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Masahitoyamagata (トーク | 投稿記録) 細編集の要約なし |
Masahitoyamagata (トーク | 投稿記録) 細 (→組織からの細胞、細胞核の分離) |
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なお、ヒト組織などから生きた細胞を得ることは困難なことが多い。この場合、凍結した組織から、各細胞由来の核を調製し、核内のmRNAを分析する方法 snRNA-seq (single-nucleus RNA-seq)があり、細胞質を持つ生細胞を利用した場合より感度は劣るが、細胞の同定などの目的には十分使用に耐える<ref><pubmed>27471252</pubmed></ref><<<ref><pubmed>28846088</pubmed></ref><<ref><pubmed>29220646</pubmed></ref><ref><pubmed>28846088</pubmed></ref><ref><pubmed>30586455</pubmed></ref><ref><pubmed>28729663</pubmed></ref>[https://www.biorxiv.org/content/10.1101/630087v1]。snRNA-seqでは、組織をそのまま凍結することから開始するので、上述したscRNA-seqの問題である酵素処理や加温などを避けることができる。こうしたプロトコールの一部は、protocols.ioのHuman Cell Atlasのグループ[https://www.protocols.io/groups/hca]で公開されている。 | なお、ヒト組織などから生きた細胞を得ることは困難なことが多い。この場合、凍結した組織から、各細胞由来の核を調製し、核内のmRNAを分析する方法 snRNA-seq (single-nucleus RNA-seq)があり、細胞質を持つ生細胞を利用した場合より感度は劣るが、細胞の同定などの目的には十分使用に耐える<ref><pubmed>27471252</pubmed></ref><<<ref><pubmed>28846088</pubmed></ref><<ref><pubmed>29220646</pubmed></ref><ref><pubmed>28846088</pubmed></ref><ref><pubmed>30586455</pubmed></ref><ref><pubmed>28729663</pubmed></ref>[https://www.biorxiv.org/content/10.1101/630087v1]。snRNA-seqでは、組織をそのまま凍結することから開始するので、上述したscRNA-seqの問題である酵素処理や加温などを避けることができる。こうしたプロトコールの一部は、protocols.ioのHuman Cell Atlasのグループ[https://www.protocols.io/groups/hca]で公開されている。 | ||
単離した細胞は、そのまま10xGenomicsのChromiumのプラットフォームに導入することができるが、抗体や蛍光タンパク質レポータ=などを用いたFACS、パニング、MACS(磁気ビーズカラム)などによる特定のマーカーを細胞表面などに発現する細胞の単離を行う場合もある。更に、抗体にUMIをカップリングさせることで、細胞を単離せずにscRNA-seqを行うCITE-seqなどの方法については、下記のマルチモーダルなオミクスの項で述べる。 | |||
更に、RNAを分析するscRNA-seqではないが、single cell genome-seqの変法として、シングルセルの遺伝子発現を推定する方法として、トランスポゾンを用いることでゲノムのオープンクロマチン領域を選択的に検出し、ライブラリーを作製しシーケンスするsingle cell ATAC-seq (Assay for Transposase-Accessible Chromatin)<ref><pubmed>26083756</pubmed></ref>, <ref><pubmed>29434377</pubmed></ref><ref><pubmed>25953818</pubmed></ref>, single cell THS-seq (transposome hypersensitive-site) <ref><pubmed>29227469</pubmed></ref>がある。またDNAメチル化をシングルセルレベルで観察する方法も報告されている<ref><pubmed>28798132</pubmed></ref>。 | 更に、RNAを分析するscRNA-seqではないが、single cell genome-seqの変法として、シングルセルの遺伝子発現を推定する方法として、トランスポゾンを用いることでゲノムのオープンクロマチン領域を選択的に検出し、ライブラリーを作製しシーケンスするsingle cell ATAC-seq (Assay for Transposase-Accessible Chromatin)<ref><pubmed>26083756</pubmed></ref>, <ref><pubmed>29434377</pubmed></ref><ref><pubmed>25953818</pubmed></ref>, single cell THS-seq (transposome hypersensitive-site) <ref><pubmed>29227469</pubmed></ref>がある。またDNAメチル化をシングルセルレベルで観察する方法も報告されている<ref><pubmed>28798132</pubmed></ref>。 | ||
===scRNA-seqデータの前処理=== | ===scRNA-seqデータの前処理=== | ||
10x Genomics社のChromium、IlluminaのNGSを利用した場合、Cell Ranger(Linux上で作動)を用いて、各生物種ごとのレファレンス配列リスト(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/grc)やEggNOG ([http://eggnogdb.embl.de])などを利用し、細胞とトランスクリプトーム(各遺伝子の発現)の対応マトリックスを作製する。その後のデータの処理についても、10xGenomics社がソフトウェアLoupeを提供している。しかしながら、その後のダウンストリーム解析を考慮して、R言語, Python, MATLABなどのデータ解析のための汎用プログラミング言語やコードで扱えるオブジェクトに変換するのが通常である。ここでは、scRNA-seqデータ解析のために最もよく利用されているR言語を用いたパッケージ「Seurat」<ref><pubmed> 29608179 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 31178118 </pubmed></ref>を中心に紹介したい。なお、Pythonを利用したものでは、ドイツ・ミュンヘンInstitute of Computational Biologyの Fabian J. Theisらが開発しているScanpyが有名である<ref><pubmed> 29409532</pubmed></ref>。 | 10x Genomics社のChromium、IlluminaのNGSを利用した場合、Cell Ranger(Linux上で作動)を用いて、各生物種ごとのレファレンス配列リスト(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/grc)やEggNOG ([http://eggnogdb.embl.de])などを利用し、細胞とトランスクリプトーム(各遺伝子の発現)の対応マトリックスを作製する。その後のデータの処理についても、10xGenomics社がソフトウェアLoupeを提供している。しかしながら、その後のダウンストリーム解析を考慮して、R言語, Python, MATLABなどのデータ解析のための汎用プログラミング言語やコードで扱えるオブジェクトに変換するのが通常である。ここでは、scRNA-seqデータ解析のために最もよく利用されているR言語を用いたパッケージ「Seurat」<ref><pubmed> 29608179 </pubmed></ref> <ref><pubmed> 31178118 </pubmed></ref>を中心に紹介したい。なお、Pythonを利用したものでは、ドイツ・ミュンヘンInstitute of Computational Biologyの Fabian J. Theisらが開発しているScanpyが有名である<ref><pubmed> 29409532</pubmed></ref>。 |