「ミクログリア」の版間の差分

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 ミクログリアはその挙動からマクロファージに類似した細胞と認識されている。1900年代に[[wikipedia:F. Robertson|Robertson]]によって、神経細胞由来の崩壊物がミクログリアの細胞内に多数存在していることが見出されており、ミクログリアの貪食についての初めての観察とされている。ミクログリアは活性化型の形態の一つとして、通常は細く枝分かれした突起の退縮を引き起こし、アメボイド形態に変化する。このようなミクログリアは強い貪食作用を示し、死細胞やデブリ(障害を受けた細胞の破片など)を取り除く作用を持っている。ミクログリアが障害を受けた死細胞を取り除くことは、有害な細胞内因子の漏出を防いで脳内環境を保つ意味で重要なプロセスである。
 ミクログリアはその挙動からマクロファージに類似した細胞と認識されている。1900年代に[[wikipedia:F. Robertson|Robertson]]によって、神経細胞由来の崩壊物がミクログリアの細胞内に多数存在していることが見出されており、ミクログリアの貪食についての初めての観察とされている。ミクログリアは活性化型の形態の一つとして、通常は細く枝分かれした突起の退縮を引き起こし、アメボイド形態に変化する。このようなミクログリアは強い貪食作用を示し、死細胞やデブリ(障害を受けた細胞の破片など)を取り除く作用を持っている。ミクログリアが障害を受けた死細胞を取り除くことは、有害な細胞内因子の漏出を防いで脳内環境を保つ意味で重要なプロセスである。


 現在では、神経細胞の自己死の一つの形態に、ミクログリアが生きた神経細胞を貪食して組織中から取り除くといった現象も報告されている([[phagoptosis]])<ref name=ref59><pubmed>21402900</pubmed></ref> <ref name=ref60><pubmed>24646669</pubmed></ref>。これらミクログリアの貪食活性は死細胞に対してだけではなく、病原体や細胞からの分泌物や老廃物の除去という役割も持っており、ミクログリアの最も重要な機能の一つである。
 現在では、神経細胞の自己死の一つの形態に、ミクログリアが生きた神経細胞を貪食して組織中から取り除くといった現象も報告されている([[ファゴプトーシス]] [[phagoptosis]])<ref name=ref59><pubmed>21402900</pubmed></ref> <ref name=ref60><pubmed>24646669</pubmed></ref>。これらミクログリアの貪食活性は死細胞に対してだけではなく、病原体や細胞からの分泌物や老廃物の除去という役割も持っており、ミクログリアの最も重要な機能の一つである。


 また、不要物の除去はその後の脳組織の回復にも寄与すると考えられ、障害によって変性した[[軸索]]の再生の促進にも関与するとされる。
 また、不要物の除去はその後の脳組織の回復にも寄与すると考えられ、障害によって変性した[[軸索]]の再生の促進にも関与するとされる。