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この仕組みが、脳内への有害物質の浸入を防ぎ、必要な分子を選択的に通過させる[[血液脳関門]]である。 | この仕組みが、脳内への有害物質の浸入を防ぎ、必要な分子を選択的に通過させる[[血液脳関門]]である。 | ||
[[ファイル:Kudo Fig4.png|thumb|right|350px|'''図4.アストロサイトに発現する多様な神経伝達物質トランスポーター'''<br>Uptake2(モノアミントランスポーター)以外はすべてNa+を共輸送する。グリシントランスポーターとUptake1はCl-を共輸送する。特にグルタミン酸トランスポーターでは陽イオンの共輸送が大きくとりこみにより電位が発生する(起電性)。]] | [[ファイル:Kudo Fig4.png|thumb|right|350px|'''図4.アストロサイトに発現する多様な神経伝達物質トランスポーター'''<br>Uptake2(モノアミントランスポーター)以外はすべてNa<sup>+</sup>を共輸送する。グリシントランスポーターとUptake1はCl-を共輸送する。特にグルタミン酸トランスポーターでは陽イオンの共輸送が大きくとりこみにより電位が発生する(起電性)。]] | ||
====神経伝達物質の取り込み==== | ====神経伝達物質の取り込み==== | ||
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[[ファイル:Kudo Fig9.png|thumb|right|350px|'''図9.無髄線維と有髄線維の伝導速度の違い''']] | [[ファイル:Kudo Fig9.png|thumb|right|350px|'''図9.無髄線維と有髄線維の伝導速度の違い''']] | ||
[[ファイル:Kudo Fig10.png|thumb|right|350px|'''図10.髄鞘の微小形態'''<br>いずれも濱 清先生提供]] | [[ファイル:Kudo Fig10.png|thumb|right|350px|'''図10.髄鞘の微小形態'''<br>いずれも濱 清先生提供]] | ||
[[ファイル:Kudo Fig11.png|thumb|right|350px|'''図11.有髄神経におけるNa+チャンネルとK+チャンネルの分布'''<br>'''A''': ランビエ-絞輪とその周辺におけるNa+チャンネルとK+チャンネルの分布をそれぞれの抗体を用いて染色した画像。'''B''': ランビエー絞輪周辺の模式図]] | [[ファイル:Kudo Fig11.png|thumb|right|350px|'''図11.有髄神経におけるNa+チャンネルとK+チャンネルの分布'''<br>'''A''': ランビエ-絞輪とその周辺におけるNa<sup>+</sup>チャンネルとK<sup>+</sup>チャンネルの分布をそれぞれの抗体を用いて染色した画像。'''B''': ランビエー絞輪周辺の模式図]] | ||
オリゴデンドロサイトの重要な役割は神経軸索に絶縁テープのように巻き付き、神経信号の伝導効率を上げることである。この巻き付いた部分はミエリン髄鞘(myelin sheath)とよばれ、250~1000ミクロンほどの幅を持っている。髄鞘を持つ神経線維は[[有髄神経線維]]([[myelinated nerve fiber]])と呼ばれ、髄鞘を持たない神経線維は[[無髄神経線維]](nonmyelinated nerve fiber)と呼ばれる。中枢神経系では一つのオリゴデンドログリアが、少ない場合は1から2本、多い場合は30本ほどの神経軸索に突起を伸ばしてミエリン髄鞘を作っている。神経信号は髄鞘と髄鞘の間、[[ランビエー絞輪]]と呼ばれる部分を跳躍するように伝わっていく([[跳躍伝導]]:saltatory conduction)(図8)。中枢神経系の神経線維はほとんど有髄神経である。この種の髄鞘のおかげで、神経軸索上を伝導する信号の速度は新幹線に優るとも劣らないものになる(秒速100m、時速360キロ)。因みにこの髄鞘を持たない神経軸索([[自律神経]]の[[節後線維]])での伝導速度は秒速1m程度、時速3.6キロだから、ゆっくりと歩く程度である(図9)。速度を高めるには神経線維の直径を大きくして、局所電位の大きさを高める必要がある。軟体動物のヤリイカでは速やかに動かす必要のある筋肉への神経線維は無髄であるので、その直径は1mmほどもある。我々の脳内の配線はこのように太い神経線維では不可能である。 | オリゴデンドロサイトの重要な役割は神経軸索に絶縁テープのように巻き付き、神経信号の伝導効率を上げることである。この巻き付いた部分はミエリン髄鞘(myelin sheath)とよばれ、250~1000ミクロンほどの幅を持っている。髄鞘を持つ神経線維は[[有髄神経線維]]([[myelinated nerve fiber]])と呼ばれ、髄鞘を持たない神経線維は[[無髄神経線維]](nonmyelinated nerve fiber)と呼ばれる。中枢神経系では一つのオリゴデンドログリアが、少ない場合は1から2本、多い場合は30本ほどの神経軸索に突起を伸ばしてミエリン髄鞘を作っている。神経信号は髄鞘と髄鞘の間、[[ランビエー絞輪]]と呼ばれる部分を跳躍するように伝わっていく([[跳躍伝導]]:saltatory conduction)(図8)。中枢神経系の神経線維はほとんど有髄神経である。この種の髄鞘のおかげで、神経軸索上を伝導する信号の速度は新幹線に優るとも劣らないものになる(秒速100m、時速360キロ)。因みにこの髄鞘を持たない神経軸索([[自律神経]]の[[節後線維]])での伝導速度は秒速1m程度、時速3.6キロだから、ゆっくりと歩く程度である(図9)。速度を高めるには神経線維の直径を大きくして、局所電位の大きさを高める必要がある。軟体動物のヤリイカでは速やかに動かす必要のある筋肉への神経線維は無髄であるので、その直径は1mmほどもある。我々の脳内の配線はこのように太い神経線維では不可能である。 | ||
図10Aは有髄神経線維をちょうどオリゴデンドロサイトの突起が神経軸索に届いた位置で、横断した電子顕微鏡像である。薄く紙のように広がった先端が四重に巻き付いており、一重分を注意深く見ると、二枚の膜からなっているのが分かる。一方、図10Bは有髄神経を二つの髄鞘の間(無髄状態になっており、ランビエー絞輪と呼ばれる)で縦方向に切ったものである。幾重にも巻いたオリゴデンドロサイトの突起部位が、ランビエー絞輪を挟んで、存在している([[パラノード]]:[[paranode]])。実際に、[[免疫組織化学]]的に、[[活動電位]]の発現に必要な、[[電位依存性Na+チャンネル|電位依存性Na<sup>+</sup>チャンネル]]はランビエー絞輪に局在している。一方、[[電位依存性K+チャンネル|電位依存性K<sup>+</sup>チャンネル]]([[Kv1.1]] 、[[Kv1.2]])はパラノードの先、[[ジャクスタパラノード]](Juxta paranode)に局在していることが示されている(図11)。 | |||
因みに無髄神経で速度を高めるとすると、神経線維の直径を大きくして、局所電位の大きさを高める必要がある。[[wj:軟体動物|軟体動物]]の[[wj:ヤリイカ|ヤリイカ]]では速やかに動かす必要のある筋肉への神経線維は無髄であるので、その直径は1mmほどもある。我々の脳内の配線は極めて高度に発達しており、このように太い神経線維で配線することは不可能である。 | |||
====太くなる神経線維が脳の可塑性に関与する==== | ====太くなる神経線維が脳の可塑性に関与する==== | ||
音楽家やスポーツ選手など通常の人より訓練を積んだヒトとの脳を[[核磁気共鳴画像]]([[MRI]])で解析する試みが盛んに行われている。訓練や学習による脳の発達の手がかりを得ようとするものである<ref><pubmed>21403182</pubmed></ref>。これらの研究対象は当初、神経細胞やそのシナプス層、すなわち灰白質に置かれていた。しかし、その途上で、驚くべきことに白質、すなわち神経線維の集まりの部分に明らかな発達があることが見出されたのだ。場合によっては灰白質よりも明瞭な差があることが発見されたのだ<ref><pubmed>16282593</pubmed></ref>。最初の発見は音楽家の脳の[[脳梁]]の拡大であった。脳梁は有髄線維の束である。学習や訓練がその厚みが増すという事実は何を意味しているのだろうか。神経線維の数が増えている可能性もあるが、それより、一本一本の神経線維の太さが増している可能性が高いと考えられている。とは言え、神経軸索そのもののサイズが太くなるとは考えらにくい。とすると、軸索を覆う髄鞘部分が増大する。すなわち、神経軸索を包む髄鞘の巻数が増えたと考えるのが妥当だ。巻数が増えて、絶縁の程度が高くなると、伝導速度が増す可能性は高い。実際に最近ではMRIで水分子の[[wj:拡散|拡散]]運動を画像化し、その拡散の方向依存性が解析されている。ミエリン化が進むと神経線維に沿った水の拡散の方向性(部分異方性:fractional anisotropy:FA)が高まることが明らかにされ、これを指標として、髄鞘形成のダイナミズムが詳しく調べられている。その結果、[[wj:ジャグリング|ジャグリング]]の練習、試験勉強、楽器の訓練などによってその能力が高められと、脳梁ばかりではなく[[大脳皮質]]や[[海馬]]の白質のミエリン化が促進されていることが明らかにされた<ref><pubmed>19820707</pubmed></ref>。これは可塑性が決してシナプスだけの現象ではないことを意味し、これまでに積み上げられてきた可塑性のメカニズムに関する理解を根本から変える必要を迫る事実である。 | |||
====髄鞘のダイナミズム==== | ====髄鞘のダイナミズム==== | ||
上述のようにオリゴデンドロサイトは単に神経線維の上に巻き付いているだけはなく、神経の活動に応じて積極的にそのミエリン髄鞘を発達させるらしい。そのメカニズムが末梢有髄神経で示されている。末梢神経軸索に発生する活動電位が髄鞘を作るシュワン細胞(Schwann cells) | 上述のようにオリゴデンドロサイトは単に神経線維の上に巻き付いているだけはなく、神経の活動に応じて積極的にそのミエリン髄鞘を発達させるらしい。そのメカニズムが末梢有髄神経で示されている。末梢神経軸索に発生する活動電位が髄鞘を作るシュワン細胞(Schwann cells)の増殖や分化に影響を及ぼすというのだ。すなわち、神経軸索の活動がATPを介してシュワン細胞のP<sub>2</sub>受容体を活性化して細胞内カルシウム濃度を上昇させ、その結果、シュワン細胞のCa<sup>2+</sup>レベルが上昇する。細胞内で上昇したCa<sup>2+</sup>が軸索における未熟なシュワン細胞を髄鞘形成に導くというものである。この反応はさらに隣接するシュワン細胞に伝達されて、軸索全体にその効果が及ぶという。<ref><pubmed>10731149</pubmed></ref>。 | ||
さらに、神経軸索がグルタミン酸を遊離し、それが髄鞘に分布するグルタミン酸受容体(NMDA受容体やG- | さらに、神経軸索がグルタミン酸を遊離し、それが髄鞘に分布するグルタミン酸受容体(NMDA受容体やG-タンパク質共役型受容体)の活性を介して、髄鞘内Ca<sup>2+</sup>濃度の上昇を引き起こすことが明らかにされている。このCa<sup>2+</sup>上昇は髄鞘と神経軸索の結合部に発現する[[Fyn]]キナーゼを活性化し、ミエリンベーシックプロテインの産生を高める<ref><pubmed>21817014</pubmed></ref>。これは髄鞘の強化が活動依存性に促進されることを強く支持する発見である。同時に、オリゴデンドロサイトが発現しているATPやアデノシンに対する受容体を介した細胞内Ca<sup>2+</sup>の上昇も同じ機構で髄鞘の強化に寄与している可能性を支持する。 | ||
このような神経活動依存性のミエリン髄鞘形成は脳内の神経回路の成熟過程においても活発に引き起こされている可能性が高い。 | このような神経活動依存性のミエリン髄鞘形成は脳内の神経回路の成熟過程においても活発に引き起こされている可能性が高い。 | ||
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ATPやその代謝産物であるアデノシンによる髄鞘の興奮についてはさらに重要な発見がある。興奮した髄鞘で包まれている軸索における伝導速度を上昇させるのである<ref><pubmed>18634564</pubmed></ref>。オリゴデンドロサイトはその名の通り、あまり沢山の突起は持たないが、それでも多い場合は30本ほどの突起を繰り出して、神経軸索に髄鞘を作る。もし、この細胞が興奮したら、その細胞が関わる30本の軸索の伝導速度は一気に高まることになる(図12)。また、上述のように一つのオリゴデンドロサイトの興奮が隣接するオリゴデンドロサイトに伝搬すれば、ある集団の神経軸索の伝導速度は高められ、それらが送られるシナプス側において、非常に高い同期性を持つことになる。これは特定の情報の伝達効率を集団的に高めるのに有効な方法であり、これまでに考えられてきたシナプスにおける伝達効率促進とはまったく質の異なったメカニズムである。 | ATPやその代謝産物であるアデノシンによる髄鞘の興奮についてはさらに重要な発見がある。興奮した髄鞘で包まれている軸索における伝導速度を上昇させるのである<ref><pubmed>18634564</pubmed></ref>。オリゴデンドロサイトはその名の通り、あまり沢山の突起は持たないが、それでも多い場合は30本ほどの突起を繰り出して、神経軸索に髄鞘を作る。もし、この細胞が興奮したら、その細胞が関わる30本の軸索の伝導速度は一気に高まることになる(図12)。また、上述のように一つのオリゴデンドロサイトの興奮が隣接するオリゴデンドロサイトに伝搬すれば、ある集団の神経軸索の伝導速度は高められ、それらが送られるシナプス側において、非常に高い同期性を持つことになる。これは特定の情報の伝達効率を集団的に高めるのに有効な方法であり、これまでに考えられてきたシナプスにおける伝達効率促進とはまったく質の異なったメカニズムである。 | ||
髄鞘の厚みが増すことによる伝導速度促進および同じオリゴデンドロサイトに支配されている神経軸索間の同期は間違いなく脳機能の向上に関わるはずである。脳の可塑性を支える要素の一つとして注目されるべき機能である。 | 髄鞘の厚みが増すことによる伝導速度促進および同じオリゴデンドロサイトに支配されている神経軸索間の同期は間違いなく脳機能の向上に関わるはずである。脳の可塑性を支える要素の一つとして注目されるべき機能である。 | ||
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====同種の細胞==== | ====同種の細胞==== | ||
発生の項目でも述べたように、ミクログリアの起源は胎児期に[[wj:卵黄嚢|卵黄嚢]]で[[wj:|造血細胞]]から分化して、[[神経管]]に浸入してくる[[wj:|中胚葉]]起源の細胞であることを示す証拠が報告されている。実際に、中枢の損傷部位の周辺をアメーバ運動しているミクログリアの姿は末梢の免疫細胞マクロファージと区別がつかない。形態のみではない、この細胞の細胞表面に発現する分子もマーカーの項で述べるように非常に似通っている。さらに、障害部に到着すると、死んだ細胞をどんどんと食べ始めるの様子も[[wj:|マクロファージ]]と同じである。この両者は同じ起源であると考えてもよいだろう。 | |||
====マーカー分子==== | ====マーカー分子==== | ||
ミクログリアはいろいろなマーカーによって検出できる。例えば、[[チアミン・ピロフォスファターゼ]]([[Thiamine pyrophosphatase]]: [[TPPase]])や[[非特異的エステラーゼ]]([[nonspecific esterase]]: [[NSE]])など中枢神経系の細胞の中ではミクログリアに比較的特異的に発現する酵素類を検出する方法である。また、マクロファージの特異的抗体や、免疫関連の[[wj:|補体受容体]]に対する抗体を用いても脳内のミクログリアを免疫染色できる。一方、ミクログリアの細胞表面には[[wj:|主要組織適合遺伝子複合体]]([[wj:|Major histocompatibility complex]]: [[wj:|MHC]])分子が存在し、その抗体はミクログリアのよいマーカーとなる。現在、ミクログリアの最も有効なマーカーとして利用されるのがIba1と呼ばれるタンパク質である。[Iba1]]抗体もミクログリアばかりではなく、マクロファージにも反応する<ref><pubmed>14756805</pubmed></ref>。 | |||
====ヒト脳における分布量==== | ====ヒト脳における分布量==== | ||
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====損傷を受けた細胞の除去==== | ====損傷を受けた細胞の除去==== | ||
ミクログリアがリオ・オルテガによって第三の脳細胞としてオリゴデンドロサイトと共に発見されたのは1932年であるが、その後その性質はごく最近になるまでほとんど解明されないままになっていた(図14)。実は、20世紀初頭、[[wj:アロイス・アルツハイマー|アルツハイマー]]や彼の同時代の病理学者達は神経変性が生じている部位に突起のないアメーバ状の細胞が多数浸潤していることに気づいていた。これらは顆粒細胞(granule cells)とか格子細胞(lattice cells)と呼ばれ、当時は認識されていたアストロサイトとは別ものであり、神経疾患部位に出現する細胞と認識していた。この姿は損傷部位に浸潤している細胞であり、この姿が誤解されて、障害の犯人扱いされることがあった。しかし、脳という閉鎖空間では死んだ細胞を素早く片付けることが必須であり、その意味で、極めて重要な機能である。 | |||
====ミクログリアの出動==== | ====ミクログリアの出動==== | ||
[[二光子励起顕微鏡]]によって脳に傷つけることなく深部に存在する細胞の動きを捉えることができるようになり、多くの新しい発見がなされている。その中でもミクログリアのダイナミックな活動の可視化はこの細胞の機能の解明に役立っている。特に興味深いのはミクログリアの突起の正常時の柔らかではあるがダイナミックな動き、そして、損傷部位に対するミクログリアの突起の早い反応とその後の損傷部位への移動の過程である。固定された組織標本では認識できない。ダイナミックな活動が示されている<ref><pubmed>15831717</pubmed></ref>。 | |||
先にも述べたようにミクログリアの細胞表面にはMHC分子が発現しており、その姿は末梢におけるマクロファージのそれと一致する。静止状態のミクログリアからは想像もできないが、損傷部位に浸潤した活動期のミクログリアの形態はアメーバ状になり、活発に細胞貪食活動を示す(図14)。その姿はマクロファージと区別がつかない。しかし、損傷部位の血管は透過性が高まり、末梢のマクロファージの浸潤を許している可能性が高いので、損傷部位に集まっているアメーバ状の細胞がすべて活性型のミクログリアとは言い切れない。とはいえ、静止型のミクログリアが活性化状態になり細胞貪食性を持つアメーバ状に変化する様は組織学的に正確に捉えられている<ref><pubmed>15895084</pubmed></ref>。 | 先にも述べたようにミクログリアの細胞表面にはMHC分子が発現しており、その姿は末梢におけるマクロファージのそれと一致する。静止状態のミクログリアからは想像もできないが、損傷部位に浸潤した活動期のミクログリアの形態はアメーバ状になり、活発に細胞貪食活動を示す(図14)。その姿はマクロファージと区別がつかない。しかし、損傷部位の血管は透過性が高まり、末梢のマクロファージの浸潤を許している可能性が高いので、損傷部位に集まっているアメーバ状の細胞がすべて活性型のミクログリアとは言い切れない。とはいえ、静止型のミクログリアが活性化状態になり細胞貪食性を持つアメーバ状に変化する様は組織学的に正確に捉えられている<ref><pubmed>15895084</pubmed></ref>。 |