「大脳皮質の局所神経回路」の版間の差分

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[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>用いられて得る略称を御定義下さい。また、本文中で説明して下さい。]] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]]  
[[Image:皮質局所神経回路 図1.png|thumb|250px|<b>図1.Minicolumn構造の概略</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図2.png|thumb|250px|<b>図2.大脳皮質視覚野V1の信号の流れ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図3.png|thumb|250px|<b>図3.大脳皮質局所神経回路概略図</b><br>'''用いられて得る略称を御定義下さい。また、本文中で説明して下さい。''']] [[Image:皮質局所神経回路 図4.png|thumb|250px|<b>図4.5層の錐体細胞の2つのサブタイプ</b>]] [[Image:皮質局所神経回路 図5.png|thumb|250px|<b>図5.視床皮質神経線維の分布</b>]]  


英語名:cortical local microcircuit  
英語名:cortical local microcircuit  
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== 局所神経回路の構造  ==
== 局所神経回路の構造  ==


 大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、[[spiny stellate細胞]](日本語訳がありましたら御願い致します)や[[Star pyramid細胞]](日本語訳がありましたら御願い致します)等が主に分布している。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する非錐体細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]が異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの非錐体細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合い、我々の高次脳機能を担っている。  
 大脳皮質の局所神経回路は、錐体細胞、非錐体細胞、他の大脳皮質や[[視床]]からの興奮性入力線維、[[中脳]]の[[縫線核]](raphe nucleus)からの[[セロトニン]]線維、[[大脳基底核]](basal nucleus)からの[[アセチルコリン]]線維、[[腹側被蓋野]](ventral tegmental area)からの[[ドーパミン]]線維等の求心性線維等から構成される。錐体細胞は、大脳皮質の興奮性出力信号細胞であり、2/3層、5層、6層に分布している。4層にある興奮性細胞は、[[spiny stellate細胞]]'''(日本語訳がありましたら御願い致します)'''や[[Star pyramid細胞]]'''(日本語訳がありましたら御願い致します)'''等が主に分布している。これらの興奮性神経細胞は、層毎に、入力源や出力先が異なる事が知られている(図2)。それらの興奮性出力細胞の活動を抑制性の伝達物質[[GABA]]による作用で抑制し制御する非錐体細胞は、1層から6層まで分布しており、形態や[[発火]]特性、発現する[[神経伝達物質]]が異なるサブタイプが多く存在する<ref name="ref6"><pubmed>21220766</pubmed></ref>(図3)。これらの非錐体細胞のサブタイプは、シナプス結合して抑制作用を及ぼすターゲットの場所が異なる事<ref name="ref7"><pubmed>17267569</pubmed></ref>、活動様式が異なる事が知られており<ref name="ref8"><pubmed>18599766</pubmed></ref>、局所神経回路の中での役割が異なると考えられている<ref name="ref9"><pubmed>9276173</pubmed></ref>。さらに、外部からの興奮性信号と縫線核等それ以外の活動を調整する信号等が複雑に作用し合い、我々の高次脳機能を担っている。  


== 興奮性結合  ==
== 興奮性結合  ==
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 GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御している(図3)<ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref><ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref><ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプはfast spiking (FS) [[バスケット細胞]]である。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の近位部に抑制性シナプス接着を形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。  
 GABAを伝達物質とする抑制性非錐体細胞には少なくとも十数種類のサブタイプがあり、それぞれ異なった役割で皮質活動を制御している(図3)<ref name="ref13">'''川口 泰雄'''<br>大脳皮質内興奮性回路の機能分化<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2009”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京</ref><ref name="ref15"><pubmed>9651498</pubmed></ref><ref name="ref16">'''窪田 芳之'''<br>皮質局所神経回路の興奮性抑制性入力特性<br>“ブレインサイエンス・レビュー 2008”(伊藤正男・川合述史編集)クバプロ、東京、p45-72</ref>。最も多数をしめるサブタイプはfast spiking (FS) [[バスケット細胞]]である。非錐体細胞のおよそ3割程度をしめる集団で、互いに[[ギャップ結合]]([[電気シナプス]])で結合し、錐体細胞等の[[細胞体]]や樹状突起の近位部に抑制性シナプス接着を形成し、錐体細胞の発火を押さえたり、発火のタイミングの制御をする。  


 FS型発火様式を持つもう一つの細胞は、[[シャンデリア細胞]]である。数は少なく、非錐体細胞の数%程度であると言われている。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し、錐体細胞の発火を制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。  
 FS型発火様式を持つもう一つの細胞は、[[シャンデリア細胞]]である。数は少なく、非錐体細胞の数%程度であると言われている。その神経終末は縦方向に10個程度が数珠状に並び、ほぼ全ての錐体細胞の[[軸索起始部]]にシナプス結合し<ref><pubmed>2016413</pubmed></ref>、錐体細胞の発火を制御する。FS細胞は、ほぼ全てが[[カルシウム結合タンパク質]][[パルブアルブミン]](parvalbumin)を発現している。  


 2番目に大きな集団は、[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[Martinotti細胞]]'''(日本語訳があれば御願い致します)'''である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。  
 2番目に大きな集団は、[[神経ペプチド]][[ソマトスタチン]](somatostatin)を発現する[[Martinotti細胞]]'''(日本語訳があれば御願い致します)'''である。非錐体細胞の中では唯一高密度の棘突起(約1個/µm)をもつ<ref name="ref17"><pubmed>16107588</pubmed></ref>。軸索は、1層まで分岐しながら伸展し、錐体細胞のタフト樹状突起等の末端の樹状突起にもシナプスを作り、興奮性入力信号を直接抑制する。  
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 3つめのサブタイプは、[[Double bouquet細胞]]'''(日本語訳があれば御願い致します)'''と呼ばれており、軸索がまとまって束となり白質方向に下降するのが特徴である。カルシウム結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。ターゲットは錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。  
 3つめのサブタイプは、[[Double bouquet細胞]]'''(日本語訳があれば御願い致します)'''と呼ばれており、軸索がまとまって束となり白質方向に下降するのが特徴である。カルシウム結合タンパク質の[[カルレチニン]](calretinin)や神経ペプチド[[VIP]]、[[CRF]]等を発現する。ターゲットは錐体細胞に加えてdouble bouquet細胞を含む非錐体細胞も含まれる。  


 Late spiking発火特性を持つのは、[[Neurogliaform細胞]]'''(日本語訳があれば御願い致します)'''である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する。多数分岐があり、細胞周辺のエリアに両者が非常に密に分布している。[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。
 Late spiking発火特性を持つのは、[[Neurogliaform細胞]]'''(日本語訳があれば御願い致します)'''である。樹状突起や軸索は、自身の細胞体近傍に密に分岐している。ラットでは、細胞体で[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する<ref name=ref6 />。多数分岐があり、細胞周辺のエリアに両者が非常に密に分布している。[[アクチニン|&alpha;-actinin 2]]を発現する。また、長い抑制効果を示す[[GABAB受容体|GABA<sub>B</sub>受容体]]反応を後シナプス細胞に引き起こす<ref name="ref18"><pubmed>12649485</pubmed></ref>。


== 水平軸索結合 ==
== 水平軸索結合 ==

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