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Takao kohno (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
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== リーリン受容体とその下流シグナル == | == リーリン受容体とその下流シグナル == | ||
[[ファイル:Takao Kohno Fig 2.jpg|thumb|right|250px|リーリン受容体とその下流シグナル]] | |||
リーリンは、リポ蛋白質受容体であるApoER2およびVLDLRに直接結合する<ref name=ref12><pubmed> 10571241 </pubmed></ref><ref><pubmed> 10571240 </pubmed></ref>。リーリンがこれら受容体に結合すると、FynなどのSrc family kinaseが活性化し<ref><pubmed> 12526739 </pubmed></ref><ref><pubmed> 12526740 </pubmed></ref>、細胞内蛋白質Dab1の[[チロシンリン酸化]]が誘導される<ref><pubmed> 10090720 </pubmed></ref>。ApoER2とVLDLRを共に欠くマウス<ref><pubmed> 10380922 </pubmed></ref>、Dab1欠損マウス<ref><pubmed> 9338784 </pubmed></ref><ref><pubmed> 9338785 </pubmed></ref>、Dab1のチロシン残基に変異を導入したマウス<ref><pubmed> 10959835 </pubmed></ref>、FynとSrcを共に欠くマウス<ref><pubmed> 16162939 </pubmed></ref>はいずれもリーラーマウスに酷似した脳形成異常を示す。従って、ApoER2/VLDLRを介したリーリンによるDab1のチロシンリン酸化が正常な脳形成に必要であると言える。 | リーリンは、リポ蛋白質受容体であるApoER2およびVLDLRに直接結合する<ref name=ref12><pubmed> 10571241 </pubmed></ref><ref><pubmed> 10571240 </pubmed></ref>。リーリンがこれら受容体に結合すると、FynなどのSrc family kinaseが活性化し<ref><pubmed> 12526739 </pubmed></ref><ref><pubmed> 12526740 </pubmed></ref>、細胞内蛋白質Dab1の[[チロシンリン酸化]]が誘導される<ref><pubmed> 10090720 </pubmed></ref>。ApoER2とVLDLRを共に欠くマウス<ref><pubmed> 10380922 </pubmed></ref>、Dab1欠損マウス<ref><pubmed> 9338784 </pubmed></ref><ref><pubmed> 9338785 </pubmed></ref>、Dab1のチロシン残基に変異を導入したマウス<ref><pubmed> 10959835 </pubmed></ref>、FynとSrcを共に欠くマウス<ref><pubmed> 16162939 </pubmed></ref>はいずれもリーラーマウスに酷似した脳形成異常を示す。従って、ApoER2/VLDLRを介したリーリンによるDab1のチロシンリン酸化が正常な脳形成に必要であると言える。 | ||
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=== 気分障害 === | === 気分障害 === | ||
[[双極性障害]]やうつ病においてもリーリンの関与は研究されており、患者死後脳の研究ではリーリンはこれらの患者ではわずかではあるが減少している<ref><pubmed> 11074872 </pubmed></ref><ref><pubmed> 11126396 </pubmed></ref>。また、リーリンにはCTRをコードするエキソンの直前で選択的スプライシングが生じ、CTRの無いアイソフォームが生じることが知られている。双極性障害の患者では、このタイプのmRNAの割合が減少していることが報告されている<ref><pubmed> 21603580 </pubmed></ref>。CTRを欠損するアイソフォームはシグナル活性が弱いので、双極性障害患者では相対的にリーリン機能は亢進していることになる。しかしこれは、リーリンの機能低下を補う代償機構の結果である可能性も残されている。 | [[双極性障害]]やうつ病においてもリーリンの関与は研究されており、患者死後脳の研究ではリーリンはこれらの患者ではわずかではあるが減少している<ref><pubmed> 11074872 </pubmed></ref><ref><pubmed> 11126396 </pubmed></ref>。また、リーリンにはCTRをコードするエキソンの直前で選択的スプライシングが生じ、CTRの無いアイソフォームが生じることが知られている。双極性障害の患者では、このタイプのmRNAの割合が減少していることが報告されている<ref><pubmed> 21603580 </pubmed></ref>。CTRを欠損するアイソフォームはシグナル活性が弱いので、双極性障害患者では相対的にリーリン機能は亢進していることになる。しかしこれは、リーリンの機能低下を補う代償機構の結果である可能性も残されている。 | ||
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(執筆者:河野 孝夫、服部 光治 担当編集委員:村上冨士夫) |
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