「プライミング効果」の版間の差分

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== 神経基盤  ==
== 神経基盤  ==


 直接プライミング効果に関連する脳領域として、これまでの[[脳機能イメージング]]研究は、刺激の様式(モダリティ)に特異的に関与する脳領域の重要性を指摘している。たとえば、視覚提示された刺激の知覚的プライミング効果は、[[後頭側頭葉皮質]]などの[[視覚]]的形態の処理に関連する領域の賦活が低下することと関連することが報告されている<ref><pubmed>15496863</pubmed></ref>。また、[[聴覚]]的に提示された単語に関連する知覚的プライミング効果には、側頭葉の[[聴覚皮質]]の賦活の低下との関連性が指摘されている<ref><pubmed>18480284</pubmed></ref>。これらの結果は、知覚的プライミング効果は各々のモダリティに特異的な脳領域の賦活の低下と関連しており、モダリティに特異的な情報処理システム(知覚表象システム)<ref><pubmed>2296719</pubmed></ref>によって媒介されていることを示唆している。   
 直接プライミング効果に関連する脳領域として、これまでの[[脳機能イメージング]]研究は、刺激の様式([[モダリティ]])に特異的に関与する脳領域の重要性を指摘している。たとえば、視覚提示された刺激の知覚的プライミング効果は、[[後頭側頭葉皮質]]などの[[視覚]]的形態の処理に関連する領域の賦活が低下することと関連することが報告されている<ref><pubmed>15496863</pubmed></ref>。また、[[聴覚]]的に提示された単語に関連する知覚的プライミング効果には、側頭葉の[[聴覚皮質]]の賦活の低下との関連性が指摘されている<ref><pubmed>18480284</pubmed></ref>。これらの結果は、知覚的プライミング効果は各々のモダリティに特異的な脳領域の賦活の低下と関連しており、モダリティに特異的な情報処理システム(知覚表象システム)<ref><pubmed>2296719</pubmed></ref>によって媒介されていることを示唆している。   


 意味的プライミング効果に関連する脳領域に関しては一致した見解は得られていないが、ひとつの可能性として、[[左前方側頭葉]]の重要性が指摘されている。たとえば、語彙判断課題における賦活をプライマーとターゲットが意味的に関連している条件と関連していない条件とで比較した際に、左前方側頭葉領域の賦活が有意に低下することが報告されている<ref><pubmed>12638581</pubmed></ref>。この結果は、左前方側頭葉の有意な委縮を示す[[前頭側頭型認知症]]の症例において、意味認知症の症状が認められるという神経心理学的知見<ref><pubmed>16317259</pubmed></ref>とも一致しており、左前方側頭葉領域が意味システムを媒介して起こると考えられる意味的プライミング効果の神経基盤のひとつであることが示唆される。
 意味的プライミング効果に関連する脳領域に関しては一致した見解は得られていないが、ひとつの可能性として、[[左前方側頭葉]]の重要性が指摘されている。たとえば、[[語彙]]判断課題における賦活をプライマーとターゲットが意味的に関連している条件と関連していない条件とで比較した際に、左前方側頭葉領域の賦活が有意に低下することが報告されている<ref><pubmed>12638581</pubmed></ref>。この結果は、左前方側頭葉の有意な委縮を示す[[前頭側頭型認知症]]の症例において、意味認知症の症状が認められるという神経心理学的知見<ref><pubmed>16317259</pubmed></ref>とも一致しており、左前方側頭葉領域が意味システムを媒介して起こると考えられる意味的プライミング効果の神経基盤のひとつであることが示唆される。


== 関連項目  ==
== 関連項目  ==