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<font size="+1">[http://researchmap.jp/kudoy/ | <font size="+1">[http://researchmap.jp/kudoy/ 工藤 佳久]</font><br> | ||
''東京薬科大学 生命科学部 名誉教授''<br> | ''東京薬科大学 生命科学部 名誉教授''<br> | ||
DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2013年11月2日 原稿完成日:2014年XX月XX日<br> | DOI [[XXXX]]/XXXX 原稿受付日:2013年11月2日 原稿完成日:2014年XX月XX日<br> | ||
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[[ファイル:Kudo Fig9.png|thumb|right|350px|'''図9.無髄線維と有髄線維の伝導速度の違い''']] | [[ファイル:Kudo Fig9.png|thumb|right|350px|'''図9.無髄線維と有髄線維の伝導速度の違い''']] | ||
[[ファイル:Kudo Fig10.png|thumb|right|350px|'''図10.髄鞘の微小形態'''<br>いずれも濱 清先生提供]] | [[ファイル:Kudo Fig10.png|thumb|right|350px|'''図10.髄鞘の微小形態'''<br>いずれも濱 清先生提供]] | ||
[[ファイル:Kudo Fig11.png|thumb|right|350px|''' | [[ファイル:Kudo Fig11.png|thumb|right|350px|'''図11.有髄神経におけるNa<sup>+</sup>チャンネルとK<sup>+</sup>チャンネルの分布'''<br>'''A''': ランビエ-絞輪とその周辺におけるNa<sup>+</sup>チャンネルとK<sup>+</sup>チャンネルの分布をそれぞれの抗体を用いて染色した画像。'''B''': ランビエー絞輪周辺の模式図]] | ||
オリゴデンドロサイトの重要な役割は神経軸索に絶縁テープのように巻き付き、神経信号の伝導効率を上げることである。この巻き付いた部分はミエリン髄鞘(myelin sheath)とよばれ、250~1000ミクロンほどの幅を持っている。髄鞘を持つ神経線維は[[有髄神経線維]]([[myelinated nerve fiber]])と呼ばれ、髄鞘を持たない神経線維は[[無髄神経線維]](nonmyelinated nerve fiber)と呼ばれる。中枢神経系では一つのオリゴデンドログリアが、少ない場合は1から2本、多い場合は30本ほどの神経軸索に突起を伸ばしてミエリン髄鞘を作っている。神経信号は髄鞘と髄鞘の間、[[ランビエー絞輪]]と呼ばれる部分を跳躍するように伝わっていく([[跳躍伝導]]:saltatory conduction)(図8)。中枢神経系の神経線維はほとんど有髄神経である。この種の髄鞘のおかげで、神経軸索上を伝導する信号の速度は新幹線に優るとも劣らないものになる(秒速100m、時速360キロ)。因みにこの髄鞘を持たない神経軸索([[自律神経]]の[[節後線維]])での伝導速度は秒速1m程度、時速3.6キロだから、ゆっくりと歩く程度である(図9)。速度を高めるには神経線維の直径を大きくして、局所電位の大きさを高める必要がある。軟体動物のヤリイカでは速やかに動かす必要のある筋肉への神経線維は無髄であるので、その直径は1mmほどもある。我々の脳内の配線はこのように太い神経線維では不可能である。 | オリゴデンドロサイトの重要な役割は神経軸索に絶縁テープのように巻き付き、神経信号の伝導効率を上げることである。この巻き付いた部分はミエリン髄鞘(myelin sheath)とよばれ、250~1000ミクロンほどの幅を持っている。髄鞘を持つ神経線維は[[有髄神経線維]]([[myelinated nerve fiber]])と呼ばれ、髄鞘を持たない神経線維は[[無髄神経線維]](nonmyelinated nerve fiber)と呼ばれる。中枢神経系では一つのオリゴデンドログリアが、少ない場合は1から2本、多い場合は30本ほどの神経軸索に突起を伸ばしてミエリン髄鞘を作っている。神経信号は髄鞘と髄鞘の間、[[ランビエー絞輪]]と呼ばれる部分を跳躍するように伝わっていく([[跳躍伝導]]:saltatory conduction)(図8)。中枢神経系の神経線維はほとんど有髄神経である。この種の髄鞘のおかげで、神経軸索上を伝導する信号の速度は新幹線に優るとも劣らないものになる(秒速100m、時速360キロ)。因みにこの髄鞘を持たない神経軸索([[自律神経]]の[[節後線維]])での伝導速度は秒速1m程度、時速3.6キロだから、ゆっくりと歩く程度である(図9)。速度を高めるには神経線維の直径を大きくして、局所電位の大きさを高める必要がある。軟体動物のヤリイカでは速やかに動かす必要のある筋肉への神経線維は無髄であるので、その直径は1mmほどもある。我々の脳内の配線はこのように太い神経線維では不可能である。 |