「脂肪酸結合タンパク質7型」の版間の差分

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==神経系での局在と機能==
==神経系での局在と機能==
 胎児期の[[大脳皮質]]発達過程において[[神経細胞]]の移動の90%は[[放射状グリア細胞]]によって誘導されると考えられている。哺乳類の脳の発達期にFABP7は放射状グリア細胞に特異的に発現し、[[グリア細胞]]の突起の伸長や神経細胞の移動に関与している。FABP7の放射状グリアでの発現は神経細胞の移動によって誘導され、この誘導はNotchシグナル経路を介して行われている<ref name=ref3 />。哺乳類のFABP7は神経細胞の新生が活発な胎生期の[[脳室]]および[[脳室下帯]]の[[神経上皮]]や成熟期[[海馬]][[歯状回]]顆粒細胞層の[[神経幹細胞]]に局在している。最近の研究では、FABP7が神経幹細胞の未分化性の維持に深く関わることが示されている<ref name=ref4 /><ref name=ref7><pubmed> 20057506 </pubmed></ref>。
 胎児期の[[大脳皮質]]発達過程において[[神経細胞]]の移動の90%は[[放射状グリア細胞]]によって誘導されると考えられている。哺乳類の脳の発達期にFABP7は放射状グリア細胞に特異的に発現し、[[グリア細胞]]の突起の伸長や神経細胞の移動に関与している。FABP7の放射状グリアでの発現は神経細胞の移動によって誘導され、この誘導はNotchシグナル経路を介して行われている<ref name=ref3 />。哺乳類のFABP7は神経細胞の新生が活発な胎生期の[[脳室]]および[[脳室下帯]]の[[神経上皮]]や成熟期[[海馬]][[歯状回]]顆粒細胞層の[[神経幹細胞]]に局在している。最近の研究では、FABP7が神経幹細胞の未分化性の維持に深く関わることが示されている<ref name=ref4 /><ref name=ref7><pubmed> 20057506 </pubmed></ref>。
これらの神経幹細胞の他に[[アストロサイト]]や[[オリゴデンドロサイト前駆細胞]](OPC)での局在が報告されている<ref name=ref 1/><ref name=ref8><pubmed> 21938553 </pubmed></ref>。
これらの神経幹細胞の他に[[アストロサイト]]や[[オリゴデンドロサイト前駆細胞]](OPC)での局在が報告されている<ref name=ref1/><ref name=ref8><pubmed> 21938553 </pubmed></ref>。
 FABP7は様々な神経精神疾患、特に[[統合失調症]]の病態との関連が示唆されている。統合失調症患者群において、FABP7の2番目のエクソンに存在する[[一塩基多型]](SNP)で有意な相関が認められ、FABP7mRNAレベルが統合失調症患者の死後脳で非患者と比較して有意に上昇していることも明らかにされている。FABP7欠損マウスでは統合失調症の[[エンドフェノタイプ]]のひとつとされる[[プレパルスインヒビション]](PPI)が障害されている。PPIの機能障害は他の神経[[精神疾患]]([[アルツハイマー病]]、[[自閉症障害]]、[[双極性障害]]など)にも見られることから、これらの疾患にもFABP7が関与していると考えられている <ref name=ref3 /><ref name=ref9><pubmed> 18001149 </pubmed></ref>。
 FABP7は様々な神経精神疾患、特に[[統合失調症]]の病態との関連が示唆されている。統合失調症患者群において、FABP7の2番目のエクソンに存在する[[一塩基多型]](SNP)で有意な相関が認められ、FABP7mRNAレベルが統合失調症患者の死後脳で非患者と比較して有意に上昇していることも明らかにされている。FABP7欠損マウスでは統合失調症の[[エンドフェノタイプ]]のひとつとされる[[プレパルスインヒビション]](PPI)が障害されている。PPIの機能障害は他の神経[[精神疾患]]([[アルツハイマー病]]、[[自閉症障害]]、[[双極性障害]]など)にも見られることから、これらの疾患にもFABP7が関与していると考えられている <ref name=ref3 /><ref name=ref9><pubmed> 18001149 </pubmed></ref>。
(Watanabe, Maekawa)。また、FABP7は[[ダウン症]]患者の脳に過剰に発現している<ref name=ref3 />。
(Watanabe, Maekawa)。また、FABP7は[[ダウン症]]患者の脳に過剰に発現している<ref name=ref3 />。
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