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*C3:延髄の吻側正中線近傍に位置し、視床下部、[[青斑核]]などに上行性投射、脊髄に下降性投射を行う<ref name=ref18 /><ref name=ref19 /><ref name=ref20><pubmed> 22237784 </pubmed></ref>。 | *C3:延髄の吻側正中線近傍に位置し、視床下部、[[青斑核]]などに上行性投射、脊髄に下降性投射を行う<ref name=ref18 /><ref name=ref19 /><ref name=ref20><pubmed> 22237784 </pubmed></ref>。 | ||
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末梢神経系の[[節後神経]]細胞は、ノルアドレナリンと共にアドレナリン作動性でもある。脊髄中の[[節前神経細胞]]より[[アセチルコリン]]性の入力を受け、ノルアドレナリン性の出力を[[wj:内臓|内臓]]器官に与える。その結果、[[wj:血管|血管]]の収縮、[[wj:血圧|血圧]]の上昇、[[wj:心拍数|心拍数]]の増加、などを引き起こす。 | 末梢神経系の[[節後神経]]細胞は、ノルアドレナリンと共にアドレナリン作動性でもある。脊髄中の[[節前神経細胞]]より[[アセチルコリン]]性の入力を受け、ノルアドレナリン性の出力を[[wj:内臓|内臓]]器官に与える。その結果、[[wj:血管|血管]]の収縮、[[wj:血圧|血圧]]の上昇、[[wj:心拍数|心拍数]]の増加、などを引き起こす。 | ||
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2020年1月9日 (木) 20:54時点における版
徳岡 宏文、一瀬 宏
東京工業大学
DOI:10.14931/bsd.1885 原稿受付日:2012年6月15日 原稿完成日:2013年8月28日
担当編集委員:林 康紀(独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)
Systematic (IUPAC) name | |
---|---|
(R)-4-(1-hydroxy- 2-(methylamino)ethyl)benzene-1,2-diol | |
Clinical data | |
AHFS/Drugs.com | monograph |
MedlinePlus | a603002 |
Pregnancy cat. | A (AU) C (US) |
Legal status | Prescription Only (S4) (AU) POM (UK) ℞-only (US) |
Routes | IV, IM, endotracheal, IC |
Pharmacokinetic data | |
Bioavailability | Nil (oral) |
Metabolism | adrenergic synapse (MAO and COMT) |
Half-life | 2 minutes |
Excretion | Urine |
Identifiers | |
CAS number | 51-43-4 |
ATC code | A01AD01 B02BC09 (WHO) C01CA24 (WHO) R01AA14 (WHO) R03AA01 (WHO) S01EA01 (WHO) |
PubChem | CID 5816 |
IUPHAR ligand | 509 |
DrugBank | DB00668 |
ChemSpider | 5611 |
UNII | YKH834O4BH |
KEGG | D00095 |
ChEBI | CHEBI:28918 |
ChEMBL | CHEMBL679 |
Chemical data | |
Formula | C9H13NO3 |
Mol. mass | 183.204 g/mol |
SMILES | eMolecules & PubChem |
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英:adrenaline, epinephrine 独:Adrenalin, Epinephrin 仏:adrénaline, épinéphrine 略称:Ad, EP
同義語:エピネフリン
アドレナリンはモノアミンの一種、またカテコールアミンの一種である。生体内において、神経伝達物質またはホルモンとして働く。生体内ではチロシンから合成される。受容体はアドレナリン受容体と呼ばれるファミリーであり、Gタンパク質共役7回膜貫通型である。中枢神経系では、後脳延髄にアドレナリン作動性神経細胞が存在し、そこから視床下部などへ上行性投射、および脊髄へ下行性投射を形成している。
発見と用語
1893年、George Oliver(イギリス)は副腎(Adrenal gland)に薬理学的に劇的な効果を持つ物質が含まれることを発見した[1]。1897年、John Abel(アメリカ)は副腎から粗抽出物を調製、これをエピネフリンと呼んだが[2]、これには生理活性がなかった[3]。その後、1901年、高峰譲吉と上中啓三は副腎から生理活性物質を精製した[4]。これをParke, Davis & CoはAdrenalineという名前で販売した[3]。
現在、アドレナリンとエピネフリンという呼称については、国により使用頻度が異なる。歴史的にはアドレナリンの方が正しい呼称と考えられ、欧州ではアドレナリンの方が一般的である。しかし、米国の、特に医学分野では、John Abelの影響の名残でエピネフリンの方が一般的である。日本では2006年の第十五改正日本薬局方よりアドレナリンが一般名称となった。
構造
カテコール基と二級アミノ基をもつ、カテコールアミン神経伝達物質の一種。また、ドーパミン、セロトニン、ヒスタミンなどとともにモノアミン系神経伝達物質のグループを形成する。
合成
脳の一部の神経細胞、および副腎髄質中にあるクロム親和性細胞において合成される(図2)。生合成に関わる酵素は以下の通り。
- チロシン水酸化酵素 (tyrosine hydroxylase, TH):EC 1.14.16.2。チロシンよりL-DOPA (L-3,4-dihydroxyphenylalanine)を合成する[5] [6] [7]。反応には、テトラヒドロビオプテリン (tetrahydrobiopterin), O2, Fe2+が必要。カテコールアミン合成において、律速段階の酵素であると考えられている。その活性制御は、主にタンパク質の量と、リン酸化による。全てのカテコールアミン産生細胞に存在する。補因子であるテトラヒドロビオプテリンはGTPより合成される。律速酵素はGTPシクロヒドラーゼI (GTP cyclohydrolase I)である[8]。
- 芳香族アミノ酸脱炭酸酵素 (aromatic L-amino acid decarboxylase, AADC):EC 4.1.1.28。L-DOPAよりドーパミンを合成する。他に、この酵素は5-ヒドロキシトリプトファン (5-hydroxytryptophan)からセロトニン(5-hydroxytryptamine, 5-HT)を合成する反応も触媒する。ピリドキサールリン酸 (pyridoxal phosphate)が必要。全てのカテコールアミン産生細胞に存在する[9]。
- ドーパミンβ水酸化酵素 (dopamine β-hydroxylase, DBH):EC 1.14.2.1。ドーパミンよりノルアドレナリンを合成する。アスコルビン酸、O2、Cu2+が必要。ノルアドレナリン、アドレナリン産生細胞のシナプス小胞の中に存在し、シナプス小胞に取り込まれたドーパミンをノルアドレナリンに変換する[10]。
- フェニルエタノールアミン-N-メチル基転移酵素 (phenylethanolamine N-methyltransferase, PNMT):EC 2.1.1.28。ノルアドレナリンのアミノ基にメチル基を付加し、アドレナリンを生合成する。メチル基のドナーとしてS-アデノシルメチオニン (S-adenosylmethione)が必要。ヒトでは一つの遺伝子があり、転写産物は副腎髄質に多く、心臓、および脳幹にも存在する[11]。PNMTは細胞質に局在するが、シナプス顆粒内にもあるとの説もある[12]。そのため、アドレナリンの生合成が、細胞質で起きるのか、ノルアドレナリンが合成された顆粒内で起きるのかについては、まだはっきりと分かっていない。
放出、再取り込み
アドレナリンの前駆体であるドーパミンは小胞型モノアミントランスポーター(vesicular monoamine transporter、vMAT)によりシナプス小胞内に輸送される。vMAT1は主に副腎のクロム親和性細胞、vMAT2は神経細胞で発現している。vMATはH+との交換輸送によりモノアミンを小胞内に蓄積させる[13]。 アドレナリンの放出は他の神経伝達物質と同様に、神経活動依存的、カルシウム依存的なシナプス小胞のエキソサイトーシスによる。
アドレナリンの再取り込みの機構はまだよく理解されていない。アドレナリン特異的なトランスポーターは、ほ乳類では報告されていない。
代謝分解
アドレナリンの代謝分解には次の二つの酵素が重要である。
- モノアミン酸化酵素(monoamine oxidase, MAO):MAOはモノアミンのアミノ基をアルデヒド基に酸化する。MAOはミトコンドリア外膜に局在して存在し、細胞内のアドレナリン(再取込みされたものを含む)の分解に関与する。ただしMAOに比べてvMAT2の方がアドレナリンに対する親和性がずっと高いため、シナプス小胞への取り込みの方がMAOによる分解よりも優先されると考えられる[14]。MAOにはMAO-AとMAO-Bがあり、二つの別の遺伝子によりコードされている。MAO-AとMAO-Bはモノアミン作動性神経細胞およびグリア細胞に発現しているが、発現量は細胞の種類により異なり、また動物種によっても違いが見られる[14]。
- カテコール-O-メチル基転移酵素(catechol-O-methyltransferase, COMT):これはカテコール基のメタ位水酸基にメチル基を転移させる。腎臓や肝臓に豊富だが、カテコールアミン作動性神経細胞の投射先においても発現している。細胞外で働くと考えられている[15]。
脳においてアドレナリンの多くは、ノルアドレナリンと同様、MAO、アルデヒド還元酵素、およびCOMTにより3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニルグリコール (3-methoxy-4-hydroxyphenylglycol, MHPG)へ代謝され、さらに3-メトキシ-4-ヒドロキシマンデル酸 (3-methoxy-4-hydroxymandelic acid) (またはバニリルマンデル酸, vanillylmandelic acid, VMA)となって尿中に排出される[16]。MHPGの硫酸化物も尿中に排出される[16]。
主たる投射系と機能
中枢神経系
中枢神経系におけるアドレナリン作動性の神経細胞は、主に次の三つの部位にある。
- C1:延髄の腹外側にありノルアドレナリン作動性神経細胞核A1に近接する。尾側の細胞群は、視床下部に上行性投射をし、循環器系や内分泌系の調節を行う。吻側の細胞群は、脊髄に下行性投射をし、交感神経の節前線維を形成する[17][18]。
- C2:延髄の背側にありノルアドレナリン作動性神経細胞核A2と一部重なる。C1、C2共に視床下部の室傍核に上行性投射をし、循環器系や内分泌系の調節を行う[18]。
- C3:延髄の吻側正中線近傍に位置し、視床下部、青斑核などに上行性投射、脊髄に下降性投射を行う[17][18][19]。
末梢神経系
末梢神経系の節後神経細胞は、ノルアドレナリンと共にアドレナリン作動性でもある。脊髄中の節前神経細胞よりアセチルコリン性の入力を受け、ノルアドレナリン性の出力を内臓器官に与える。その結果、血管の収縮、血圧の上昇、心拍数の増加、などを引き起こす。
受容体
アドレナリンはノルアドレナリンと共にアドレナリン受容体(adrenergic receptorまたはadrenoceptor)に結合し活性化する。αおよびβのサブファミリーからなる。より細かくは、α1A-α1D、α2A-α2C、β1-β3、から構成されている。いずれも三量体Gタンパク質共役型受容体である。α1はGq、α2はGi、β1-β3はGsと共役している。
末梢神経系において、アドレナリンは、低濃度ではβ1およびβ2アドレナリン受容体に作用し、高濃度ではα1を介した作用が主となる。(ノルアドレナリンはα1およびβ1アドレナリン受容体のアゴニストとして作用する。)
受容体 | アゴニスト選択性 | 主な作用 | 細胞内シグナル | アゴニスト | アンタゴニスト |
---|---|---|---|---|---|
α1: A, B, D† |
ノルアドレナリン > アドレナリン >> イソプレナリン | 平滑筋収縮 | Gq: ホスホリパーゼC (PLC) 活性化によりイノシトール3リン酸とジアシルグリセロール、細胞内カルシウムの上昇 |
(α1アゴニスト) |
|
α2: A, B, C |
アドレナリン ≥ ノルアドレナリン >> イソプレナリン | 自己受容体活性化による神経伝達物質放出減少 心筋弛緩、血小板活性化 |
Gi: アデニル酸シクラーゼ抑制, cAMP減少 |
(α2アゴニスト) |
|
β1 | イソプレナリン > アドレナリン = ノルアドレナリン | 心筋収縮 | Gs: アデニル酸シクラーゼ活性化、cAMP上昇 |
(β1アゴニスト) |
|
β2 | イソプレナリン > アドレナリン >> ノルアドレナリン | 平滑筋弛緩 | Gs: アデニル酸シクラーゼ活性化、cAMP上昇 (Giと共役することもある) |
(β2アゴニスト) |
|
β3 | イソプレナリン = ノルアドレナリン > アドレナリン | 脂肪代謝亢進、膀胱排尿筋弛緩 | Gs: アデニル酸シクラーゼ活性化、cAMP上昇 |
表 アドレナリン性受容体 w項目Adrenergic Receptorから翻訳、修正の上転載。 †α1C受容体と呼ばれる物は、存在しない。
関連項目
参考文献
- ↑ G Oliver, EA Schäfer
On the physiological action of extract of the suprarenal capsules
J. Physiol. Lond.:1894;16;i-iv - ↑ JJ Abel
On epinephrin, the active constituent of the suprarenal capsule and its compounds
Proc. Am. Phys. Soc.: 1898; 34; 35 - ↑ 3.0 3.1
Aronson, J.K. (2000).
"Where name and image meet"--the argument for "adrenaline". BMJ (Clinical research ed.), 320(7233), 506-9. [PubMed:10678871] [PMC] [WorldCat] [DOI] - ↑ J Takamine
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