「プロテアソーム」の版間の差分

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:多くの神経変性疾患に観察される封入体が抗ユビキチン抗体で染色されること<ref name=ref52><pubmed>3029875</pubmed></ref>から、UPSの破綻が神経変性疾患の発症原因であると考えられた<ref name=ref53><pubmed>9881849</pubmed></ref>。McNaughtらはプロテアソーム阻害剤を直接[[マウス]][[小脳]]に注入して[[パーキンソン病]]と類似の症状を引き起こすことを報告し、プロテアソームの抑制とニューロン死の直接的な関係を示唆した<ref name=ref54><pubmed>15480836</pubmed></ref>が、再現性が乏しく、決定的な結論が得られていなかった<ref name=ref55><pubmed>20061621</pubmed></ref>。
:多くの神経変性疾患に観察される封入体が抗ユビキチン抗体で染色されること<ref name=ref52><pubmed>3029875</pubmed></ref>から、UPSの破綻が神経変性疾患の発症原因であると考えられた<ref name=ref53><pubmed>9881849</pubmed></ref>。McNaughtらはプロテアソーム阻害剤を直接[[マウス]][[小脳]]に注入して[[パーキンソン病]]と類似の症状を引き起こすことを報告し、プロテアソームの抑制とニューロン死の直接的な関係を示唆した<ref name=ref54><pubmed>15480836</pubmed></ref>が、再現性が乏しく、決定的な結論が得られていなかった<ref name=ref55><pubmed>20061621</pubmed></ref>。


:しかし最近、生後間もないマウスへのプロテアソーム阻害剤の長期間・連続投与によって神経変性が誘導されることが報告された<ref name=ref56><pubmed>22174927</pubmed></ref>。また、プロテアソームRPを構成するATPaseサブユニットRpt2を脳特異的にノックアウトすると、ユビキチン陽性の[[Lewy体]]様の封入体が蓄積すると共に神経変性が誘導される<ref name=ref57><pubmed>18701681</pubmed></ref>。他方、Rpt3を運動ニューロン特異的にノックアウトすると、TAR DNA-binding protein 43 kDa (TDP-43), fused in sarcoma (FUS), ubiquilin 2, and optineurinなどの筋萎縮性側索硬化症(ALS)の神経変原因遺伝子産物が細胞内分布異常あるいは過剰蓄積して ALS様の症状を呈した[58] 。われわれも20Sプロテアソームの分子集合因子PAC1をマウス[[中枢神経系]]で欠損させてニューロンのプロテアソームレベルを持続的に低下させると、小脳変性を誘発して神経変性疾患様の症状に陥ることを見出した(図7)。これらの結果により、プロテアソームが神経細胞の恒常性維持に必須であることを遺伝学的に証明した<ref name=ref21 />。
:しかし最近、生後間もないマウスへのプロテアソーム阻害剤の長期間・連続投与によって神経変性が誘導されることが報告された<ref name=ref56><pubmed>22174927</pubmed></ref>。また、プロテアソームRPを構成するATPaseサブユニットRpt2を脳特異的にノックアウトすると、ユビキチン陽性の[[Lewy体]]様の封入体が蓄積すると共に神経変性が誘導される<ref name=ref57><pubmed>18701681</pubmed></ref>。他方、Rpt3を運動ニューロン特異的にノックアウトすると、TAR DNA-binding protein 43 kDa (TDP-43), fused in sarcoma (FUS), ubiquilin 2, and optineurinなどの筋萎縮性側索硬化症(ALS)の神経変原因遺伝子産物が細胞内分布異常あるいは過剰蓄積して ALS様の症状を呈した<ref name=ref58><pubmed>23095749</pubmed></ref>。われわれも20Sプロテアソームの分子集合因子PAC1をマウス[[中枢神経系]]で欠損させてニューロンのプロテアソームレベルを持続的に低下させると、小脳変性を誘発して神経変性疾患様の症状に陥ることを見出した(図7)。これらの結果により、プロテアソームが神経細胞の恒常性維持に必須であることが遺伝学的に証明された<ref name=ref15 />。


====家族性パーキンソン病とPINK1・パーキン系====
====家族性パーキンソン病とPINK1・パーキン系====
:ユビキチン系E3リガーゼをコードしている[[パーキン]]が常染色体劣性若年性パーキンソン病の原因遺伝子であることが同定<ref name=ref53><pubmed>9560156</pubmed></ref><ref name=ref54><pubmed>10888878</pubmed></ref>され、UPSの破綻と神経変性疾患の関係が注目された。即ち、パーキンの標的分子が[[ドーパミン]]ニューロンに蓄積し、細胞死を誘導すると考えられた。
:ユビキチン系E3リガーゼをコードしている[[パーキン]]が常染色体劣性若年性パーキンソン病の原因遺伝子であることが同定<ref name=ref59><pubmed>9560156</pubmed></ref><ref name=ref60><pubmed>10888878</pubmed></ref>され、UPSの破綻と神経変性疾患の関係が注目された。即ち、パーキンの標的分子が[[ドーパミン]]ニューロンに蓄積し、細胞死を誘導すると考えられた。


:この機構としてYouleらやわれわれは若年性に発症する常染色体劣性遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子産物であるセリン/スレオニン型タンパク質リン酸化酵素[[PINK1]]と パーキンとの関連に着目した。<ref name=ref56><pubmed>19029340</pubmed></ref> <ref name=ref57><pubmed>20404107</pubmed></ref>。
:この機構としてYouleらやわれわれは若年性に発症する常染色体劣性遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子産物であるセリン/スレオニン型タンパク質リン酸化酵素[[PINK1]]と パーキンとの関連に着目した。<ref name=ref61><pubmed>19029340</pubmed></ref> <ref name=ref62><pubmed>20404107</pubmed></ref>。


:通常[[ミトコンドリア]]外膜局在型のPINK1は健常なミトコンドリアにおいては、[[PARL]]酵素とプロテアソーム系による恒常的な分解を受けているが、[[膜電位]]が低下すると、これらの分解系から免れてミトコンドリア外膜上に蓄積する。蓄積したPINK1は細胞質の不活性型パーキンを損傷ミトコンドリアに移行・活性型に変換させる。その結果、複数のミトコンドリア外膜タンパク質がユビキチン化されプロテアソームにより分解される。これが引き金となって損傷ミトコンドリアはオートファジーにより分解除去される(マイトファジー)<ref name=ref58><pubmed>21179058</pubmed></ref>。
:通常[[ミトコンドリア]]外膜局在型のPINK1は健常なミトコンドリアにおいては、[[PARL]]酵素とプロテアソーム系による恒常的な分解を受けているが、[[膜電位]]が低下すると、これらの分解系から免れてミトコンドリア外膜上に蓄積する。蓄積したPINK1は細胞質の不活性型パーキンを損傷ミトコンドリアに移行・活性型に変換させる。その結果、複数のミトコンドリア外膜タンパク質がユビキチン化されプロテアソームにより分解される。これが引き金となって損傷ミトコンドリアはオートファジーにより分解除去される(マイトファジー)<ref name=ref63><pubmed>20126261</pubmed></ref>。


:言い換えると、PINK1・パーキンは膜電位が低下した時のみに発動するように巧妙に制御されているので、損傷ミトコンドリアだけが細胞から除去されることになる。この品質管理が適切に行われずにニューロン内に異常ミトコンドリアが蓄積すると、ドーパミンニューロンの変性を引き起こしパーキンソン病が発症すると想定される(図8)。
:言い換えると、PINK1・パーキンは膜電位が低下した時のみに発動するように巧妙に制御されているので、損傷ミトコンドリアだけが細胞から除去されることになる。この品質管理が適切に行われずにニューロン内に異常ミトコンドリアが蓄積すると、ドーパミンニューロンの変性を引き起こしパーキンソン病が発症すると想定される(図8)。


:このスキームにおける核心は、不良ミトコンドリアのモニタリングであり、その機序としてYouleらは、膜電位依存的なPINK1の(PARLが局在する)ミトコンドリア内膜への輸送仮説を提案しており、その骨子は「膜電位が低下するとPINK1の内膜への輸送が障害されてPINK1が外膜に蓄積する:量的制御」ことである<ref name=ref59><pubmed>21115803</pubmed></ref>。一方われわれは「膜電位依存的な不活性型PINK1の自己リン酸化による活性化が不良Mtを感知する:質的制御」もう一つのメカニズムであることを突き止めた[65][66]。そして活性化されたPINK1がパーキンをリン酸化して活性化・不良ミトコンドリアにルクルートすることも判明した[67]
:このスキームにおける核心は、不良ミトコンドリアのモニタリングであり、その機序としてYouleらは、膜電位依存的なPINK1の(PARLが局在する)ミトコンドリア内膜への輸送仮説を提案しており、その骨子は「膜電位が低下するとPINK1の内膜への輸送が障害されてPINK1が外膜に蓄積する:量的制御」ことである<ref name=ref64><pubmed>21179058</pubmed></ref>。一方われわれは「膜電位依存的な不活性型PINK1の自己リン酸化による活性化が不良Mtを感知する:質的制御」もう一つのメカニズムであることを突き止めた<ref name=ref65><pubmed>22910362</pubmed></ref> <ref name=ref66><pubmed>24189060</pubmed></ref>。そして活性化されたPINK1がパーキンをリン酸化して活性化・不良ミトコンドリアにルクルートすることも判明した<ref name=ref67><pubmed>23754282</pubmed></ref>


:不良なミトコンドリアの累積は、活性酸素(ROS)を増産させ、DNA・タンパク質・脂質などを修飾して細胞障害を引き起こす。従ってミトコンドリアの品質管理(不良品の処理)は、[[細胞分裂]]によって損傷ミトコンドリアを浄化(クリアランス)できないニューロンなどの非分裂細胞にとっては、健康を維持するために必須である。実際、孤発型パーキンソン病におけるミトコンドリアの機能異常(呼吸鎖の低下やミトコンドリアDNAの欠失など)が報告されている<ref name=ref55><pubmed>16495942</pubmed></ref>。ミトコンドリアの良・不良をモニター(監視)することは、ニューロンが健全に活動するために不可欠である。そしてミコンドリアは分裂と融合を繰り返しながら自律的に増殖できるので、不良ミトコンドリアを適切に処分できれば、正常な量を維持することができる。
:不良なミトコンドリアの累積は、活性酸素(ROS)を増産させ、DNA・タンパク質・脂質などを修飾して細胞障害を引き起こす。従ってミトコンドリアの品質管理(不良品の処理)は、[[細胞分裂]]によって損傷ミトコンドリアを浄化(クリアランス)できないニューロンなどの非分裂細胞にとっては、健康を維持するために必須である。実際、孤発型パーキンソン病におけるミトコンドリアの機能異常(呼吸鎖の低下やミトコンドリアDNAの欠失など)が報告されている<ref name=ref68><pubmed>16495942</pubmed></ref>。ミトコンドリアの良・不良をモニター(監視)することは、ニューロンが健全に活動するために不可欠である。そしてミコンドリアは分裂と融合を繰り返しながら自律的に増殖できるので、不良ミトコンドリアを適切に処分できれば、正常な量を維持することができる。


===癌===
===癌===
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===免疫疾患===
===免疫疾患===
 免疫プロテアソームのキモトリプシン型活性をコードする&beta;5i遺伝子(PSMB8)のミスセンス変異が、[[wj:中条-西村症候群|中条-西村症候群]]([[wj:凍瘡|凍瘡]]様[[wj:皮疹|皮疹]]と限局性脂肪萎縮を伴う遺伝性[[wj:周期熱症候群|周期熱症候群]])を引き起こすことが判明した<ref name=ref61><pubmed>21852578</pubmed></ref> <ref name=ref62><pubmed>21881205</pubmed></ref>。中条-西村症候群は、1939に発見された遺伝性疾病で、プロテアソームの分子集合異常に起因した機能不全のためにタンパク質の品質管理が破綻し、[[wj:IL-6|IL-6]]が過剰に産生されることによって引き起こされる[[wj:炎症|炎症]]性疾患である。これはプロテアソームのヒト遺伝性疾患の最初の例であり、国内外で注目されている。
 免疫プロテアソームのキモトリプシン型活性をコードする&beta;5i遺伝子(PSMB8)のミスセンス変異が、[[wj:中条-西村症候群|中条-西村症候群]]([[wj:凍瘡|凍瘡]]様[[wj:皮疹|皮疹]]と限局性脂肪萎縮を伴う遺伝性[[wj:周期熱症候群|周期熱症候群]])を引き起こすことが判明した<ref name=ref69><pubmed>21852578</pubmed></ref> <ref name=ref70><pubmed>21881205</pubmed></ref>。中条-西村症候群は、1939に発見された遺伝性疾病で、プロテアソームの分子集合異常に起因した機能不全のためにタンパク質の品質管理が破綻し、[[wj:IL-6|IL-6]]が過剰に産生されることによって引き起こされる[[wj:炎症|炎症]]性疾患である。これはプロテアソームのヒト遺伝性疾患の最初の例であり、国内外で注目されている。


==オートファジーとの関連==
==オートファジーとの関連==


 神経変性疾患に関係して、協同的に作用するオートファジーの役割が注目されている。オートファジーの最も重要な機能は飢餓適応(低栄養応答)である。即ちオートファジーによる自己成分の分解は[[wj:アミノ酸|アミノ酸]]供給を通じてエネルギーの恒常的な確保に関与しており、飢餓に対するバックアップシステムと考えられる(誘導的オートファジー)。この意味でオートファジーは自律的な栄養素確保を可能にする生存戦略となっている。しかしオートファジーは日常的にも低いレベルでおこっている。この基底レベルのオートファジー(恒常的オートファジー)は、細胞内タンパク質の選択的な浄化機構として重要であると考えられている<ref name=ref63><pubmed>22078875</pubmed></ref>。
 神経変性疾患に関係して、協同的に作用するオートファジーの役割が注目されている。オートファジーの最も重要な機能は飢餓適応(低栄養応答)である。即ちオートファジーによる自己成分の分解は[[wj:アミノ酸|アミノ酸]]供給を通じてエネルギーの恒常的な確保に関与しており、飢餓に対するバックアップシステムと考えられる(誘導的オートファジー)。この意味でオートファジーは自律的な栄養素確保を可能にする生存戦略となっている。しかしオートファジーは日常的にも低いレベルでおこっている。この基底レベルのオートファジー(恒常的オートファジー)は、細胞内タンパク質の選択的な浄化機構として重要であると考えられている<ref name=ref71><pubmed>22078875</pubmed></ref>。


 異常タンパク質あるいは変性タンパク質の細胞内蓄積はさまざまな変性疾患や老化過程でも観察されており、プロテアソームは大きな凝集体は処理できないために、これらの病態発症におけるオートファジーの関与が注目されている。実際、多く神経変性疾患においてオートファジーの亢進が報告されている。そして中枢神経系特異的にオートファジーを欠損させたマウスは神経変性疾患の症状を引き起こす<ref name=ref64><pubmed>16625205</pubmed></ref> <ref name=ref65><pubmed>16625204</pubmed></ref>。さらにプロテアソームを阻害すると、オートファジーが亢進することから、この二つのUPSとオートファジーには、相互補完的な役割があると考えられる<ref name=ref66><pubmed>22187000</pubmed></ref>。
 異常タンパク質あるいは変性タンパク質の細胞内蓄積はさまざまな変性疾患や老化過程でも観察されており、プロテアソームは大きな凝集体は処理できないために、これらの病態発症におけるオートファジーの関与が注目されている。実際、多く神経変性疾患においてオートファジーの亢進が報告されている。そして中枢神経系特異的にオートファジーを欠損させたマウスは神経変性疾患の症状を引き起こす<ref name=ref72><pubmed>16625205</pubmed></ref> <ref name=ref73><pubmed>16625204</pubmed></ref>。さらにプロテアソームを阻害すると、オートファジーが亢進することから、この二つのUPSとオートファジーには、相互補完的な役割があると考えられる<ref name=ref74><pubmed>22187000</pubmed></ref>。


==阻害剤・活性化剤==
==阻害剤・活性化剤==
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 天然の阻害剤としてlactacystinやepoxomicinが知られている。
 天然の阻害剤としてlactacystinやepoxomicinが知られている。


 プロテアソーム阻害剤である[[wj:PS-341|PS-341]](別名[[wj:bortezomib| bortezomib]]、商品名[[wj:velcade| velcade]])<ref name=ref60><pubmed>15122206</pubmed></ref>が[[wj:多発性骨髄腫|多発性骨髄腫]]細胞のアポトーシス誘導を示すことが報告され、2003年再発・難治性骨髄腫を対象疾患として臨床応用されている。さらに副作用の少ない多くのプロテアソーム阻害剤の開発が進められており、既存の[[wj:抗ガン剤|抗ガン剤]]との併用を視野に固形ガンを含め臨床治験が進行中である。
 プロテアソーム阻害剤である[[wj:PS-341|PS-341]](別名[[wj:bortezomib| bortezomib]]、商品名[[wj:velcade| velcade]])<ref name=ref75><pubmed>15122206</pubmed></ref> <ref name=ref76><pubmed>23148232</pubmed></ref>が[[wj:多発性骨髄腫|多発性骨髄腫]]細胞のアポトーシス誘導を示すことが報告され、2003年再発・難治性骨髄腫を対象疾患として臨床応用されている。さらに副作用の少ない多くのプロテアソーム阻害剤の開発が進められており、既存の[[wj:抗ガン剤|抗ガン剤]]との併用を視野に固形ガンを含め臨床治験が進行中である<ref name=ref77><pubmed>23393020</pubmed></ref>。


 またプロテアソームの脱ユビキチン酵素の一つUSP14の阻害剤IU1が、プロテアソームを活性化することが見出された<ref name=ref67><pubmed>20829789</pubmed></ref>。またプロテアソームに会合している二種の脱ユビキチン酵素(USP14とUch37/UCHL5)を同時に抑制する阻害薬として開発されたb-AP15が、ガン細胞のアポトーシシスを誘導することが見出され、がん治療への貢献が期待されている<ref name=ref68><pubmed>22057347</pubmed></ref>。さらにユビキチンリガーゼや脱ユビキチン化酵素の異常で様々な病気が発症することが知られており、これらに対する阻害剤の開発が欧米を中心に活発に行われている。従ってこれらをターゲットとした新薬が開発され、健康科学の発展に大きく寄与することが期待されている<ref name=ref69><pubmed>21151032</pubmed></ref>。
 またプロテアソームの脱ユビキチン酵素の一つUSP14の阻害剤IU1が、プロテアソームを活性化することが見出された<ref name=ref78><pubmed>20829789</pubmed></ref>。またプロテアソームに会合している二種の脱ユビキチン酵素(USP14とUch37/UCHL5)を同時に抑制する阻害薬として開発されたb-AP15が、ガン細胞のアポトーシシスを誘導することが見出され、がん治療への貢献が期待されている<ref name=ref79><pubmed>22057347</pubmed></ref>。さらにユビキチンリガーゼや脱ユビキチン化酵素の異常で様々な病気が発症することが知られており、これらに対する阻害剤の開発が欧米を中心に活発に行われている。従ってこれらをターゲットとした新薬が開発され、健康科学の発展に大きく寄与することが期待されている<ref name=ref80><pubmed>21151032</pubmed></ref>。
 
 現在、プロテアソームの活性が様々な疾病で大きく変動することが知られているほか<ref name=ref81><pubmed>23994620</pubmed></ref>、プロテアソームの細胞内動態について再先端技術を用いた解析が精力的に勧められており<ref name=ref82>'''Chan-Gi Pack, Haruka Yukii, Akio Toh-e, Tai Kudo, Hikaru Tsuchiya, Ai Kaiho, Eri Sakata, Shigeo Murata, Hideyoshi Yokosawa, Yasushi Sako, Wolfgang Baumeister, Keiji Tanaka, Yasushi Saeki'''<br>Quantitative Live-Cell Imaging Reveals Spatio-Temporal Dynamics and Cytoplasmic Assembly of the 26S Proteasome. <br>''Nat. Commmun.'' 2014 in press.</ref>、今後UPSが創薬の大きなターゲットになることが、期待されている。


==関連項目==
==関連項目==