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[[帯状回てんかん]](cingulate cortex seizure)では[[口部自動症]]や複雑な[[身振り自動症]]がみられる。これは、帯状皮質運動野の機能を考える一助となる<ref name="ref63"><pubmed>7895011</pubmed></ref>。[[内側側頭葉てんかん]](mesial temporal lobe epilepsy; MTLE)では、運動停止の他に、口部自動症、顔面・頸部・上肢を含む複雑な自動症が見られるが、これらの自動症の原因の一つとして、焦点である扁桃体、側頭葉腹内側部からCMAr の主に顔面・上肢領域が直接入力を受けることが挙げられる<ref name="ref31" />。 | [[帯状回てんかん]](cingulate cortex seizure)では[[口部自動症]]や複雑な[[身振り自動症]]がみられる。これは、帯状皮質運動野の機能を考える一助となる<ref name="ref63"><pubmed>7895011</pubmed></ref>。[[内側側頭葉てんかん]](mesial temporal lobe epilepsy; MTLE)では、運動停止の他に、口部自動症、顔面・頸部・上肢を含む複雑な自動症が見られるが、これらの自動症の原因の一つとして、焦点である扁桃体、側頭葉腹内側部からCMAr の主に顔面・上肢領域が直接入力を受けることが挙げられる<ref name="ref31" />。 | ||
古くから、帯状皮質運動野を含む障害により、一過性に[[無言無動症]](akinetic mutism; [[追視]]があり、[[麻痺]]はなく、反射は正常であるが、自発的な運動が消失し、どのような形でも意思疎通がはかれない状態)をきたすことが報告されている<ref name="ref64"><pubmed>14839354</pubmed></ref>。しかし、帯状皮質に限局した障害により、数日以上の無動もしくは無言症をきたしたという報告はなく、この一過性の症状も、周辺領域の一過性の血流障害による可能性が指摘されている<ref name="ref63" />。無言無動症は、前帯状皮質(脳梁膝部付近)と補足運動野を含む領域の両側性障害により引き起こされるという考察がなされている<ref name="ref63" /> <ref name="ref65"><pubmed>2849547</pubmed></ref>。 | |||
難治性の[[うつ病]](depression)、[[強迫神経症]](obsessive compulsive disorder; OCD)に外科的治療を行うことがある。術式の1つに前帯状回破壊術(anterior cingulotomy)があり、両側ブロードマン 24/32野に小破壊巣を作るが、これは、帯状皮質運動野ではなく、[[帯状束]](cingulum bundle)をターゲットとしている<ref name="ref66"><pubmed> 19759530</pubmed></ref> <ref name="ref67"><pubmed>20736994</pubmed></ref>。これらの精神疾患、特に強迫神経症では、[[皮質-基底核-視床ループ]]の1つである[[辺縁系ループ]](limbic loop)が病態に深く関わっていると考えられ、強迫神経症患者における辺縁系ループの各構成要素の活動は、コントロール群と比較し上昇しており、症状を誘発した際にはさらに上昇し、治療により低下してゆく<ref name="ref66" /> <ref name="ref68"><pubmed>22138231</pubmed></ref>。手術では、辺縁系ループの連絡を各所で阻害する(上記 anterior cingulotomy や、anterior capsulotomy、subcaudate tractotomy、limbic leukotomy、および[[内包]]前脚腹側部/線条体腹側部(VC/VS)、[[尾状核]]腹側部、視床下核の[[脳深部刺激]](deep brain stimulation; DBS))<ref name="ref66" />。なお、前帯状皮質 は、眼窩前頭皮質などとともに辺縁系ループを構成する。帯状皮質運動野は、これとは別の、[[運動ループ]](motor loop)を構成するのであるが、最近の研究では、辺縁系ループだけでなく、dACC のエラー処理および conflict monitoring の異常や、扁桃体も強迫神経症の病態に関与していると考えられている<ref name="ref68" />。その他、dACC は、[[心的外傷後ストレス障害]](posttraumatic stress disorder; PTSD)、[[不安障害]](anxiety disorders)、[[薬物乱用]]と関わっているといわれている<ref name="ref69"><pubmed>17928261</pubmed></ref> <ref name="ref70"><pubmed>19625997</pubmed></ref> <ref name="ref71"><pubmed>19716751</pubmed></ref> <ref name="ref72"><pubmed>15808502</pubmed></ref>。 | 難治性の[[うつ病]](depression)、[[強迫神経症]](obsessive compulsive disorder; OCD)に外科的治療を行うことがある。術式の1つに前帯状回破壊術(anterior cingulotomy)があり、両側ブロードマン 24/32野に小破壊巣を作るが、これは、帯状皮質運動野ではなく、[[帯状束]](cingulum bundle)をターゲットとしている<ref name="ref66"><pubmed> 19759530</pubmed></ref> <ref name="ref67"><pubmed>20736994</pubmed></ref>。これらの精神疾患、特に強迫神経症では、[[皮質-基底核-視床ループ]]の1つである[[辺縁系ループ]](limbic loop)が病態に深く関わっていると考えられ、強迫神経症患者における辺縁系ループの各構成要素の活動は、コントロール群と比較し上昇しており、症状を誘発した際にはさらに上昇し、治療により低下してゆく<ref name="ref66" /> <ref name="ref68"><pubmed>22138231</pubmed></ref>。手術では、辺縁系ループの連絡を各所で阻害する(上記 anterior cingulotomy や、anterior capsulotomy、subcaudate tractotomy、limbic leukotomy、および[[内包]]前脚腹側部/線条体腹側部(VC/VS)、[[尾状核]]腹側部、視床下核の[[脳深部刺激]](deep brain stimulation; DBS))<ref name="ref66" />。なお、前帯状皮質 は、眼窩前頭皮質などとともに辺縁系ループを構成する。帯状皮質運動野は、これとは別の、[[運動ループ]](motor loop)を構成するのであるが、最近の研究では、辺縁系ループだけでなく、dACC のエラー処理および conflict monitoring の異常や、扁桃体も強迫神経症の病態に関与していると考えられている<ref name="ref68" />。その他、dACC は、[[心的外傷後ストレス障害]](posttraumatic stress disorder; PTSD)、[[不安障害]](anxiety disorders)、[[薬物乱用]]と関わっているといわれている<ref name="ref69"><pubmed>17928261</pubmed></ref> <ref name="ref70"><pubmed>19625997</pubmed></ref> <ref name="ref71"><pubmed>19716751</pubmed></ref> <ref name="ref72"><pubmed>15808502</pubmed></ref>。 |