「嚥下障害」の版間の差分

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 慢性疾患では、調理や食事介助など、食生活を支える介助者への長期間の援助も欠かせない。在宅スタッフと連携してサポートする。
 慢性疾患では、調理や食事介助など、食生活を支える介助者への長期間の援助も欠かせない。在宅スタッフと連携してサポートする。


==脳神経内科疾患の摂食嚥下リハビリテーション治療==
==脳神経内科疾患のリハビリテーション治療==
現疾患の治療と並行して、早期より摂食嚥下リハビリテーションを開始する。
 現疾患の治療と並行して、早期より摂食嚥下リハビリテーションを開始する。リハビリテーションプランを考えるうえで、経過によって以下のように分類する。以下概要を述べる。詳細は文献<ref name=ref10>'''日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会編集 (2015).'''<br>脳卒中治療 2015ガイドライン PP303-305</ref><ref name=ref11>'''監修 日本神経学会 編集「筋萎縮性側索硬化症診療ガイドライン」作成委員会 (2013).'''<br>筋萎縮性側索硬化症診療ガイドライン2013</ref><ref>'''野崎 園子、市原 典子(編著) (2014).'''<br>DVDで学ぶ神経内科の摂食嚥下障害DVDビデオ ''医歯薬出版''</ref><ref>'''野﨑園子(編著) (2018).'''<br>病院と在宅をつなぐ 脳神経内科の摂食嚥下障害―病態理解と専門職の視点― ''全日本病院出版会''</ref>を参照。
リハビリテーションプランを考えるうえで、経過によって以下のように分類する。
=== 急に発症して徐々に回復するタイプ ===
(1)急に発症して徐々に回復するタイプ:脳卒中、ギランバレー症候群など
 脳卒中、ギランバレー症候群などが属する。脳卒中患者においては、摂食嚥下障害が多く認められる。発症早期に摂食嚥下機能のスクリーニング検査、さらには嚥下造影検査、内視鏡検査などを適切に行い、その結果をもとに、栄養摂取経路(経管・経口)や食形態を検討し、多職種で連携して包括的な介入を行うことが強く求められる<ref name=ref10 />。 
(2)比較的急速に進行するタイプ:筋萎縮性側索硬化症など。
 
(3)緩徐に進行するタイプ:パーキンソン病、パーキンソン症候群、脊髄小脳変性症、筋ジストロフィーなど。
=== 比較的急速に進行するタイプ ===
(4)嚥下障害が変動するタイプ:症状変動のあるパーキンソン病、重症筋無力症、多発性硬化症など
 筋萎縮性側索硬化症などによる<ref name=ref11 />。(文献11)次に起こる障害を予測(一歩先)して、予め補助栄養やPEG、呼吸管理の併用、誤嚥防止術などの計画をたて、患者の理解、受容を援助する。その時点での嚥下能力にあった嚥下調整食を提供することと、摂食姿勢を調整することが重要である。栄養不良は独立した予後決定因子であり、病初期より定期的な栄養評価と管理を行う。呼吸不全が嚥下に与える影響に注意し、呼吸不全が進行した場合は嚥下の再評価を行う。病状の進行速度に受容が追いつかないことも多く、味わう楽しみを尊重するなどのメンタルケアが重要となる。
以下概要を述べる、詳細は(文献10)(文献11)参考図書②③を参照されたい。
 
(1)急に発症するタイプ 脳卒中など
=== 緩徐に進行するタイプ ===
脳卒中患者においては、摂食嚥下障害が多く認められる。発症早期に摂食嚥下機能の
 パーキンソン病、パーキンソン症候群、脊髄小脳変性症、筋ジストロフィーなどによる。緩徐に進行するため患者側に摂食嚥下障害の病識が乏しいことが多い。うつ症状や認知障害を伴うこともある。患者の理解と受容を助けることが第一歩である。その時点での最大の嚥下能力を引き出すリハプランを構築する。嚥下食を長期に継続できるよう、メニューの工夫や調理法の指導など介助者へのサポートが重要である。長期化に伴う肺炎や栄養障害、経腸栄養剤による合併症への対策が必要である。
スクリーニング検査、さらには嚥下造影検査、内視鏡検査などを適切に行い、その結果をもとに、栄養摂取経路(経管・経口)や食形態を検討し、多職種で連携して包括的な介入を行うことが強く求められる (文献10)。 
 
(2)比較的急速に進行するタイプ ALSなど(文献11)
=== 嚥下障害が変動するタイプ ===
次に起こる障害を予測(一歩先)して、予め補助栄養やPEG、呼吸管理の併用、誤嚥防止術などの計画をたて、患者の理解、受容を援助する。
 症状変動のあるパーキンソン病、重症筋無力症、多発性硬化症などによる。悪化時の誤嚥防止対策と寛解時の嚥下機能の再評価がポイントである。悪化時には一時経口摂取を中止し、経管栄養法により誤嚥のリスクを減らして、早期寛解を促す。寛解後、嚥下機能検査による再評価をおこない、経管栄養の継続や嚥下訓練の再開の適否を決定する。
その時点での嚥下能力にあった嚥下調整食を提供することと、摂食姿勢を調整することが重要である。栄養不良は独立した予後決定因子であり、病初期より定期的な栄養評価と管理を行う。呼吸不全が嚥下に与える影響に注意し、呼吸不全が進行した場合は嚥下の再評価を行う。病状の進行速度に受容が追いつかないことも多く、味わう楽しみを尊重するなどのメンタルケアが重要となる。
 
(3)緩徐に進行するタイプ PD,パーキンソン症候群、筋ジストロフィーなど
==参考文献==
緩徐に進行するため患者側に摂食嚥下障害の病識が乏しいことが多い。うつ症状や認知障害を伴うこともある。患者の理解と受容を助けることが第一歩である。その時点での最大の嚥下能力を引き出すリハプランを構築する。嚥下食を長期に継続できるよう、メニューの工夫や調理法の指導など介助者へのサポートが重要である。長期化に伴う肺炎や栄養障害、経腸栄養剤による合併症への対策が必要である。
<references />
(4)嚥下障害が変動するタイプ Wearing off やon-offのあるパーキンソン病、重症筋無力症、多発性硬化症など
悪化時の誤嚥防止対策と寛解時の嚥下機能の再評価がポイントである。悪化時には一時経口摂取を中止し、経管栄養法により誤嚥のリスクを減らして、早期寛解を促す。寛解後、嚥下機能検査による再評価をおこない、経管栄養の継続や嚥下訓練の再開の適否を決定する。