「サブスタンスP」の版間の差分

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== 受容体 ==
== 受容体 ==
 哺乳類の[[タキキニン受容体]]は[[Gタンパク質共役型受容体]]で、[[NK1]]、[[NK2]]、[[NK3]]の3種類があり、それぞれSP、ニューロキニンA、ニューロキニンBが高い親和性を持っている<ref name=ref4><pubmed>1851606</pubmed></ref>。NK1受容体の[[細胞内情報伝達]]経路は当初考えられていた以上に多岐に亘っている<ref name=ref3 />。[[Ca2+/リン脂質依存性タンパク質リン酸化酵素|Ca<sup>2+</sup>/リン脂質依存性タンパク質リン酸化酵素]] ([[protein kinase C]], [[PKC]])、[[cAMP依存性タンパク質リン酸化酵素]] ([[protein kinase A]], [[PKA]])、[[ホスホリパーゼA2]] ([[phospholipase A2]])の活性化だけでなく、[[Rho]]-[[ROCK]]経路を介した[[ミオシン軽鎖キナーゼ]] ([[myosin light chain kinase]])の[[リン酸化]]や[[上皮成長因子受容体]] ([[epidermal growth factor receptor]], [[EGFR]]))の[[トランス活性化]]を介した[[分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ]]([[mitogen-activated protein kinase]], [[MAPK]])の活性化も報告されている<ref name=ref5><pubmed>10846186</pubmed></ref>。HK-1はサブスタンスPと同様にNK1受容体に対して[[親和性]]が高く、サブスタンスPとほぼ同等の[[Ki]]を示している<ref name=ref6><pubmed>12383518</pubmed></ref>。HK-1に固有の高親和性受容体は見いだされていない。
 哺乳類の[[タキキニン受容体]]は[[Gタンパク質共役型受容体]]で、[[NK1]]、[[NK2]]、[[NK3]]の3種類があり、それぞれSP、ニューロキニンA、ニューロキニンBが高い親和性を持っている<ref name=ref4><pubmed>1851606</pubmed></ref>。NK1受容体の[[細胞内情報伝達]]経路は当初考えられていた以上に多岐に亘っている<ref name=ref3 />。[[Ca2+/リン脂質依存性タンパク質リン酸化酵素|Ca<sup>2+</sup>/リン脂質依存性タンパク質リン酸化酵素]][[protein kinase C]], [[PKC]])、[[cAMP依存性タンパク質リン酸化酵素]][[protein kinase A]], [[PKA]])、[[ホスホリパーゼA2]][[phospholipase A2]])の活性化だけでなく、[[Rho]]-[[ROCK]]経路を介した[[ミオシン軽鎖キナーゼ]][[myosin light chain kinase]])の[[リン酸化]]や[[上皮成長因子受容体]][[epidermal growth factor receptor]], [[EGFR]])の[[トランス活性化]]を介した[[分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ]][[mitogen-activated protein kinase]][[MAPK]])の活性化も報告されている<ref name=ref5><pubmed>10846186</pubmed></ref>。HK-1はサブスタンスPと同様にNK1受容体に対して[[親和性]]が高く、サブスタンスPとほぼ同等の[[Ki]]を示している<ref name=ref6><pubmed>12383518</pubmed></ref>。HK-1に固有の高親和性受容体は見いだされていない。


== 発現 ==
== 発現 ==
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== 機能 ==
== 機能 ==
 ニューロンにおいて、様々なチャネルの修飾機構が報告されている。[[前脳基底野]]細胞では、[[Gq/11]]および[[ホスホリパーゼCβ-1]] ([[PLCβ-1]])を細胞内情報伝達系として、サブスタンスPは[[内向き整流性カリウムチャネル]]を抑制し、脱分極をおこす<ref name=ref11><pubmed>    8890327</pubmed></ref>。[[ラット]][[上頸神経節]]細胞では、サブスタンスPが電位非依存性に[[N型カルシウムチャネル]]を抑制するが<ref name=ref12><pubmed>19858358</pubmed></ref>、チャネルを構成する[[CaVβサブユニット]]の種類によっては、サブスタンスPが[[N電流]]を増強する報告もある<ref name=ref13><pubmed>7678964</pubmed></ref>。ラット[[舌下運動神経]]およびラット[[延髄]][[pre-Bötzinger複合体]][[吸気ニューロン]]では、サブスタンスPは[[two-pore domainカリウムチャネル]]1つである[[TASK-1]]を抑制する<ref name=ref14><pubmed>10719894</pubmed></ref> <ref name=ref15><pubmed>20335463</pubmed></ref> <ref name=ref16><pubmed>19321769</pubmed></ref>。TASK-1を介した[[リーク電流]]は、これらのニューロンにおいて[[静止膜電位]]の形成やリズムの制御に関わっている。Von EulerとGaddumが見出したサブスタンスPによる血圧下降作用は、血管内皮細胞のNK1受容体刺激を介して産生された[[一酸化窒素]]によって、細動脈平滑筋が弛緩したと考えられている<ref name=ref17><pubmed>    2479442</pubmed></ref>。
 ニューロンにおいて、様々なチャネルの修飾機構が報告されている。[[前脳基底野]]細胞では、[[Gq/11]]および[[ホスホリパーゼCβ-1]][[PLCβ-1]])を細胞内情報伝達系として、サブスタンスPは[[内向き整流性カリウムチャネル]]を抑制し、脱分極をおこす<ref name=ref11><pubmed>    8890327</pubmed></ref>。[[ラット]][[上頸神経節]]細胞では、サブスタンスPが電位非依存性に[[N型カルシウムチャネル]]を抑制するが<ref name=ref12><pubmed>19858358</pubmed></ref>、チャネルを構成する[[CaVβサブユニット]]の種類によっては、サブスタンスPが[[N電流]]を増強する報告もある<ref name=ref13><pubmed>7678964</pubmed></ref>。ラット[[舌下運動神経]]およびラット[[延髄]][[pre-Bötzinger複合体]][[吸気ニューロン]]では、サブスタンスPは[[two-pore domainカリウムチャネル]]1つである[[TASK-1]]を抑制する<ref name=ref14><pubmed>10719894</pubmed></ref> <ref name=ref15><pubmed>20335463</pubmed></ref> <ref name=ref16><pubmed>19321769</pubmed></ref>。TASK-1を介した[[リーク電流]]は、これらのニューロンにおいて[[静止膜電位]]の形成やリズムの制御に関わっている。Von EulerとGaddumが見出したサブスタンスPによる血圧下降作用は、血管内皮細胞のNK1受容体刺激を介して産生された[[一酸化窒素]]によって、細動脈平滑筋が弛緩したと考えられている<ref name=ref17><pubmed>    2479442</pubmed></ref>。


==不活化機構==
==不活化機構==
 [[ネプリライシン]] ([[neprilysin]])、EC 3.4.24.11、別名[[エンケファリナーゼ]] ([[enkephalinase]]))、[[アミノペプチダーゼN]] ([[aminopeptidase N]], EC 3.4.11.2)や[[ペプチジルジペプチダーゼA]] ([[peptidyl dipeptidase A]], EC 3.4.15.1、別名[[アンギオテンシン変換酵素]] ([[angiotensin converting enzyme]]))など複数の酵素で分解されて不活性化される<ref name=ref1><pubmed>7682720</pubmed></ref><ref name=ref2><pubmed>7529113</pubmed></ref>。
 [[ネプリライシン]][[neprilysin]])、EC 3.4.24.11、別名[[エンケファリナーゼ]][[enkephalinase]])、[[アミノペプチダーゼN]][[aminopeptidase N]], EC 3.4.11.2)や[[ペプチジルジペプチダーゼA]] ([[peptidyl dipeptidase A]], EC 3.4.15.1、別名[[アンギオテンシン変換酵素]] ([[angiotensin converting enzyme]])など複数の酵素で分解されて不活性化される<ref name=ref1><pubmed>7682720</pubmed></ref><ref name=ref2><pubmed>7529113</pubmed></ref>。


== 疾患との関連 ==
== 疾患との関連 ==
=== 疼痛 ===
=== 疼痛 ===
 サブスタンスPは侵害刺激を伝える[[一次求心性ニューロン]]の一部に含まれ、サブスタンスP陽性細胞は[[後根神経細胞]]の約30%を占める<ref name=ref18><pubmed>9581756</pubmed></ref>。サブスタンスP陽性細胞の約80%に[[TRPV1受容体]]が発現している<ref name=ref19><pubmed>10103088</pubmed></ref>。[[神経成長因子]]([[NGF]])を過剰発現させた[[トランスジェニックマウス]]では脊髄後角でサブスタンスPの発現が増加し、[[痛覚過敏]] (hyperalgesia)を示す<ref name=ref20><pubmed>10199622</pubmed></ref>。NK1とNK2受容体は一次求心性ニューロンと脊髄後角ニューロンに発現している。従って、神経刺激等によって一次求心性神経末端で放出されたサブスタンスPは、後角ニューロンに作用するだけでなく、自己あるいは[[傍分泌]]様式で、一次求心性ニューロンにNK1受容体と共発現しているTRPV1を活性化させ、痛覚過敏に関与する<ref name=ref21><pubmed>17978048</pubmed></ref>。
 サブスタンスPは侵害刺激を伝える[[一次求心性ニューロン]]の一部に含まれ、サブスタンスP陽性細胞は[[後根神経細胞]]の約30%を占める<ref name=ref18><pubmed>9581756</pubmed></ref>。サブスタンスP陽性細胞の約80%に[[TRPV1受容体]]が発現している<ref name=ref19><pubmed>10103088</pubmed></ref>。[[神経成長因子]][[NGF]])を過剰発現させた[[トランスジェニックマウス]]では脊髄後角でサブスタンスPの発現が増加し、[[痛覚過敏]](hyperalgesia)を示す<ref name=ref20><pubmed>10199622</pubmed></ref>。NK1とNK2受容体は一次求心性ニューロンと脊髄後角ニューロンに発現している。従って、神経刺激等によって一次求心性神経末端で放出されたサブスタンスPは、後角ニューロンに作用するだけでなく、自己あるいは[[傍分泌]]様式で、一次求心性ニューロンにNK1受容体と共発現しているTRPV1を活性化させ、痛覚過敏に関与する<ref name=ref21><pubmed>17978048</pubmed></ref>。


 NK1受容体[[遺伝子欠失マウス|遺伝子ホモ欠失マウス]]では、通常の痛覚反応はあるが、強い侵害刺激に対する反応が減弱している<ref name=ref22><pubmed>9537323</pubmed></ref>。神経障害によって、通常では[[触覚]]を伝達する[[Aβ線維]]においてサブスタンスPが発現してくることから<ref name=ref23><pubmed>21872992</pubmed></ref>、この変化も[[神経障害性疼痛]]の発症機序の一部に関与していると考えられる。
 NK1受容体[[遺伝子欠失マウス|遺伝子ホモ欠失マウス]]では、通常の痛覚反応はあるが、強い侵害刺激に対する反応が減弱している<ref name=ref22><pubmed>9537323</pubmed></ref>。神経障害によって、通常では[[触覚]]を伝達する[[Aβ線維]]においてサブスタンスPが発現してくることから<ref name=ref23><pubmed>21872992</pubmed></ref>、この変化も[[神経障害性疼痛]]の発症機序の一部に関与していると考えられる。
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 上位中枢神経系において[[情動]]や[[不安恐怖反応]]に関与すると考えられている[[中隔野]]、[[海馬]]、[[扁桃体]]、[[視床下部]]、あるいは[[中脳中心灰白質]]にNK1とNK3受容体が豊富に存在している<ref name=ref9 /> <ref name=ref10 />。
 上位中枢神経系において[[情動]]や[[不安恐怖反応]]に関与すると考えられている[[中隔野]]、[[海馬]]、[[扁桃体]]、[[視床下部]]、あるいは[[中脳中心灰白質]]にNK1とNK3受容体が豊富に存在している<ref name=ref9 /> <ref name=ref10 />。


 ラットに[[拘束ストレス]]をかけたり、[[高架台]]に乗せると、[[扁桃体内側核]]のサブスタンスP放出が上昇し、同部位へNK1受容体拮抗薬を微量投与すると、[[不安関連行動]]が減弱する<ref name=ref31><pubmed>15024126</pubmed></ref>。新生仔に[[母仔分離ストレス]]を与えると[[扁桃体前部基底外側核]]においてNK1受容体の[[細胞内取り込み]](internalization)がおきることから、内因性サブスタンスP放出の増加が示唆されている<ref name=ref32><pubmed>9733503</pubmed></ref>。一方、抗不安薬をラットに投与すると海馬と中脳中心灰白質においてサブスタンスPの合成が減少する<ref name=ref33><pubmed>7518054</pubmed></ref>。NK1受容体遺伝子ホモ欠失マウスでは、[[高架式十字迷路]]試験において、不安関連行動および血清[[コルチゾール]]上昇の減少が観察され、伴って[[背側縫線核]]セロトニンニューロンの発火頻度が増加する<ref name=ref34><pubmed>11172050</pubmed></ref>。[[居住者-侵入者試験]]では[[攻撃性]]が減少する<ref name=ref22 />。不安及び[[うつ症状]]に対するNK1拮抗薬の臨床応用に関しては、まだ上市されている薬物はない。
 ラットに[[拘束ストレス]]をかけたり、[[高架台]]に乗せると、[[扁桃体内側核]]のサブスタンスP放出が上昇し、同部位へNK1受容体拮抗薬を微量投与すると、[[不安関連行動]]が減弱する<ref name=ref31><pubmed>15024126</pubmed></ref>。新生仔に[[母仔分離ストレス]]を与えると[[扁桃体前部基底外側核]]においてNK1受容体の[[細胞内取り込み]](internalization)がおきることから、内因性サブスタンスP放出の増加が示唆されている<ref name=ref32><pubmed>9733503</pubmed></ref>。一方、抗不安薬をラットに投与すると海馬と中脳中心灰白質においてサブスタンスPの合成が減少する<ref name=ref33><pubmed>7518054</pubmed></ref>。NK1受容体遺伝子ホモ欠失マウスでは、[[高架式十字迷路]]試験において、不安関連行動および血清[[コルチゾール]]上昇の減少が観察され、伴って[[背側縫線核]]セロトニンニューロンの発火頻度が増加する<ref name=ref34><pubmed>11172050</pubmed></ref>。[[居住者-侵入者試験]]では[[攻撃性]]が減少する<ref name=ref22 />。不安及び[[うつ症状]]に対するNK1拮抗薬の臨床応用に関しては、まだ上市されている薬物はない。


 サブスタンスP-NK1神経系は[[薬物依存]]や[[報酬系]]にも関わっている。[[オピオイド]]の報酬効果に関しては、[[条件付け場所嗜好性試験]]において、NK1受容体遺伝子ホモ欠失マウスでは[[モルヒネ]]による場所嗜好性の獲得が抑制され、離脱症状の一部も減少する<ref name=ref35><pubmed>10821273</pubmed></ref>。[[コカイン]]や食物の嗜好性は影響を受けないという<ref name=ref35 />。ラットにおける[[ヘロイン]]の自己投与や消費の動機付けがNK1受容体拮抗薬で抑制される<ref name=ref36><pubmed>23303056</pubmed></ref>。またヘロインの投与で[[前頭前野]]と[[側坐核]]でNK1が増加が見られている<ref name=ref36 />。
 サブスタンスP-NK1神経系は[[薬物依存]]や[[報酬系]]にも関わっている。[[オピオイド]]の報酬効果に関しては、[[条件付け場所嗜好性試験]]において、NK1受容体遺伝子ホモ欠失マウスでは[[モルヒネ]]による場所嗜好性の獲得が抑制され、離脱症状の一部も減少する<ref name=ref35><pubmed>10821273</pubmed></ref>。[[コカイン]]や食物の嗜好性は影響を受けないという<ref name=ref35 />。ラットにおける[[ヘロイン]]の自己投与や消費の動機付けがNK1受容体拮抗薬で抑制される<ref name=ref36><pubmed>23303056</pubmed></ref>。またヘロインの投与で[[前頭前野]]と[[側坐核]]でNK1が増加が見られている<ref name=ref36 />。


 [[アルコール]]に関しては、NK1受容体遺伝子ホモ欠失マウスでは自発的アルコール摂取の増加が抑制され、[[アルコール依存症]]患者ではNK1受容体拮抗薬の投与でアルコールに対する欲求が改善している<ref name=ref37><pubmed>18276852</pubmed></ref>。健常者を対象にした[[機能的磁気共鳴撮像法]]による研究では、[[報酬予測]]時の側坐核の脳活動([[BOLD信号]])が、NK1受容体拮抗薬の単回投与により[[プラセボ]]と比較して有意に減少することが報告されている<ref name=ref38><pubmed>23406545</pubmed></ref>。
 [[アルコール]]に関しては、NK1受容体遺伝子ホモ欠失マウスでは自発的アルコール摂取の増加が抑制され、[[アルコール依存症]]患者ではNK1受容体拮抗薬の投与でアルコールに対する欲求が改善している<ref name=ref37><pubmed>18276852</pubmed></ref>。健常者を対象にした[[機能的磁気共鳴撮像法]]による研究では、[[報酬予測]]時の側坐核の脳活動([[BOLD信号]])が、NK1受容体拮抗薬の単回投与により[[プラセボ]]と比較して有意に減少することが報告されている<ref name=ref38><pubmed>23406545</pubmed></ref>。


=== 性腺機能不全症 ===
=== 性腺機能不全症 ===
 ニューロキニンBおよびNK3の遺伝子変異(機能欠損)による[[家族性低ゴナドトロピン性性腺機能不全症]]が報告されている<ref name=ref39><pubmed>19079066</pubmed></ref>。[[漏斗核|漏斗]]・[[弓状核]]細胞にある[[キスペプチン]]含有ニューロンは、[[正中隆起]]の[[性腺刺激ホルモン放出ホルモン]] ([[GnRH]])含有ニューロンを直接神経支配し、GnRHのパルス状の放出に関与している。このkisspeptinを含有する漏斗・弓状核細胞の一群では、ニューロキニンBおよび[[ダイノルフィン]]を含有し、NK3受容体も発現している。ニューロキニンBは自己あるいは傍分泌によってキスペプチン分泌を刺激しているので、ニューロキニンBあるいはNK3の機能欠損によって、キスペプチン含有ニューロンの機能不全とそれに起因する正中隆起細胞からのGnRH分泌障害が起きると考えられている<ref name=ref40><pubmed>24615662</pubmed></ref>。
 ニューロキニンBおよびNK3の遺伝子変異(機能欠損)による[[家族性低ゴナドトロピン性性腺機能不全症]]が報告されている<ref name=ref39><pubmed>19079066</pubmed></ref>。[[漏斗核|漏斗]]・[[弓状核]]細胞にある[[キスペプチン]]含有ニューロンは、[[正中隆起]]の[[性腺刺激ホルモン放出ホルモン]][[GnRH]])含有ニューロンを直接神経支配し、GnRHのパルス状の放出に関与している。このkisspeptinを含有する漏斗・弓状核細胞の一群では、ニューロキニンBおよび[[ダイノルフィン]]を含有し、NK3受容体も発現している。ニューロキニンBは自己あるいは傍分泌によってキスペプチン分泌を刺激しているので、ニューロキニンBあるいはNK3の機能欠損によって、キスペプチン含有ニューロンの機能不全とそれに起因する正中隆起細胞からのGnRH分泌障害が起きると考えられている<ref name=ref40><pubmed>24615662</pubmed></ref>。


==関連項目==
==関連項目==

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