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哺乳類中枢神経系における興奮性シナプス伝達の多くはグルタミン酸(glutamate, glutamic acid)を介して行なわれる。実に、哺乳類脳内の約8割のニューロンがグルタミン酸を放出する。グルタミン酸は、体内の全ての細胞内に比較的高濃度で存在しているため、ニューロンがグルタミン酸を放出するためには、分泌小胞であるシナプス小胞内腔にグルタミン酸が濃縮される必要がある。グルタミン酸をシナプス小胞に輸送するトランスポーターが小胞型グルタミン酸トランスポーター(VGLUT; vesicular glutamate transporter)であり、これまで哺乳類では3つのアイソフォームが同定されている。VGLUTは、液胞型プロトンATPaseによって形成されるプロトン電気化学勾配を駆動力として、グルタミン酸を小胞内に濃縮する。Na<sup>+</sup>勾配を駆動力としてグルタミン酸を輸送する形質膜型のグルタミン酸トランスポーターとはアミノ酸配列の相同性がない。近年、各VGLUTアイソフォームのノックアウトマウスの解析から、VGLUTがグルタミン酸放出に必須の因子であることや、各々のVGLUTを使ったグルタミン酸神経回路の生理的な重要性が明らかになってきた。 | 哺乳類中枢神経系における興奮性シナプス伝達の多くはグルタミン酸(glutamate, glutamic acid)を介して行なわれる。実に、哺乳類脳内の約8割のニューロンがグルタミン酸を放出する。グルタミン酸は、体内の全ての細胞内に比較的高濃度で存在しているため、ニューロンがグルタミン酸を放出するためには、分泌小胞であるシナプス小胞内腔にグルタミン酸が濃縮される必要がある。グルタミン酸をシナプス小胞に輸送するトランスポーターが小胞型グルタミン酸トランスポーター(VGLUT; vesicular glutamate transporter)であり、これまで哺乳類では3つのアイソフォームが同定されている。VGLUTは、液胞型プロトンATPaseによって形成されるプロトン電気化学勾配を駆動力として、グルタミン酸を小胞内に濃縮する。Na<sup>+</sup>勾配を駆動力としてグルタミン酸を輸送する形質膜型のグルタミン酸トランスポーターとはアミノ酸配列の相同性がない。近年、各VGLUTアイソフォームのノックアウトマウスの解析から、VGLUTがグルタミン酸放出に必須の因子であることや、各々のVGLUTを使ったグルタミン酸神経回路の生理的な重要性が明らかになってきた。 | ||
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