「銅・亜鉛-スーパーオキシドディスムターゼ」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
58行目: 58行目:
=== 分泌SOD1のパラクライン作用 ===
=== 分泌SOD1のパラクライン作用 ===
 細胞質に存在するSOD1が[[小胞体]](ER)-[[ゴルジ体]]経路で細胞外に輸送され<ref name=Urushitani2008><pubmed>18337461</pubmed></ref>[83]、特に変異SOD1は[[クロモグラニンB]]と結合して分泌され細胞毒性に関与していることが報告された<ref name=Urushitani2006><pubmed>16369483</pubmed></ref>[84]。さらに、細胞外のカリウムイオンによって誘導された[[脱分極]]によってSOD1が細胞外に分泌されること<ref name=Cruz-Garcia2017><pubmed>28794127</pubmed></ref>[85]や神経細胞においてSOD1が[[ムスカリン性アセチルコリン受容体]]を介して[[ERK1]]/[[ERK2|2]]と[[AKT]]を活性化すること<ref name=Damiano2013><pubmed>23147108</pubmed></ref>[86]が報告されている。
 細胞質に存在するSOD1が[[小胞体]](ER)-[[ゴルジ体]]経路で細胞外に輸送され<ref name=Urushitani2008><pubmed>18337461</pubmed></ref>[83]、特に変異SOD1は[[クロモグラニンB]]と結合して分泌され細胞毒性に関与していることが報告された<ref name=Urushitani2006><pubmed>16369483</pubmed></ref>[84]。さらに、細胞外のカリウムイオンによって誘導された[[脱分極]]によってSOD1が細胞外に分泌されること<ref name=Cruz-Garcia2017><pubmed>28794127</pubmed></ref>[85]や神経細胞においてSOD1が[[ムスカリン性アセチルコリン受容体]]を介して[[ERK1]]/[[ERK2|2]]と[[AKT]]を活性化すること<ref name=Damiano2013><pubmed>23147108</pubmed></ref>[86]が報告されている。
 また細胞外に放出されたミスフォールドSOD1が隣接する細胞に取り込まれ、その細胞内のSOD1をミスフォールディングさせる[[プリオン]]伝播作用を示すことが提唱された<ref name=Munch2011><pubmed>21321227</pubmed></ref><ref name=Grad2014><pubmed>25551548</pubmed></ref>[87, 88]。さらに、ALS患者脳脊髄液中に存在する可溶性ミスフォールド野生型SOD1が運動ニューロン様細胞に対して細胞毒性を示す<ref name=Tokuda2019><pubmed>31744522</pubmed></ref>[27]。そこで、細胞外([[脳脊髄液]])のミスフォールドSOD1をターゲットにした新たなALS治療法が開発されるようになってきた。マウスを用いた実験段階であるが、ミスフォールドSOD1に特異的な抗体を髄腔内投与する療法やSOD1を投与して生体内で抗体を作らせる[[ワクチン療法]]の効果が報告されている<ref name=Urushitani2007><pubmed>17277077</pubmed></ref><ref name=Takeuchi2010><pubmed>20838241</pubmed></ref>[89, 90]。
 さらにはSOD1の翻訳を阻害する[[核酸医薬]]の開発競争も始まっている<ref name=Ralph2005><pubmed>15768029</pubmed></ref><ref name=Stoica2016><pubmed>26891182</pubmed></ref><ref name=Mueller2020><pubmed>32640133</pubmed></ref>[91, 92, 93]。既にSOD1変異を持つ患者に対して、SOD1 mRNAを分解する[[アンチセンス薬]][[tofersen]]の髄腔内投与の効果・安全性を検討する第1/第2相試験が行われており、第3相試験への期待が高まっている<ref name=Miller2020><pubmed>32640130</pubmed></ref>[94]。


== 構造 ==
== 構造 ==

案内メニュー