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===構造=== | ===構造=== | ||
p120–カテニンファミリータンパク質の中央領域に見られる10個のアルマジロ反復配列は、カドヘリンの細胞膜に近接した細胞質領域と結合する<ref name=ref22><pubmed> 15489912 </pubmed></ref>。p120– | p120–カテニンファミリータンパク質の中央領域に見られる10個のアルマジロ反復配列は、カドヘリンの細胞膜に近接した細胞質領域と結合する<ref name=ref22><pubmed> 15489912 </pubmed></ref>。p120–カテニンのアルマジロ反復配列に隣接するN末端側の領域は、[[スレオニン]]残基のリン酸化サイトが複数存在している。そのさらに隣に位置するN末端には[[コイルドコイル配列]]が存在している。加えて、δ–カテニンは、そのC末端に[[PDZタンパク質]]との結合領域を有す。その一例として、[[グルタミン酸受容体]]結合タンパク質[[GRIP]]やシナプス後膜直下に形成される[[シナプス後部肥厚]]([[Postsynaptic density]]: [[PSD]])に局在化する[[PSD-95]]などがそこに結合する<ref name=ref14><pubmed> 22535893 </pubmed></ref>。 | ||
===発現=== | ===発現=== | ||
p120–カテニンは、多くの組織において強い発現が認められるが、他のカテニンと同様に扁桃腺やへその緒での発現は検出されていない。δ– | p120–カテニンは、多くの組織において強い発現が認められるが、他のカテニンと同様に扁桃腺やへその緒での発現は検出されていない。δ–カテニンは、神経系での強い発現が特徴である。[[wikipedia:ja:上皮細胞|上皮細胞]]では、p120–カテニンはアドへレンス・ジャンクションを含む、隣接する細胞に接触している細胞膜に濃縮する。δ–カテニンは、成熟した[[樹状突起]]のシナプスに強く観察されるが、脳組織の中でもその発現度合いは異なる。[[大脳皮質]]や、[[海馬]]、[[嗅球]]では強く発現するが、[[小脳]]や[[視床]]の発現はやや落ちる傾向がみられている([[Allen Brain Atlas]])。 | ||
===機能=== | ===機能=== | ||
====p120–カテニン==== | ====p120–カテニン==== | ||
p120–カテニンは、カドヘリンとの結合を介してカドヘリンのエンドサイトーシスを 抑制し、細胞膜上のカドヘリン量を維持する。p120–カテニンの[[チロシンリン酸化]]はp120–カテニンのカドヘリンとの結合解除に寄与する。このカドヘリンのp120–カテニン結合領域内には、そのエンドサイトーシスシグナルが存在し、カドヘリンにp120–カテニンが結合することによって、そのシグナルがマスクされ、その結果としてカドヘリンは細胞内に取り込まれないようになっているという機構が近年示されている<ref name=ref23><pubmed> 20371349 </pubmed></ref> <ref name=ref24><pubmed> 23071156 </pubmed></ref> | p120–カテニンは、カドヘリンとの結合を介してカドヘリンのエンドサイトーシスを 抑制し、細胞膜上のカドヘリン量を維持する。p120–カテニンの[[チロシンリン酸化]]はp120–カテニンのカドヘリンとの結合解除に寄与する。このカドヘリンのp120–カテニン結合領域内には、そのエンドサイトーシスシグナルが存在し、カドヘリンにp120–カテニンが結合することによって、そのシグナルがマスクされ、その結果としてカドヘリンは細胞内に取り込まれないようになっているという機構が近年示されている<ref name=ref23><pubmed> 20371349 </pubmed></ref> <ref name=ref24><pubmed> 23071156 </pubmed></ref>。カドヘリンの接着活性がない[[wikipedia:ja:大腸癌|大腸癌]]由来の[[細胞株]]を用いた解析からは、p120–カテニンはカドヘリンと結合することで接着活性を抑制する結合因子であることが示された<ref name=ref25><pubmed> 10225956 </pubmed></ref>。カドヘリンの発現量の低下は[[wikipedia:ja:悪性腫瘍|悪性腫瘍]]組織でみられる特徴の一つあるが<ref name=ref25><pubmed> 10647931 </pubmed></ref>、そのような腫瘍組織のいくつかの種類では、p120–カテニンが細胞膜に局在できないことによってカドヘリンのエンドサイトーシスが亢進されると解釈される<ref name=ref26><pubmed> 12492499 </pubmed></ref>。 | ||
また、p120–カテニンは細胞膜直下のアクチン線維動態も制御している。p120–カテニンはアクチン細胞骨格動態の主要な制御因子である[[低分子量Gタンパク質]][[RhoA]] | また、p120–カテニンは細胞膜直下のアクチン線維動態も制御している。p120–カテニンはアクチン細胞骨格動態の主要な制御因子である[[低分子量Gタンパク質]][[RhoA]]と結合し、RhoAの活性化を抑制し、一方で[[糸状仮足]]や[[葉状仮足]]の発達につながる膜直下のアクチン細胞骨格の再編成に必要な他の低分子量Gタンパク質[[Rac]]や[[Cdc42]]を活性化することで、細胞接着形成の初期段階においてアクチン細胞骨格の再編成を促進すると考えられている<ref name=ref27><pubmed>17194753</pubmed></ref>。細胞質におけるRhoAとの結合はp120–カテニンのリン酸化に依存している<ref name=ref27><pubmed>17194753</pubmed></ref>が、先に述べたように、p120–カテニンのリン酸化の増加がカドヘリンの接着活性の低下に働くことを考えあわせると、p120–カテニンのリン酸化の制御は細胞接着と細胞運動の適切な均衡をとるという機構の一つになると考えられる。[[ラット]]海馬由来の培養神経細胞においても、上述したp120–カテニンのRhoA、Rac、そしてCdc42の活性制御を介してアクチン細胞骨格動態を活性化させ、神経樹状突起伸長の促進やシナプス可塑性の適切な制御に寄与している<ref name=ref28><pubmed> 17936606 </pubmed></ref>。 | ||
p120– | p120–カテニンは、[[PLEKHA7]]タンパク質、そして微小管マイナス端に局在する[[Nezha]]タンパク質を介してアドへレンス・ジャンクションへの微小管を繫ぎとめることが示されている<ref name=ref29><pubmed> 19041755 </pubmed></ref>。また、[[アフリカツメガエル]]胚では、p120–カテニンが核内で[[転写抑制因子]][[Kaiso]]と結合し、[[脊椎動物]]の形態形成に必須な[[Wnt/PCPシグナル伝達系]](Wnt/β–カテニンシグナル伝達系とは違うWntシグナル)の[[xWnt11]]の遺伝子発現を活性化することが示された<ref name=ref30><pubmed> 15543138 </pubmed></ref>。しかし、p120–カテニンの核移行の分子機構(核移行の生理的な場合のトリガーの同定やp120–カテニンのリン酸化との関連など)やxWnt11以外の標的の遺伝子群についてはわかっていない点が多い<ref name=ref31><pubmed> 22583808 </pubmed></ref>。 | ||
====δ–カテニン==== | ====δ–カテニン==== | ||
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===神経発生=== | ===神経発生=== | ||
神経発生時には、神経管の[[脳室側]]で未分化細胞が分裂し、表層方向へと移動し、適材適所に細胞が多種のニューロンへと分化し、その種類ごとに住みわけるように脳室面から表層方向に層構造を形成する。ニューロンはネットワークを形成し、神経活動を伝達する。αN–カテニンの欠損マウスでは小脳や海馬において層構造の形成がうまくいかない<ref name=ref35><pubmed> 12089526 </pubmed></ref>。[[ゼブラフィッシュ]]の中脳では、Wnt/β–カテニンシグナル伝達系が[[中脳視蓋]]のサイズの制御に寄与していることが示されている。[[LEF]]による転写が活性化すると、中脳領域での神経前駆細胞の増殖が促進する。その転写活性の制御が神経前駆細胞の増殖制御を介して中脳視蓋の大きさに影響をもたらすのではないかと考えられている<ref name=ref36><pubmed> 22373574 </pubmed></ref>。成体の海馬にも、[[神経幹細胞]]が存在しており、自己複製する一方で、神経細胞などへ分化することで新たな神経細胞となる。Wnt/β–カテニンシグナル伝達系は、海馬では神経幹細胞が神経前駆細胞へと分化するために必須であることがマウスやラットを用いた解析から示されている<ref name=ref37><pubmed> 19701198 </pubmed></ref>。海馬の神経幹細胞では、幹細胞から神経細胞への分化を決定する遺伝子の発現を制御するDNA配列があり、[[転写因子]][[Sox2]]がそのDNA配列を認識することによりその下流にある遺伝子発現が抑制され、未分化のままを維持できる。しかし、隣接する[[アストロサイト]]細胞で産生されたWntにより幹細胞のWnt/β–カテニンシグナル伝達系が活性化すると、β–カテニンが核へ移行し、TCF/LEFとの複合体として、Sox2の認識配列とオーバーラップした領域に結合するようになる。その結果として、その下流の遺伝子発現が活性化され、神経前駆細胞へと分化が誘導される。 | |||
===成長円錐の伸長=== | ===成長円錐の伸長=== | ||
[[成長円錐]] | [[成長円錐]]の伸長には、その先端でのアクチン分子の重合の力が利用されている。アクチンの重合が有効に成長円錐の伸長に使われるためには、形成されたアクチン線維が細胞外基質と間接的に連結し、基質に対して動かない必要がある。基質に結合する接着分子とアクチン線維との結合を担う分子をクラッチ分子と呼ぶが(実際にはアクチン線維と接着分子とを強固に結合するのではなく、結合解離を繰り返してアクチン線維は後方へ動くが、そのスピードがアクチン重合よりも遅ければ、成長円錐は伸長できる)、αN–カテニンは[[クラッチ分子]]として働くという報告がある。カドヘリン・カテニン複合体とアクチン線維との連結の適切な調節は成長円錐の伸長にも重要である<ref name=ref38><pubmed> 18524892 </pubmed></ref>。 | ||
===シナプス形成と可塑性=== | ===シナプス形成と可塑性=== | ||
シナプスは、神経回路内の情報伝達の場である。樹状突起表面には[[スパイン]]という突起構造が無数にあり、スパイン上ではシナプスが形成されている。シナプスを介した情報伝達に伴ってスパインの形態変化が見られ、それはシナプス形成やシナプス可塑性に関わると考えられている。スパインを形づくる主要な細胞骨格はアクチン線維であり、そこでのアクチン動態はスパインの運動性や形態を動的に変化させ、複数のアクチン結合タンパク質によってそのアクチン動態が制御されている。α–カテニンはスパインの安定化に働いている。αN–カテニン欠損マウスから得られた海馬の神経培養細胞では、N–カドヘリンやβ–カテニンは他のスパインマーカーとともにスパインに局在するが、スパインの形態やその時間変化に異常がみられ、安定的なシナプス構造が維持できない。一方で、αN–カテニンの過剰発現によって、樹状突起上のスパインの数の増加、さらにはスパインのターンオーバーが低下する。これらには、αN–カテニンのN末とC末の領域が必要であり、ここでもN–カドヘリン・β–カテニン・αN–カテニン、そしてアクチン線維が一連に繋がることが必須であることが示唆されている<ref name=ref39><pubmed> 15817378 </pubmed></ref>。 | |||
スパインのシナプス周辺領域では、N– | スパインのシナプス周辺領域では、N–カドヘリン・カテニン複合体による接着構造が形成され、シナプスの安定化に寄与していると考えられる。樹状突起と軸索とがシナプスを形成する際、スパインはもともと動的な糸状仮足様の構造をとっているが、[[軸索]]からの[[活動電位]]が伝わり、シナプス後膜が興奮性の活動電位を示すようになると、マッシュルーム型の構造へと変化し、安定化する。逆に、[[ナトリウムチャネル]]をブロックすることで、興奮性の活動電位を阻害すると、スパインは安定的な構造から動的な糸状仮足のような構造へと変化する。それと同時に、シナプスからαN–カテニンが消失する。αN–カテニンの過剰発現により、このナトリウムチャネル阻害依存的なスパインの形態変化が緩和される<ref name=ref40><pubmed> 12123610 </pubmed></ref><ref name=ref41><pubmed> 14622577 </pubmed></ref><ref name=ref42><pubmed> 15034585 </pubmed></ref>。このように神経活動によってシナプス接合部においてカドヘリン・カテニン、そして細胞骨格の連結が制御を受け、その結果としてシナプス構造やその安定性の変化、そしてシナプス伝達の制御に寄与しているという考えが提唱されている<ref name=ref39><pubmed> 15817378 </pubmed></ref>。変異型β–カテニンを発現させたマウスの海馬から分離した神経培養細胞では、活性化されたシナプス前膜直下に集積しているシナプス小胞の数の維持にβ–カテニンが重要であることが示された。ここでは、α–カテニンとの結合領域は必要ないので、β–カテニンが細胞接着構造を制御することだけに寄与しているのではないと考えられる<ref name=ref41><pubmed> 14622577 </pubmed></ref>。加えて、細胞接着やWnt/β–カテニンシグナル伝達経路とは別に、β–カテニンの新たなシグナル伝達経路が神経情報伝達において利用されていることが、神経初代培養細胞の解析から明らかになった。[[NMDA型グルタミン受容体]]が活性化すると、Wntとは関係なく、β–カテニンが切断され、その後はWnt/β–カテニンシグナル伝達経路と同様に核で機能する<ref name=ref43><pubmed> 17270735 </pubmed></ref>。p120–カテニンによるRhoA活性の抑制は、樹状突起上のスパインの密度の維持に寄与する<ref name=ref44><pubmed> 16815331 </pubmed></ref>。一方で、N–カドヘリンとp120–カテニンとの複合体の構造解析によって明らかになった両者の結合に重要なアミノ酸残基についての点変異体を発現させた海馬の神経培養細胞では、p120–カテニンがN–カドヘリンと結合できず、スパインの密度やスパインの幅が減少する<ref name=ref14><pubmed> 22535893</pubmed></ref>。δ–カテニンはスパインのサイズや数、形態の維持に必要である<ref name=ref22><pubmed>15489912</pubmed></ref>。 | ||
===大脳皮質のサイズ制御=== | ===大脳皮質のサイズ制御=== | ||
中枢神経系の幹/前駆細胞特異的にαE– | 中枢神経系の幹/前駆細胞特異的にαE–カテニンを欠失させると、細胞間接着が形成できず、さらに細胞極性がなくなる。加えて、細胞数の増加、細胞周期の短縮、[[アポトーシス]]の減少がみられ、最終的な[[大脳皮質]]の厚みや大きさが増す。このノックアウト細胞では、[[大脳皮質の発生]]過程において細胞増殖を促進する[[ヘッジホッグシグナル伝達経路]]が強く活性化している。以上より、ノックアウト細胞では、細胞接着の崩壊により細胞密度を物理的に感知できなくなり、細胞は低密度であると感じ続け、ヘッジホックシグナル伝達の活性化を介して細胞増殖を促進し、細胞数の増加そして大脳皮質の過形成へとつながると解釈される。正常な場合は、αE–カテニンは発生過程における細胞増殖に関わるシグナル伝達と細胞間接着の制御とをうまく連動させることで、発生時期の大脳皮質の大きさを調節していると示唆される。これは、αE––カテニンの接着構造の制御自体だけでなく、複数のシグナル伝達系を仲介するという新たな機能であると議論されている<ref name=ref45><pubmed> 16543460 </pubmed></ref>。 | ||
==疾患との関わり== | ==疾患との関わり== | ||
もともと、δ–カテニンは[[家族性アルツハイマー病]]の原因遺伝子である[[プレセニリン1]]の相互作用因子の解析から同定された<ref name=ref46><pubmed> 9172160 </pubmed></ref>。染色体上のδ–カテニン遺伝子座を含む領域の欠損は、[[精神発達遅滞]]を起こすヒト遺伝病の一つである[[ネコ鳴き症候群]]患者に多くみられ、その後のδ–カテニンのノックアウトマウスの解析から、δ–カテニンはその症候群でみられる精神発達遅滞との関連が示唆された。そのノックアウトマウスでは、[[視覚]]からの刺激に対する[[視覚野]]の応答に障害がみられ、海馬の[[短期増強]]と[[長期増強]]の異常を示す。このノックアウトマウスの発生期のシナプス形成には異常はみられず、生存可能であるが、10週齢になると、大脳皮質のシナプスの密度の減少やシナプスの維持の欠落が見られるようになる。その分子機構はまだ不明であるが、δ–カテニンは、シナプスのスパイン構造の維持で機能することで、正常な認知機能やそれに繋がりうる精神発達に寄与すると示唆されている<ref name=ref47><pubmed> 19403811 </pubmed></ref> 。 | |||
もともと、δ– | |||
また、[[小頭症]]や[[精神遅滞]]、[[痙攣]]をもつ患者において、β–カテニン遺伝子座のヘテロ欠損変異が見つかっている。 | |||
カテニン全般的には、神経以外の組織における疾患よりもガンとの関連性がよく議論されている。[[wikipedia:ja:結腸直腸ガン|結腸直腸ガン]]や[[wikipedia:ja:黒色腫ガン|黒色腫ガン]]などの患者の組織ではβ–カテニンの遺伝子座にいくつかの異なる変異が見つかっている。これらの変異は、[[APC]]やGSK3βによるβ–カテニンのリン酸化を介したβ–カテニン/Lefによる遺伝子発現の制御不全を引き起こし、細胞の異常な増殖、つまりはがん化へと繋がっているのではないかと推察されている。β–カテニンと疾患との関係は複数の報告があり、OMINにはここに挙げていない情報が掲載されているので、ご参照ください。第5染色体の欠損をもつ骨髄白血病患者からの細胞HL–60の解析から、αE–カテニン遺伝子座の[[メチル化]]と[[ヒストン脱アセチル化]]により、その発現が抑制されないままになることがみられている。このαE–カテニンの発現が維持されたままの細胞では、細胞増殖の低下やアポトーシスによる細胞死が見られている。また、[[wikipedia:ja:アフリカ系アメリカ人|アフリカ系アメリカ人]]の[[wikipedia:ja:乳がん|乳がん]]患者においてもαE–カテニン遺伝子の中に変異が見つかっている。 | |||
p120–カテニンは、多くのがん組織での発現が上昇していることが示されているが、細胞膜にいるE–カドヘリンの量の減少を介して、もしくは細胞接着とは独立した機能を介して起こるのかはまだわかっていない<ref name=ref22><pubmed> 15489912 </pubmed></ref>。 | |||
ヒトのプラコグロビン遺伝子、JUPの変異は、アミノ酸残基の挿入や欠損といった異なる様式の変異がいくつかの疾患患者で発見された。その一つは、[[wikipedia:ja:掌蹠角皮症|掌蹠角皮症]]患者において、JUP遺伝子内でアミノ酸残基の欠損によるフレームシフトが起こっており、そのタンパク質として完成することができていないことが、[[ウェスタンブロット]]により示されている。 | |||
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[[wikipedia:ja:催不整脈|催不整脈]]性の右室[[wikipedia:ja:心筋症|心筋症]](皮膚への異常は伴わない)を患った人を含むドイツ人の家族において、プラコグロビン遺伝子の変異が見つけられた。その変異は、プラコグロビンのN末端から39番目の場所に余計に[[セリン]]残基が挿入されているものだと予想され、さらにこの変異がある病理組織の[[電子顕微鏡]]像では、[[デスモソーム]]のサイズや数の減少が見つかった。プラコグロビン遺伝子内の挿入変異により、デスモソームの構造の制御がうまくいっていない可能性が示唆された他、Wntシグナルを介した経路の制御を阻害している可能性などが他のいくつかの研究結果をもって議論されている。 | |||
細胞骨格 | ==関連項目== | ||
*[[細胞接着因子]] | |||
Wnt | *[[カドヘリン]] | ||
*[[細胞骨格]] | |||
*[[Wnt]] | |||
*[[GSK3β]] | |||
==参考文献== | ==参考文献== | ||
<references/> | <references/> |