「ミトコンドリア」の版間の差分

58行目: 58行目:


=== 分裂・融合 ===
=== 分裂・融合 ===
 ミトコンドリアは非常にダイナミックなオルガネラであり、分裂と融合を繰り返している。ミトコンドリア融合は3つの[[GTPase]]、外膜局在の[[mitofusin]]([[Mfn1]]、[[Mfn2]])と内膜局在の[[optic atrophy 1]] (OPA1) によって制御されている。Mfn1とMfn2は隣接するミトコンドリア上で協調的に働き、外膜同士を繋留する。GTP加水分解により外膜が融合し、その後OPA1によって内膜の融合が進行する。一方、ミトコンドリア分裂は[[dynamin-related protein 1]] ([[Drp1]]) によって担われる。Drp1はGTP結合型になると、細胞質からミトコンドリア外膜の分裂部位にリクルートされ、外膜に集積して多量体を形成する。その後、リング状構造を作り、GTPase活性を利用してミトコンドリアを分裂させる。Fis1やMff、Mid49/51といった外膜局在タンパク質は、Drp1のミトコンドリアへのリクルートに関与するDrp1受容体として知られている。
 ミトコンドリアは非常にダイナミックなオルガネラであり、分裂と融合を繰り返している。ミトコンドリア融合は3つの[[GTPase]]、外膜局在の[[mitofusin]]([[Mfn1]]、[[Mfn2]])と内膜局在の[[optic atrophy 1]] (OPA1) によって制御されている。Mfn1とMfn2は隣接するミトコンドリア上で協調的に働き、外膜同士を繋留する。GTP加水分解により外膜が融合し、その後OPA1によって内膜の融合が進行する。一方、ミトコンドリア分裂は[[dynamin-related protein 1]] ([[Drp1]]) によって担われる。Drp1はGTP結合型になると、細胞質からミトコンドリア外膜の分裂部位にリクルートされ、外膜に集積して多量体を形成する。その後、リング状構造を作り、GTPase活性を利用してミトコンドリアを分裂させる。[[Fission 1 protein]] ([[Fis1]])や[[mitochondrial fission factor]] ([[Mff]])、[[mitochondrial dynamics protein of 49 kDa]]/[[mitochondrial dynamics protein of 51 kDa|51 kDa]] ([[Mid49]]/[[Mid51|51]])といった外膜局在タンパク質は、Drp1のミトコンドリアへのリクルートに関与する[[Drp1受容体]]として知られている。


 ニューロンの軸索と樹状突起の区画間で、ミトコンドリアはそれぞれ異なる形態を示す<ref name=Popov2005><pubmed>16175555</pubmed></ref><ref name=Chang2006><pubmed>16797853</pubmed></ref><ref name=Lee2018><pubmed>30320242</pubmed></ref><ref name=Turner2022><pubmed>35216674</pubmed></ref>22-25。これは区画特異的な分裂・融合制御の結果だと考えられており、軸索ではMffが、樹状突起ではFis1がそれぞれ選択的にミトコンドリア形態の決定と維持に重要であることが報告されている<ref name=Lewis2018><pubmed>30479337</pubmed></ref><ref name=Strucinska2025>'''Strucinska, K. et al. (2025).'''<br>Fis1 is required for the development of the dendritic mitochondrial network in pyramidal cortical neurons. bioRxiv (2025). https://doi.org/10.1101/2025.01.07.631801</ref>26,27。また、神経活動やLTP誘導時にミトコンドリアの分裂が促進されることが知られており、成熟したニューロンにおいても可塑的にその形態を変化させ神経伝達制御に寄与する。
 ニューロンの軸索と樹状突起で、ミトコンドリアは異なる形態を示す<ref name=Popov2005><pubmed>16175555</pubmed></ref><ref name=Chang2006><pubmed>16797853</pubmed></ref><ref name=Lee2018><pubmed>30320242</pubmed></ref><ref name=Turner2022><pubmed>35216674</pubmed></ref>。これは区画特異的な分裂・融合制御の結果だと考えられており、軸索ではMffが、樹状突起ではFis1がそれぞれ選択的にミトコンドリア形態の決定と維持に重要であることが報告されている<ref name=Lewis2018><pubmed>30479337</pubmed></ref><ref name=Strucinska2025>'''Strucinska, K. et al. (2025).'''<br>Fis1 is required for the development of the dendritic mitochondrial network in pyramidal cortical neurons. bioRxiv (2025). https://doi.org/10.1101/2025.01.07.631801</ref>。また、神経活動や[[長期増強現象]] (LTP)誘導時にミトコンドリアの分裂が促進されることが知られており、成熟したニューロンにおいても可塑的にその形態を変化させ神経伝達制御に寄与する。


=== 分解 ===
=== 分解 ===