「アルコール依存症」の版間の差分

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 アルコール依存症が[[自殺]]や[[自殺企図]]のリスク因子であることも多くの研究から確認されている。アルコール依存症、[[気分障害]]、[[統合失調症]]で自殺の生涯リスクを比較した研究によるとアルコール依存症で7%、気分障害で6%、[[統合失調症]]で4%と推計されており、アルコール依存症は気分障害より自殺のリスクが高いとされる<ref><pubmed>9534829</pubmed></ref>。また、入院治療を受けたアルコール依存症の国内調査では、アルコール依存症群は一般人口に比べて男性で約9倍、女性で35倍高い自殺の危険があるという研究結果がある<ref><pubmed>3435274</pubmed></ref>。
 アルコール依存症が[[自殺]]や[[自殺企図]]のリスク因子であることも多くの研究から確認されている。アルコール依存症、[[気分障害]]、[[統合失調症]]で自殺の生涯リスクを比較した研究によるとアルコール依存症で7%、気分障害で6%、[[統合失調症]]で4%と推計されており、アルコール依存症は気分障害より自殺のリスクが高いとされる<ref><pubmed>9534829</pubmed></ref>。また、入院治療を受けたアルコール依存症の国内調査では、アルコール依存症群は一般人口に比べて男性で約9倍、女性で35倍高い自殺の危険があるという研究結果がある<ref><pubmed>3435274</pubmed></ref>。


 周囲の人々に与える影響として、繰り返される酩酊状態は[[wj:家庭内暴力|家庭内暴力]]や[[wj:ドメスティックバイオレンス|ドメスティックバイオレンス]]、あるいは[[wj:ネグレクト|ネグレクト]]の契機となる。女性のアルコール依存症者は、家族が本人を飲酒させまいと暴力を振るわれやすく、暴力被害者の立場になることもある。また、アルコール依存症者の振る舞う行動に他の家族が振り回され、家族は常に依存症者に対して監視の目を光らせざるを得なくなり、家族関係の変化が起こってくる。このようにして、アルコール依存症は「機能不全家族」と呼ばれる、常に家庭内に対立の空気が流れる家庭環境の原因となり得る。
 周囲の人々に与える影響として、繰り返される酩酊状態は[[wj:家庭内暴力|家庭内暴力]]や[[wj:ドメスティックバイオレンス|ドメスティックバイオレンス]]、あるいは[[wj:ネグレクト|ネグレクト]]の契機となる。女性のアルコール依存症者は、本人を飲酒させまいとする家族から暴力を振るわれやすく、暴力被害者の立場になることもある。また、アルコール依存症者の振る舞う行動に他の家族が振り回され、家族は常に依存症者に対して監視の目を光らせざるを得なくなり、家族関係の変化が起こってくる。このようにして、アルコール依存症は「機能不全家族」と呼ばれる、常に家庭内に対立の空気が流れる家庭環境の原因となり得る。


 さらに、アルコールによる社会的な影響も無視できない。[[wj:飲酒運転|飲酒運転]]がその一つである。飲酒運転とアルコール依存症の関連は国内外の多くの研究で指摘されている。医療と警察が協力して行った神奈川県の調査で、飲酒運転で検挙された経験があるもののうち「アルコール依存症の可能性が高い」に該当していた者の割合は、男性47.2%、女性の38.9%に上った<ref>'''長徹二'''<br>アルコール使用障害と飲酒運転<br>''日本アルコール・薬物医学会雑誌'',46;157–169. 2011. </ref>。一般人口におけるアルコール依存症者の割合は、2003年の全国調査にて男性1.0%、女性0.2%とされているため、飲酒運転者の中にはアルコール依存症者が高い割合で含まれると言える。
 さらに、アルコールによる社会的な影響も無視できない。[[wj:飲酒運転|飲酒運転]]がその一つである。飲酒運転とアルコール依存症の関連は国内外の多くの研究で指摘されている。医療と警察が協力して行った神奈川県の調査で、飲酒運転で検挙された経験があるもののうち「アルコール依存症の可能性が高い」に該当していた者の割合は、男性47.2%、女性の38.9%に上った<ref>'''長徹二'''<br>アルコール使用障害と飲酒運転<br>''日本アルコール・薬物医学会雑誌'',46;157–169. 2011. </ref>。一般人口におけるアルコール依存症者の割合は、2003年の全国調査にて男性1.0%、女性0.2%とされているため、飲酒運転者の中にはアルコール依存症者が高い割合で含まれると言える。