「PSD-95」の版間の差分

91 バイト追加 、 2013年11月1日 (金)
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担当編集委員:[http://researchmap.jp/michisukeyuzaki 柚崎 通介](慶應義塾大学 医学部生理学)<br>
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同義語:synapse-associated protein 90(SAP-90)、disks large homolog 4(DLG4)


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 PSD-95(postsynaptic density protein 95)は、シナプス後部の主要な足場タンパク質であり、シナプス後肥厚部(postsynaptic density; PSD)において最も豊富に存在しているタンパク質の一つである。SAP-90 (synapse-associated protein 90)、DLG4 (disks large homolog 4)としても知られている。PSD-95は、足場タンパクとしてNR2A-D、GluR6、neuroligin、nNOSなど様々な分子と相互作用し、シナプス機能の維持や可塑性などに寄与すると考えられている。
 PSD-95(postsynaptic density protein 95)は、シナプス後部の主要な足場タンパク質であり、シナプス後肥厚部(postsynaptic density; PSD)において最も豊富に存在しているタンパク質の一つである。synapse-associated protein 90(SAP-90)、disks large homolog (4DLG4)としても知られている。PSD-95は、足場タンパクとしてNR2A-D、GluR6、neuroligin、nNOSなど様々な分子と相互作用し、シナプス機能の維持や可塑性などに寄与すると考えられている。


 PSDには同様の構造を持ったタンパク質としてPSD-93、SAP97、SAP102が存在し、これらを含めてPSD-95 familyと呼ぶ。これら分子の発達に伴う発現パターンは異なっており、げっ歯類の海馬においては、PSD-95およびPSD-93は生後10日目あたりから発現量が増えるのに対し、SAP102は生後1週齢で既に発現量が高い<ref name=ref1><pubmed>10648730</pubmed></ref>。SAP-97については生後2週齢頃から遺伝子発現が増加することが報告されている<ref name=ref2><pubmed>7891172</pubmed></ref>。
 PSDには同様の構造を持ったタンパク質としてPSD-93、SAP97、SAP102が存在し、これらを含めてPSD-95 familyと呼ぶ。これら分子の発達に伴う発現パターンは異なっており、げっ歯類の海馬においては、PSD-95およびPSD-93は生後10日目あたりから発現量が増えるのに対し、SAP102は生後1週齢で既に発現量が高い<ref name=ref1><pubmed>10648730</pubmed></ref>。SAP-97については生後2週齢頃から遺伝子発現が増加することが報告されている<ref name=ref2><pubmed>7891172</pubmed></ref>。
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===PDZ ドメイン===
===PDZ ドメイン===
 PDZドメインは、リガンドタンパク質のC末端に結合する90程度のアミノ酸残基を含む構造である(詳細はPDZドメインタンパク質の項を参照)。PSD-95に含まれる、3つのPDZドメインはすべて、リガンドタンパク質のC末端から3番目の位置がセリンまたはスレオニンであるクラスIに分類される。PSD-95のPDZドメインと結合する蛋[[白質]]としてNR2A-D、GluR6、nAChRc、ErbB4、Kir2-5、Neuroligin、nNosなどがあげられ、これらのC末端がいずれかのPDZドメインに結合する<ref name=ref6><pubmed>15378037</pubmed></ref>。また、AMPARは補助サブユニットであるTARP(transmembrane AMPAR regulatory proteins)がPDZドメインと結合することによって間接的にPSD-95と結合することが示されている<ref name=ref7><pubmed>11140673</pubmed></ref>。
 PDZドメインは、リガンドタンパク質のC末端に結合する90程度のアミノ酸残基を含む構造である(詳細はPDZドメインタンパク質の項を参照)。PSD-95に含まれる、3つのPDZドメインはすべて、リガンドタンパク質のC末端から3番目の位置がセリンまたはスレオニンであるクラスIに分類される。PSD-95のPDZドメインと結合するタンパク質としてNR2A-D、GluR6、nAChRc、ErbB4、Kir2-5、Neuroligin、nNosなどがあげられ、これらのC末端がいずれかのPDZドメインに結合する<ref name=ref6><pubmed>15378037</pubmed></ref>。また、AMPARは補助サブユニットであるTARP(transmembrane AMPAR regulatory proteins)がPDZドメインと結合することによって間接的にPSD-95と結合することが示されている<ref name=ref7><pubmed>11140673</pubmed></ref>。


===SH3ドメイン、GKドメイン===
===SH3ドメイン、GKドメイン===