「軸索起始部」の版間の差分

編集の要約なし
23行目: 23行目:
 軸索起始部には様々なイオンチャネルが局在し、その種類や分布は神経細胞の出力様式を決める重要な要素である<ref name=Lorincz2008><pubmed>19118165</pubmed></ref><ref name=Jenkins2025><pubmed>39480263</pubmed></ref>。
 軸索起始部には様々なイオンチャネルが局在し、その種類や分布は神経細胞の出力様式を決める重要な要素である<ref name=Lorincz2008><pubmed>19118165</pubmed></ref><ref name=Jenkins2025><pubmed>39480263</pubmed></ref>。


=== Naチャネル ===
==== Naチャネル ====
 [[Nav1.1]]、[[Nav1.2]]、[[Nav1.6]]の3つのサブタイプが知られる。Nav1.6は全ての神経細胞に発現し、活性化の閾値も低いことから活動電位の発生を担う最も重要なチャネルといえる。一方、Nav1.1とNav1.2はそれぞれ[[抑制性細胞]]と[[興奮性細胞]]に発現する。これらのチャネルは軸索起始部の近位部に局在し、活動電位の樹状突起への逆行性伝播を増強する。
 [[Nav1.1]]、[[Nav1.2]]、[[Nav1.6]]の3つのサブタイプが知られる。Nav1.6は全ての神経細胞に発現し、活性化の閾値も低いことから活動電位の発生を担う最も重要なチャネルといえる。一方、Nav1.1とNav1.2はそれぞれ[[抑制性細胞]]と[[興奮性細胞]]に発現する。これらのチャネルは軸索起始部の近位部に局在し、活動電位の樹状突起への逆行性伝播を増強する。


=== Kチャネル ===
==== Kチャネル ====
 [[Kv1]]([[Kv1.1]]、[[Kv1.2|1.2]])、[[Kv7]]([[Kv7.2]]、[[Kv7.3|7.3]])、[[K2Pチャネル]]([[TRAAK]]、[[TREK-1]])などが知られる。これらのチャネルは[[静止膜電位]]付近でも活性化しており、[[短絡コンダクタンス]]として活動電位の発生を抑える一方で、静止膜電位を維持することでNavチャネルの不活性化を防ぐ働きをもつ。
 [[Kv1]]([[Kv1.1]]、[[Kv1.2|1.2]])、[[Kv7]]([[Kv7.2]]、[[Kv7.3|7.3]])、[[K2Pチャネル]]([[TRAAK]]、[[TREK-1]])などが知られる。これらのチャネルは[[静止膜電位]]付近でも活性化しており、[[短絡コンダクタンス]]として活動電位の発生を抑える一方で、静止膜電位を維持することでNavチャネルの不活性化を防ぐ働きをもつ。


=== Caチャネル ===
==== Caチャネル ====
 Cav2(Cav2.1、Cav2.2、Cav2.3)、Cav3(Cav3.2)が知られる。Cav2.1やCav2.2は活性化の閾値が高く、BKチャネルを活性化させることで活動電位の再分極相を加速させるのに対して、Cav2.3やCav3.2は活性化の閾値が低く、後脱分極を増強することで持続的な発火を生じる。
 Cav2(Cav2.1、Cav2.2、Cav2.3)、Cav3(Cav3.2)が知られる。Cav2.1やCav2.2は活性化の閾値が高く、BKチャネルを活性化させることで活動電位の再分極相を加速させるのに対して、Cav2.3やCav3.2は活性化の閾値が低く、後脱分極を増強することで持続的な発火を生じる。


=== その他のチャネル ===
==== その他 ====
 [[大脳皮質]]や[[海馬]]の錐体細胞では、軸索起始部に[[GABA]]作動性の[[軸索終末]]が[[軸索-軸索シナプス]]を形成する<ref name=Howard2005><pubmed>15927687</pubmed></ref>。これらの神経細胞の軸索起始部では[[K-Cl共輸送体]]([[KCC2]])の発現が低いため、軸索起始部での[[GABAA受容体|GABA<sub>A</sub>受容体]]の活性化は軸索起始部局所の[[脱分極]]を生じるが、一方で、短絡コンダクタンスを増すため活動電位の発生は抑制される<ref name=Szabadics2006><pubmed>16410524</pubmed></ref>。小脳の[[プルキンエ細胞]]の軸索起始部にもGABA作動性の軸索終末が分布するが、シナプスは形成されない<ref name=Howard2005><pubmed>15927687</pubmed></ref>。この他軸索起始部に局在するチャネルや受容体として、[[HCNチャネル]]、[[5HT1受容体|5HT<sub>1</sub>受容体]]、[[P2Y受容体|P2<sub>Y</sub>受容体]]、[[D2受容体|D<sub>2</sub>受容体]]などの報告がある<ref name=Jenkins2025><pubmed>39480263</pubmed></ref>。
 [[大脳皮質]]や[[海馬]]の錐体細胞では、軸索起始部に[[GABA]]作動性の[[軸索終末]]が[[軸索-軸索シナプス]]を形成する<ref name=Howard2005><pubmed>15927687</pubmed></ref>。これらの神経細胞の軸索起始部では[[K-Cl共輸送体]]([[KCC2]])の発現が低いため、軸索起始部での[[GABAA受容体|GABA<sub>A</sub>受容体]]の活性化は軸索起始部局所の[[脱分極]]を生じるが、一方で、短絡コンダクタンスを増すため活動電位の発生は抑制される<ref name=Szabadics2006><pubmed>16410524</pubmed></ref>。小脳の[[プルキンエ細胞]]の軸索起始部にもGABA作動性の軸索終末が分布するが、シナプスは形成されない<ref name=Howard2005><pubmed>15927687</pubmed></ref>。この他軸索起始部に局在するチャネルや受容体として、[[HCNチャネル]]、[[5HT1受容体|5HT<sub>1</sub>受容体]]、[[P2Y受容体|P2<sub>Y</sub>受容体]]、[[D2受容体|D<sub>2</sub>受容体]]などの報告がある<ref name=Jenkins2025><pubmed>39480263</pubmed></ref>。