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== 研究の歴史 == | == 研究の歴史 == | ||
Wntシグナル研究は[[ショウジョウバエ]]の遺伝学的解析から開始された。1973年にインドのShope博士が羽のないショウジョウバエの変異体[[wingless]]([[wg]])を見いだした。このハエでは、[[wikipedia:ja:複眼|複眼]]や胸部の[[wikipedia:ja:剛毛|剛毛 | Wntシグナル研究は[[ショウジョウバエ]]の遺伝学的解析から開始された。1973年にインドのShope博士が羽のないショウジョウバエの変異体[[wingless]]([[wg]])を見いだした。このハエでは、[[wikipedia:ja:複眼|複眼]]や胸部の[[wikipedia:ja:剛毛|剛毛]]、[[wikipedia:ja:中腸|中腸]]などにも異常が認められ、胚では[[分節形成]]の異常が観察された。分節の形成に関わる[[分節遺伝子]]の中でdishevelled(dsh), [[shaggy]], [[armadillo]], [[pangolin]]がwinglessと遺伝学的に関連することが示された。Dishevelledは哺乳動物のDvlに、Shaggyは[[プロテインキナーゼ]][[GSK-3β]](glycogen synthase kinase-3β)に、Pangolinは転写因子[[Tcf]](T-cell factor)に相当することが明らかになり、Wntシグナルは進化的に保存されていると考えられるようになった。 | ||
哺乳動物におけるWntシグナル研究は、[[wikipedia:ja:癌ウイルス|癌ウイルス]]研究に端を発した。1982年、後にノーベル賞を受賞することになる[[wikipedia:ja:ハロルド・ヴァーマス|Varnus]]博士とその当時彼の研究室にいたNusse博士による、[[wikipedia:ja:マウス|マウス]][[wikipedia:ja:乳癌|乳癌]]の原因遺伝子[[int-1]]のクローニングにさかのぼる<ref><pubmed>6297757</pubmed></ref>。ショウジョウバエにおけるint-1遺伝子のホモログがwinglessという形態形成に重要な役割を果たす遺伝子であったことから、この2つの遺伝子名にちなんでint-1はWnt-1(wingless+int-1, 発音は[wint])と呼ばれるようになった。 | 哺乳動物におけるWntシグナル研究は、[[wikipedia:ja:癌ウイルス|癌ウイルス]]研究に端を発した。1982年、後にノーベル賞を受賞することになる[[wikipedia:ja:ハロルド・ヴァーマス|Varnus]]博士とその当時彼の研究室にいたNusse博士による、[[wikipedia:ja:マウス|マウス]][[wikipedia:ja:乳癌|乳癌]]の原因遺伝子[[int-1]]のクローニングにさかのぼる<ref><pubmed>6297757</pubmed></ref>。ショウジョウバエにおけるint-1遺伝子のホモログがwinglessという形態形成に重要な役割を果たす遺伝子であったことから、この2つの遺伝子名にちなんでint-1はWnt-1(wingless+int-1, 発音は[wint])と呼ばれるようになった。 | ||
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