9,444
回編集
細 (→サイクリックAMPとは) |
細編集の要約なし |
||
(他の1人の利用者による、間の2版が非表示) | |||
2行目: | 2行目: | ||
<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0059853 戸島 拓郎]、[http://researchmap.jp/read0080380 上口 裕之]</font><br> | <font size="+1">[http://researchmap.jp/read0059853 戸島 拓郎]、[http://researchmap.jp/read0080380 上口 裕之]</font><br> | ||
''独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター''<br> | ''独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター''<br> | ||
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年11月5日 原稿完成日:2013年8月12日<br> | |||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/2rikenbsi 林 康紀](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br> | 担当編集委員:[http://researchmap.jp/2rikenbsi 林 康紀](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br> | ||
</div> | </div> | ||
58行目: | 58行目: | ||
同義語: 3'-5'-アデノシン一リン酸、環状アデノシン一リン酸、環状AMP | 同義語: 3'-5'-アデノシン一リン酸、環状アデノシン一リン酸、環状AMP | ||
{{box|text= | {{box|text= | ||
70行目: | 68行目: | ||
環状構造を持つAMPとしては、RNA[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]]の際に中間体として生成される2'-3'-アデノシン一リン酸も存在するが、生理的により重要性の高い3'-5'-アデノシン一リン酸を一般にサイクリックAMPと略記する。本項目においても全て3'-5'-アデノシン一リン酸について解説する。 | 環状構造を持つAMPとしては、RNA[[wikipedia:ja:加水分解|加水分解]]の際に中間体として生成される2'-3'-アデノシン一リン酸も存在するが、生理的により重要性の高い3'-5'-アデノシン一リン酸を一般にサイクリックAMPと略記する。本項目においても全て3'-5'-アデノシン一リン酸について解説する。 | ||
[[Image:戸島図2.png|thumb|right|350px|<b>図.サイクリックAMP依存性シグナル伝達経路</b>]] | |||
== サイクリックAMPの合成 == | == サイクリックAMPの合成 == | ||
77行目: | 77行目: | ||
=== 膜貫通型アデニル酸シクラーゼ === | === 膜貫通型アデニル酸シクラーゼ === | ||
膜貫通型アデニル酸シクラーゼ(transmembrane adenylyl cyclase; tmAC)は12回膜貫通領域を持ち、その触媒部位は、細胞質側で6番目と7番目の膜貫通領域間を繋ぐ領域に存在するC1ドメインと、同じく細胞質側に露出したC末端に存在するC2ドメインが二量体化して構成される。膜貫通型アデニル酸シクラーゼを介してサイクリックAMP濃度上昇を誘発する細胞外リガンドとしては、[[アドレナリン]]、[[ドーパミン]]、[[セロトニン]]、[[PGE2]]、[[アデノシン]]、[[PACAP]]、[[SDF1]]等多数の[[神経伝達物質]]やホルモンがあるが、これらの[[代謝調節型受容体]]は7回膜貫通型の[[Gタンパク質共役型受容体]]であり、一般に[[Gs]]タイプの[[三量体Gタンパク質]]を介して膜貫通型アデニル酸シクラーゼを活性化する。逆に、[[Gi]]タイプの三量体Gタンパク質を介する受容体は、膜貫通型アデニル酸シクラーゼを抑制することでサイクリックAMP濃度を減少させる。また、[[Ca<sup>2+</sup>]] | 膜貫通型アデニル酸シクラーゼ(transmembrane adenylyl cyclase; tmAC)は12回膜貫通領域を持ち、その触媒部位は、細胞質側で6番目と7番目の膜貫通領域間を繋ぐ領域に存在するC1ドメインと、同じく細胞質側に露出したC末端に存在するC2ドメインが二量体化して構成される。膜貫通型アデニル酸シクラーゼを介してサイクリックAMP濃度上昇を誘発する細胞外リガンドとしては、[[アドレナリン]]、[[ドーパミン]]、[[セロトニン]]、[[PGE2]]、[[アデノシン]]、[[PACAP]]、[[SDF1]]等多数の[[神経伝達物質]]やホルモンがあるが、これらの[[代謝調節型受容体]]は7回膜貫通型の[[Gタンパク質共役型受容体]]であり、一般に[[Gs]]タイプの[[三量体Gタンパク質]]を介して膜貫通型アデニル酸シクラーゼを活性化する。逆に、[[Gi]]タイプの三量体Gタンパク質を介する受容体は、膜貫通型アデニル酸シクラーゼを抑制することでサイクリックAMP濃度を減少させる。また、[[カルシウム|Ca<sup>2+</sup>]]、Ca<sup>2+</sup>/[[カルモジュリン]]、[[プロテインキナーゼA]]、[[プロテインキナーゼC]]、[[CaMキナーゼ]]等の作用によっても膜貫通型アデニル酸シクラーゼの活性は調節を受ける。哺乳類においては9種類([[AC1]]―[[AC9]])の膜貫通型アデニル酸シクラーゼが同定されており、[[脳神経]]系においては全種類が存在しているが、特にAC1と[[AC8]]が強い発現が見られる。 | ||
=== 可溶性アデニル酸シクラーゼ === | === 可溶性アデニル酸シクラーゼ === |