「プロスタグランジン」の版間の差分

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==== 疼痛  ====
==== 疼痛  ====
疼痛には末梢性と中枢性のPGE<sub>2</sub>作用が関与する<ref name="ref43"><pubmed> 16959219 </pubmed></ref><ref name="ref44"><pubmed> 11755218 </pubmed></ref>。例えば、LPS投与による末梢炎症は急性の内臓痛を示す酢酸ライジング反応を増強するが、この疼痛反応はEP3欠損マウスとIP欠損マウスで減弱する<ref name="ref45"><pubmed> 11389873 </pubmed></ref>。また、足底部に投与したPGE<sub>2</sub>とPGI<sub>2</sub>はそれぞれEP1とIPを介して温熱性疼痛過敏を誘導する<ref name="ref46"><pubmed> 15813989 </pubmed></ref>。この作用に合致し、EP1とIPは後根神経節の一次感覚神経細胞に発現しており、熱と酸による疼痛に関わるカプサイシン受容体TRPV1の応答性を増強することが示されている<ref name="ref46" />。
一方、局所炎症による疼痛過敏は腰椎くも膜下腔へのCOX-2阻害薬投与により抑制され<ref name="ref47"><pubmed> 11260714 </pubmed></ref>、腰椎くも膜下腔へのPGE<sub>2</sub>投与により熱への痛覚過敏や接触性アロディニア(触覚刺激による激痛)が誘導されることから<ref name="ref48"><pubmed> 11375261 </pubmed></ref>、炎症性疼痛には中枢神経系のPGE<sub>2</sub>作用も関与すると考えられている。EP2欠損マウスでは局所炎症や腰椎くも膜下腔へのPGE<sub>2</sub>投与による痛覚過敏が消失することが示されている<ref name="ref49"><pubmed> 15719070 </pubmed></ref>。一方、皮下組織へのPGE<sub>2</sub>投与による痛覚過敏には異常を認めないことから、疼痛におけるEP2の作用は中枢性であると考えられた。この作用機序として、EP2は脊髄のグリシン受容体GlyR<sub>α3</sub>のリン酸化を惹起し、グリシン作動性抑制性シナプス入力を減弱することが示されている<ref name="ref50"><pubmed> 11740501 </pubmed></ref>。EP2に加え、腰椎くも膜下腔へのPGE<sub>2</sub>投与によるアロディニアはEP1欠損マウスで消失することも報告されている<ref name="ref48" />。
末梢神経損傷に起因する神経因性疼痛におけるPGの役割には不明な点が多いが、mPGES-1の遺伝子欠損<ref name="ref51"><pubmed> 15194860 </pubmed></ref>や腰椎くも膜下腔へのEP1特異的阻害薬投与<ref name="ref52"><pubmed> 21125641 </pubmed></ref>によりマウスにおける神経因性疼痛が生じないことが報告されている。


==== ドパミン系と情動  ====
==== ドパミン系と情動  ====

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