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<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0192888 野崎 和彦]</font><br> | <font size="+1">[http://researchmap.jp/read0192888 野崎 和彦]</font><br> | ||
''滋賀医科大学 脳神経外科''<br> | ''滋賀医科大学 脳神経外科''<br> | ||
DOI XXXX/XXXX 原稿受付日:2013年4月15日 原稿完成日:2014年2月21日<br> | DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2013年4月15日 原稿完成日:2014年2月21日<br> | ||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0141446/ 漆谷 真](京都大学 大学院医学研究科)<br> | 担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0141446/ 漆谷 真](京都大学 大学院医学研究科)<br> | ||
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英語名:disturbance of | 英語名:disturbance of consciousness | ||
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「運動反応」(y軸)とは、外界からの刺激に対する顔面・手足の動作による反応の度合いである。命令に従う、刺激部位に手足をもってくる、逃避する、異常な(合目的でない)反応、などの段階に応じて障害の程度が分けられる。 | 「運動反応」(y軸)とは、外界からの刺激に対する顔面・手足の動作による反応の度合いである。命令に従う、刺激部位に手足をもってくる、逃避する、異常な(合目的でない)反応、などの段階に応じて障害の程度が分けられる。 | ||
「意識内容」(z軸)とは、人間に固有の認識内容として、自身の置かれている場所・時間・自分自身への認識の程度(これを[[見当識]] | 「意識内容」(z軸)とは、人間に固有の認識内容として、自身の置かれている場所・時間・自分自身への認識の程度(これを[[見当識]]という)をあらわす。見当識に障害がある場合は発語する言葉の内容、発語がみられない場合は発声そのものの有無等に応じて障害の程度を分ける。意識内容の変容を伴う複雑な意識混濁として、さらに特に認知症や高齢者において、入院・手術や環境の変化を契機に出現する、幻覚や[[妄想]]を主徴とする[[せん妄]]が重要である。 | ||
図1において、「意識」は暗闇の中でこの3つの座標(x, y, z)によって確保される明るい空間の容積として表現されている。何らかの障害(疾病・外傷)によって、3つの座標の値のいずれかが小さくなると、明るい空間の容積が狭窄する(=意識障害)。全ての座標が限りなく原点(ゼロ)に近づいて意識空間が極度に狭窄した時が(深)昏睡ということになる。なお、深昏睡は脳死と同義ではないが、[[脳死]]の判定基準の一部である。 | 図1において、「意識」は暗闇の中でこの3つの座標(x, y, z)によって確保される明るい空間の容積として表現されている。何らかの障害(疾病・外傷)によって、3つの座標の値のいずれかが小さくなると、明るい空間の容積が狭窄する(=意識障害)。全ての座標が限りなく原点(ゼロ)に近づいて意識空間が極度に狭窄した時が(深)昏睡ということになる。なお、深昏睡は脳死と同義ではないが、[[脳死]]の判定基準の一部である。 | ||
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| style="text-align:center" | 5<br>4<br>3<br>2<br>1 | | style="text-align:center" | 5<br>4<br>3<br>2<br>1 | ||
|- | |- | ||
| C.運動による最良の応答 (M)<br>(best motor response) | | C.運動による最良の応答 (M)<br>([[best]] motor response) | ||
| 命令に従う (obeys)<br>痛み刺激部位に手足をもってくる (localises)<br>四肢を屈曲する (flexes)<br> 逃避 (withdraws)<br> | | 命令に従う (obeys)<br>痛み刺激部位に手足をもってくる (localises)<br>四肢を屈曲する (flexes)<br> 逃避 (withdraws)<br> | ||
異常屈曲 (abnormal flexion)<br>四肢伸展 (extends)<br>全く動かさない (nil) | 異常屈曲 (abnormal flexion)<br>四肢伸展 (extends)<br>全く動かさない (nil) | ||
95行目: | 95行目: | ||
#全身状態良好 | #全身状態良好 | ||
#糞尿失禁状態 | #糞尿失禁状態 | ||
# | #[[睡眠]]・覚醒のサイクルが保たれている | ||
#終日臥床(寝たきり) | #終日臥床(寝たきり) | ||
#経管栄養 | #経管栄養 | ||
110行目: | 110行目: | ||
#理解可能な発語 | #理解可能な発語 | ||
#関連する刺激に左右される運動または感情的行動を含む合目的的な行動(例えば刺激による喜怒哀楽の表出など) | #関連する刺激に左右される運動または感情的行動を含む合目的的な行動(例えば刺激による喜怒哀楽の表出など) | ||
のうち1つまたはそれ以上が認められるもの、とされる。最小意識状態は古くは[[不完全植物症]]という言葉で示されるように植物状態の一部と見なされていたが、その転帰が植物状態と比較して有意に良好であることが報告され<ref><pubmed>16350959</pubmed></ref>、植物状態と区別されるようになった。 | |||
=== 施錠症候群またはとじこめ症候群=== | === 施錠症候群またはとじこめ症候群=== | ||
132行目: | 132行目: | ||
== 脳死 == | == 脳死 == | ||
中枢神経系が不可逆的損傷を受け、大脳半球機能、脳幹機能のすべてが失われている状態を指す<ref><pubmed>12512174</pubmed></ref>(Schlotzhauer and Liang, 2002) | 中枢神経系が不可逆的損傷を受け、大脳半球機能、脳幹機能のすべてが失われている状態を指す<ref><pubmed>12512174</pubmed></ref>(Schlotzhauer and Liang, 2002)。多くの国で「[[ヒト]]の死」とされているが、近年の[[wikipedia:ja:人工呼吸|人工呼吸]]器や[[wikipedia:ja:昇圧剤|昇圧剤]]などによる全身管理により[[心臓]]の拍動が維持されうるため、本邦では、「ヒトの死」の解釈を巡り社会的問題となっている。 | ||
脳死(brain death)の判定は、竹内基準に基づいて6つの項目によって脳死判定が行われ、 | 脳死(brain death)の判定は、竹内基準に基づいて6つの項目によって脳死判定が行われ、 |