「リソソーム」の版間の差分

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<font size="+1">[http://researchmap.jp/h-morishita 森下 英晃]、[http://researchmap.jp/noborumizushima 水島 昇]</font><br>
<font size="+1">[http://researchmap.jp/h-morishita 森下 英晃]、[http://researchmap.jp/noborumizushima 水島 昇]</font><br>
''東京大学 医学系研究科 分子生物学分野''<br>
''東京大学 医学系研究科 分子生物学分野''<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年5月6日 原稿完成日:2012年7月9日 一部改定:2015年10月20日<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年5月6日 原稿完成日:2012年7月9日 一部改定:2015年10月20日、2021年9月10日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/noriko1128 大隅 典子](東北大学 大学院医学系研究科 附属創生応用医学研究センター 脳神経科学コアセンター 発生発達神経科学分野)<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/noriko1128 大隅 典子](東北大学 大学院医学系研究科 附属創生応用医学研究センター 脳神経科学コアセンター 発生発達神経科学分野)<br>
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===オートファジー経路===
===オートファジー経路===


 マクロオートファジー(macroautophagy)は、細胞質成分([[wj:細胞質基質|サイトゾル]]、細胞小器官、[[wj:偏性細胞内寄生体|細胞内病原体]]など)をオートファゴソーム(autophagosome)と呼ばれる二重膜で囲い込み、リソソームへ輸送する。この過程では、まず隔離膜(isolation membrane/phagophore)が細胞質成分を取り囲み、最終的に隔離膜の端が閉じてオートファゴソーム(autophagosome)が形成される。リソソームと融合すると、オートファゴソームの内膜と細胞質成分は分解され、一重膜のオートリソソームとなる。これらの分解は原則として非選択的(バルク分解)であるが、選択的オートファジーも存在し、選択的基質としては可溶性タンパク質([[w:SQSTM1|p62]]など)、[[ミトコンドリア]](mitophagy)、[[ペルオキシソーム]](pexophagy)、細胞内病原体(xenophagy)、凝集体(aggrephagy)、[[wj:リボソーム|リボソーム]](ribophagy)などがある。
 マクロオートファジー(macroautophagy)は、細胞質成分([[wj:細胞質基質|サイトゾル]]、細胞小器官、[[wj:偏性細胞内寄生体|細胞内病原体]]など)をオートファゴソーム(autophagosome)と呼ばれる二重膜で囲い込み、リソソームへ輸送する。この過程では、まず隔離膜(isolation membrane/phagophore)が細胞質成分を取り囲み、最終的に隔離膜の端が閉じてオートファゴソーム(autophagosome)が形成される。リソソームと融合すると、オートファゴソームの内膜と細胞質成分は分解され、一重膜のオートリソソームとなる。これらの分解は原則として非選択的(バルク分解)であるが、選択的オートファジーも存在し、選択的基質としては可溶性タンパク質([[p62]]など)、[[ミトコンドリア]](mitophagy)、[[ペルオキシソーム]](pexophagy)、細胞内病原体(xenophagy)、凝集体(aggrephagy)、[[wj:リボソーム|リボソーム]](ribophagy)などがある。


 シャペロン介在性オートファジー(chaperon-mediated autophagy)は、可溶性サイトゾルタンパク質がリソソーム膜を直接透過して内腔へ輸送される経路であり、哺乳類細胞で報告されている。この経路では、KFEQRモチーフを持つ基質タンパク質([[wj:グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ_(NADP%2B)|GAPDH]]など)が細胞質に局在する[[wj:シャペロン|シャペロン]]([[熱ショック蛋白質|Hsc70]]など)によって特異的に認識され、LAMP-2A([[w:LAMP2|LAMP-2]]の[[wj:選択的スプライシング|スプライシングバリアント]]の一つ)を介してリソソーム内腔へ輸送される。
 シャペロン介在性オートファジー(chaperon-mediated autophagy)は、可溶性サイトゾルタンパク質がリソソーム膜を直接透過して内腔へ輸送される経路であり、哺乳類細胞で報告されている。この経路では、KFEQRモチーフを持つ基質タンパク質([[wj:グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ_(NADP%2B)|GAPDH]]など)が細胞質に局在する[[wj:シャペロン|シャペロン]]([[熱ショック蛋白質|Hsc70]]など)によって特異的に認識され、LAMP-2A([[w:LAMP2|LAMP-2]]の[[wj:選択的スプライシング|スプライシングバリアント]]の一つ)を介してリソソーム内腔へ輸送される。