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Norikotakahashi (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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4-2 開口放出現象([[エクソサイトーシス]])の可視化 | 4-2 開口放出現象([[エクソサイトーシス]])の可視化 | ||
4-3 分泌小胞の直径測定 | 4-3 分泌小胞の直径測定 | ||
5. 関連項目 | |||
6.参考文献 | |||
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'''<br>==応用例=='''<br>'''[[wikipedia:ja:シナプス|シナプス]]前機能の解析'''<br>''' ・[[wikipedia:ja:シナプス|シナプス]]前終末における小胞プールの大きさと開口放出確率の測定'''<br>細胞外を FM1-43 で還流中に、短い放出刺激を与え(例 20 Hz、30 発)、開口放出([[エクソサイトーシス]])した小胞の膜を染める。 <br><br>[[Image:Takahashinoriko fig 3.jpg|thumb|center|600px|図3]]<br>[[シナプス小胞]]は 30-60秒で細胞内部に[[エンドサイトーシス]]で取り込まれる。その後、細胞外を、色素を含まない溶液で還流し、細胞外膜に結合した色素を wash out する。このような loading 過程を経て示される蛍光量は、30回の刺激時に開口放出した小胞にあたり Readily releasable pool (RRP)のサイズの指標となる。カエル [[神経筋接合部]]の場合、RRP の小胞数は神経終末内小胞の約 15%(12-17%)と報告された<ref><pubmed> 15044806 </pubmed></ref>。<br> | '''<br>==応用例=='''<br>'''[[wikipedia:ja:シナプス|シナプス]]前機能の解析'''<br>''' ・[[wikipedia:ja:シナプス|シナプス]]前終末における小胞プールの大きさと開口放出確率の測定'''<br>細胞外を FM1-43 で還流中に、短い放出刺激を与え(例 20 Hz、30 発)、開口放出([[エクソサイトーシス]])した小胞の膜を染める。 <br><br>[[Image:Takahashinoriko fig 3.jpg|thumb|center|600px|図3]]<br>[[シナプス小胞]]は 30-60秒で細胞内部に[[エンドサイトーシス]]で取り込まれる。その後、細胞外を、色素を含まない溶液で還流し、細胞外膜に結合した色素を wash out する。このような loading 過程を経て示される蛍光量は、30回の刺激時に開口放出した小胞にあたり Readily releasable pool (RRP)のサイズの指標となる。カエル [[神経筋接合部]]の場合、RRP の小胞数は神経終末内小胞の約 15%(12-17%)と報告された<ref><pubmed> 15044806 </pubmed></ref>。<br> | ||
<br>次に、細胞外色素フリーの状態で放出刺激を与えると、前段階で染められた[[シナプス小胞]]は細胞膜と融合し、細胞外液への拡散により神経終末の蛍光は減弱する(destaining)。この減弱の程度や時間経過から、開口放出の量と速度が評価できる。蛍光減弱の時間経過は single exponential に近似されることから、放出確率 (Release probability, Pr) は蛍光減弱の時定数に反比例すると考えられる。Prの計算法として、(Recycling pool の小胞数×0.63)/ (37%に蛍光減弱するまでに与えた電気パルス数)で示す方法<ref><pubmed> 18701072 </pubmed></ref> が提起された。より簡易的には、FM1-43 の蛍光半減期の逆数<ref><pubmed> 11426227 </pubmed></ref>で示されるケースもある。<br><br>''' ・[[シナプス小胞]]の動態の解析'''<br>開口放出した顆粒は active zone の周辺から内部に取り込まれ([[エンドサイトーシス]])、再び放出可能となる(recycle)。このリサイクルにかかる時間は、[[海馬]]培養標本では 20-30秒、[[神経筋接合部]]では 60秒と見積もられた。そこで Recycling pool(= RRP + Reserve pool)の測定は、RRP 測定時よりも長い時間電気刺激を与え、色素をロードする事により達成できる(例 10Hz 900 発)。リサイクルされた小胞は、元来小胞があった領域のほぼ全域に拡散し、core(中央部)への拡散のみが軽度に少なかった。また、リサイクルした小胞は、初めて刺激を受けたプール同様の放出確率を持つことが報告された<ref><pubmed> 1553547 </pubmed></ref> 。<br><br>''' | <br>次に、細胞外色素フリーの状態で放出刺激を与えると、前段階で染められた[[シナプス小胞]]は細胞膜と融合し、細胞外液への拡散により神経終末の蛍光は減弱する(destaining)。この減弱の程度や時間経過から、開口放出の量と速度が評価できる。蛍光減弱の時間経過は single exponential に近似されることから、放出確率 (Release probability, Pr) は蛍光減弱の時定数に反比例すると考えられる。Prの計算法として、(Recycling pool の小胞数×0.63)/ (37%に蛍光減弱するまでに与えた電気パルス数)で示す方法<ref><pubmed> 18701072 </pubmed></ref> が提起された。より簡易的には、FM1-43 の蛍光半減期の逆数<ref><pubmed> 11426227 </pubmed></ref>で示されるケースもある。<br><br>''' ・[[シナプス小胞]]の動態の解析'''<br>開口放出した顆粒は active zone の周辺から内部に取り込まれ([[エンドサイトーシス]])、再び放出可能となる(recycle)。このリサイクルにかかる時間は、[[海馬]]培養標本では 20-30秒、[[神経筋接合部]]では 60秒と見積もられた。そこで Recycling pool(= RRP + Reserve pool)の測定は、RRP 測定時よりも長い時間電気刺激を与え、色素をロードする事により達成できる(例 10Hz 900 発)。リサイクルされた小胞は、元来小胞があった領域のほぼ全域に拡散し、core(中央部)への拡散のみが軽度に少なかった。また、リサイクルした小胞は、初めて刺激を受けたプール同様の放出確率を持つことが報告された<ref><pubmed> 1553547 </pubmed></ref> 。<br><br>''' ・[[膜融合]]様式の解析'''<br>FM 色素には、炭素鎖数の異なる複数種類の色素がある。これらが小胞膜を染める頻度を比較することにより、融合細孔の開放時間の長短が識別可能となる。<br>FM2-10 や FM1-43 色素を用い、小胞膜から離脱する完全融合型(full fusion)と、離脱しない不完全融合型(incomplete fusion)の識別が行われた<ref><pubmed> 9707119 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 12354398 </pubmed></ref>。 | ||
'''<br>開口放出現象の可視化'''<br>FM1-43 を網膜双極性細胞の[[シナプス小胞]]に取り込ませて標識し、[[全反射顕微鏡]]で細胞膜直下(~100nm)の観察を行い、単一小胞の開口放出現象の可視化が報告された<ref><pubmed> 10972279 </pubmed></ref> 。<br>また、下垂体前葉細胞 (lactotrophs) や膵島細胞においても、大型[[有芯小胞]] | '''<br>開口放出現象の可視化'''<br>FM1-43 を網膜双極性細胞の[[シナプス小胞]]に取り込ませて標識し、[[全反射顕微鏡]]で細胞膜直下(~100nm)の観察を行い、単一小胞の開口放出現象の可視化が報告された<ref><pubmed> 10972279 </pubmed></ref> 。<br>また、下垂体前葉細胞 (lactotrophs) や膵島細胞においても、大型[[有芯小胞]]の[[膜融合]]に伴い、開口放出部位においてFM1-43 蛍光強度の上昇が報告された <ref><pubmed> 10953007 </pubmed></ref>。 | ||
'''<br>分泌小胞の直径測定<br>'''[[シナプス小胞]]から大型[[有芯小胞]]に至るまで、小胞の直径計測に有効である <ref><pubmed> 16150799 </pubmed></ref>。<br>水溶性色素(赤色 sulforhodamine B)と FM1-43 を細胞外液に同時に与え、開口放出を誘発すると、水溶性色素は小胞内部に進入し、FM1-43 は細胞外膜から小胞内膜へ拡散するため、開口放出した小胞が両色素で描出される。この際 [[2光子レーザー走査顕微鏡]]で画像を取得し、双方の色素の増加分の比を求めると小胞直径が計算される(直径=6 ΔSRB/ΔFM1-43)。本法は色素濃度やレンズ特性(point-spread function)によらず、[[シナプス小胞]]のような光学[[wikipedia:ja:解像度|解像度]]以下の器官の計測にも応用可能である。 <br> | '''<br>分泌小胞の直径測定<br>'''[[シナプス小胞]]から大型[[有芯小胞]]に至るまで、小胞の直径計測に有効である <ref><pubmed> 16150799 </pubmed></ref>。<br>水溶性色素(赤色 sulforhodamine B)と FM1-43 を細胞外液に同時に与え、開口放出を誘発すると、水溶性色素は小胞内部に進入し、FM1-43 は細胞外膜から小胞内膜へ拡散するため、開口放出した小胞が両色素で描出される。この際 [[2光子レーザー走査顕微鏡]]で画像を取得し、双方の色素の増加分の比を求めると小胞直径が計算される(直径=6 ΔSRB/ΔFM1-43)。本法は色素濃度やレンズ特性(point-spread function)によらず、[[シナプス小胞]]のような光学[[wikipedia:ja:解像度|解像度]]以下の器官の計測にも応用可能である。 <br> | ||
'''<br>==関連項目'''==<br> | |||
・開口放出([[エクソサイトーシス]]) | |||
・[[膜融合]] | |||
・[[wikipedia:ja:シナプス|シナプス]] | |||
・分泌 | |||
<br><references /> | <br><references /> | ||
<br>(執筆者:高橋倫子、河西春郎、 担当編集委員:柚崎通介) | <br>(執筆者:高橋倫子、河西春郎、 担当編集委員:柚崎通介) |
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