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[[Image:NavAb top1.png|300px|thumb|right|'''図2.NavAbチャネルの選択性フィルター'''<br>E177の側鎖(シアン)が表示されている。]] | [[Image:NavAb top1.png|300px|thumb|right|'''図2.NavAbチャネルの選択性フィルター'''<br>E177の側鎖(シアン)が表示されている。]] | ||
[[wikipedia:ja:哺乳類|哺乳類]]の[[電位依存性ナトリウムチャネル]](Nav)と[[電位依存性カルシウムチャネル]](Cav)は、選択性フィルター付近のアミノ酸配列が似ているため、似たようなフィルター構造を持っていると考えられる。電位依存性カリウムチャネル(Kv)が四量体であるのに対し、NavやCavはKvの4つのサブユニットが直列につながったような構造を持っている。したがって選択性フィルターもKvのような完全4回回転対称ではなく、ある程度非対称な構造であると考えられている。Cavのイオン選択性にはポアドメインに存在するグルタミン酸(E)が重要だと考えられているが、Navの相当する部位は、4つのドメインから[[wikipedia:ja:アスパラギン酸|アスパラギン酸]](D)、[[グルタミン酸]](E)、[[wikipedia:ja:リジン|リジン]](K)、[[wikipedia:ja:アラニン|アラニン]](A)とすべて異なるアミノ酸によって構成されている。ポアの大きさも5.5 x 5.5 ÅのCavに対し、Nav は3.1 x 5.1 Åと長方形のような形であると考えられている。 | |||
原核生物には、Kvと同様6回膜貫通型の四量体で機能する電位依存性ナトリウムチャネルが存在しており、その一種NavAbの結晶構造も明らかになっている<ref><pubmed>21743477</pubmed></ref>。NavAbは四量体であるがゆえ、完全な4回回転対称であるが、選択性フィルター付近はNavやCavと似た配列を有している。ナトリウム選択性チャネルでありながら4回回転対称であるがゆえに、選択性に重要なサイトは電位依存性カルシウムチャネルと同様すべてグルタミン酸(E177)で構成されている(図2)。イオン透過路の最も狭い領域はむしろカリウムチャネルよりも広く、ナトリウムイオンが透過する際は少なくとも部分的に水和したまま通ると考えられる。 | 原核生物には、Kvと同様6回膜貫通型の四量体で機能する電位依存性ナトリウムチャネルが存在しており、その一種NavAbの結晶構造も明らかになっている<ref><pubmed>21743477</pubmed></ref>。NavAbは四量体であるがゆえ、完全な4回回転対称であるが、選択性フィルター付近はNavやCavと似た配列を有している。ナトリウム選択性チャネルでありながら4回回転対称であるがゆえに、選択性に重要なサイトは電位依存性カルシウムチャネルと同様すべてグルタミン酸(E177)で構成されている(図2)。イオン透過路の最も狭い領域はむしろカリウムチャネルよりも広く、ナトリウムイオンが透過する際は少なくとも部分的に水和したまま通ると考えられる。 | ||
NaChBacという別の[[wikipedia:ja:原核生物|原核生物]]由来のナトリウムチャネルでは、このグルタミン酸の細胞外側にアスパラギン酸(D)を導入することで、このナトリウム選択性チャネルをカルシウム選択性チャネルに変えることができる。したがって、ポアの入り口の負電荷がナトリウムイオンとカルシウムイオンのどちらをよりよく透過するかを決めていると考えられる。 | |||
==プロトンチャネルの選択性フィルター== | ==プロトンチャネルの選択性フィルター== |