作るシュワン細胞(Schwann cell)(亡突起膠細胞)もオリゴデンドロサイトと同種の細胞である。
 成熟中枢神経系にはオリゴデンドロサイトの性質を備えながらミエリン髄鞘を作らない細胞も多く見出される。それらの中にはオリゴデントロサイト前駆細胞(olygodendrocyte progenitor cells :OPC)に分類される細胞があるが、さらに、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(NG2 condroitin sulfate proteoglycan) を発現する細胞が見出される。この細胞は成熟細胞でもオリゴデントロサイトと区別ができない。NG2またはポリデンドロサイト(polydendrocyte)と呼ばれるこの細胞もミエリン鞘形成に至るものとミエリン鞘を形成しない種類がある。この細胞は白質にも灰白質にも分布しており、時にはアストロサイトのような形態をとっていることもある。しかし、アストロサイトのマーカー蛋白であるGFAP(glial fibrillary acidic protein)は発現しない。実にややこしい細胞である<ref><pubmed>19096367</pubmed></ref>。
成熟中枢神経系にはオリゴデンドロサイトの性質を備えながらミエリン髄鞘を作らない細胞も多く見出される。それらの中にはオリゴデントロサイト前駆細胞(olygodendrocyte progenitor cells :OPC)に分類される細胞があるが、さらに、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(NG2 condroitin sulfate proteoglycan) を発現する細胞が見出される。この細胞は成熟細胞でもオリゴデントロサイトと区別ができない。NG2またはポリデンドロサイト(polydendrocyte)と呼ばれるこの細胞もミエリン鞘形成に至るものとミエリン鞘を形成しない種類がある。この細胞は白質にも灰白質にも分布しており、時にはアストロサイトのような形態をとっていることもある。しかし、アストロサイトのマーカー蛋白であるGFAP(glial fibrillary acidic protein)は発現しない。実にややこしい細胞である<ref><pubmed>19096367</pubmed></ref>。
重要な事実はこの細胞が中枢損傷部位に集まり、グリア瘢痕(glial sxcar)、グリオーシス(gliosis)を作ることである。このような性質からこの細胞はsynantocyte(synant :ギリシャ語で:接触することを意味する言葉)と命名されたこともあるが、その後、この名前はあまり流布していない<ref><pubmed>14501223</pubmed></ref>。ニューロンにも似た性質を持っており、この細胞の存在は脳内に分布する多様な機能精細胞の系譜が同じであることを如実に語っている。
重要な事実はこの細胞が中枢損傷部位に集まり、グリア瘢痕(glial sxcar)、グリオーシス(gliosis)を作ることである。このような性質からこの細胞はsynantocyte(synant :ギリシャ語で:接触することを意味する言葉)と命名されたこともあるが、その後、この名前はあまり流布していない<ref><pubmed>14501223</pubmed></ref>。ニューロンにも似た性質を持っており、この細胞の存在は脳内に分布する多様な機能精細胞の系譜が同じであることを如実に語っている。


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===機能===
===機能===
====ミエリン髄鞘の形成 神経伝導速度の促進====
====ミエリン髄鞘の形成 神経伝導速度の促進====
オリゴデンドロサイトの重要な役割は神経軸索に絶縁テープのように巻き付き、神経信号の伝導効率を上げることである。この巻き付いた部分はミエリン髄鞘(myelin sheath)とよばれ、250~1000ミクロンほどの幅を持っている。髄鞘を持つ神経線維は有髄神経線維(myelinated nerve fiber)と呼ばれ、髄鞘を持たない神経線維は無髄神経線維(nonmyelinated nerve fiber)と呼ばれる。中枢神経系では一つのオリゴデンドログリアが、少ない場合は1から2本、多い場合は30本ほどの神経軸索に突起を伸ばしてミエリン髄鞘を作っている。神経信号は髄鞘と髄鞘の間、ランビエー絞輪( node of Ranvier)と呼ばれる部分を跳躍するように伝わっていく(跳躍伝導:saltatory conduction)(図8)。中枢神経系の神経線維はほとんど有髄神経である。この種の髄鞘のおかげで、神経軸索上を伝導する信号の速度は新幹線に優るとも劣らないものになる(秒速100メーター、時速360キロ)。因みにこの髄鞘を持たない神経軸索(自律神経の節後線維)での伝導速度は秒速1メーター程度、時速3.6キロだから、ゆっくりと歩く程度である(図9)。無髄神経で速度を高めるには神経線維の直径を大きくして、局所電位の大きさを高める必要がある。軟体動物のヤリイカでは速やかに動かす必要のある筋肉への神経線維は無髄であるので、その直径は1mmほどもある。我々の脳内の配線はこのように太い神経線維では不可能である。
[[ファイル:Kudo Fig9.png|thumb|right|350px|'''図9  無髄線維と有髄線維の伝導速度の違い''']]
[[ファイル:Kudo Fig10.png|thumb|right|350px|'''図10 髄鞘の微小形態'''<br>いずれも濱 清先生提供]]
[[ファイル:Kudo Fig11.png|thumb|right|350px|'''図11 有髄神経におけるNa+チャンネルとK+チャンネルの分布'''<br>'''A''': ランビエ-絞輪とその周辺におけるNa+チャンネルとK+チャンネルの分布をそれぞれの抗体を用いて染色した画像。'''B''': ランビエー絞輪周辺の模式図]]
 オリゴデンドロサイトの重要な役割は神経軸索に絶縁テープのように巻き付き、神経信号の伝導効率を上げることである。この巻き付いた部分はミエリン髄鞘(myelin sheath)とよばれ、250~1000ミクロンほどの幅を持っている。髄鞘を持つ神経線維は有髄神経線維(myelinated nerve fiber)と呼ばれ、髄鞘を持たない神経線維は無髄神経線維(nonmyelinated nerve fiber)と呼ばれる。中枢神経系では一つのオリゴデンドログリアが、少ない場合は1から2本、多い場合は30本ほどの神経軸索に突起を伸ばしてミエリン髄鞘を作っている。神経信号は髄鞘と髄鞘の間、ランビエー絞輪( node of Ranvier)と呼ばれる部分を跳躍するように伝わっていく(跳躍伝導:saltatory conduction)(図8)。中枢神経系の神経線維はほとんど有髄神経である。この種の髄鞘のおかげで、神経軸索上を伝導する信号の速度は新幹線に優るとも劣らないものになる(秒速100メーター、時速360キロ)。因みにこの髄鞘を持たない神経軸索(自律神経の節後線維)での伝導速度は秒速1メーター程度、時速3.6キロだから、ゆっくりと歩く程度である(図9)。無髄神経で速度を高めるには神経線維の直径を大きくして、局所電位の大きさを高める必要がある。軟体動物のヤリイカでは速やかに動かす必要のある筋肉への神経線維は無髄であるので、その直径は1mmほどもある。我々の脳内の配線はこのように太い神経線維では不可能である。
 図10Aは有髄神経線維をちょうどオリゴデンドロサイトの突起が神経軸索に届いた位置で、横断した電子顕微鏡像である。薄く紙のように広がった先端が四重に巻き付いており、一重分を注意深く見ると、二枚の膜からなっているのが分かる。一方、図10Bは有髄神経を二つの髄鞘の間(無髄状態になっており、ランビエー絞輪と呼ばれる)で縦方向に切ったものである。幾重にも巻いたオリゴデンドロサイトの突起部位が、ランビエー絞輪(Ranvier node)を挟んで、存在している(パラノード:paranode)。実際に、免疫組織化学的に、活動電位の発現に必要な、電位依存性Na+チャンネルはランビエー絞輪に局在している。一方、電位依存性K+チャンネル(Kv1.1 、Kv1.2)はパラノードの先、ジャクスタパラノード(Juxta paranode)に局在していることが示されている(図11)。
 図10Aは有髄神経線維をちょうどオリゴデンドロサイトの突起が神経軸索に届いた位置で、横断した電子顕微鏡像である。薄く紙のように広がった先端が四重に巻き付いており、一重分を注意深く見ると、二枚の膜からなっているのが分かる。一方、図10Bは有髄神経を二つの髄鞘の間(無髄状態になっており、ランビエー絞輪と呼ばれる)で縦方向に切ったものである。幾重にも巻いたオリゴデンドロサイトの突起部位が、ランビエー絞輪(Ranvier node)を挟んで、存在している(パラノード:paranode)。実際に、免疫組織化学的に、活動電位の発現に必要な、電位依存性Na+チャンネルはランビエー絞輪に局在している。一方、電位依存性K+チャンネル(Kv1.1 、Kv1.2)はパラノードの先、ジャクスタパラノード(Juxta paranode)に局在していることが示されている(図11)。
 因みに無髄神経で速度を高めるとすると、神経線維の直径を大きくして、局所電位の大きさを高める必要がある。軟体動物のヤリイカでは速やかに動かす必要のある筋肉への神経線維は無髄であるので、その直径は1mmほどもある。我々の脳内の配線は極めて高度に発達しており、このように太い神経線維で配線することは不可能である。
 因みに無髄神経で速度を高めるとすると、神経線維の直径を大きくして、局所電位の大きさを高める必要がある。軟体動物のヤリイカでは速やかに動かす必要のある筋肉への神経線維は無髄であるので、その直径は1mmほどもある。我々の脳内の配線は極めて高度に発達しており、このように太い神経線維で配線することは不可能である。