「銅・亜鉛-スーパーオキシドディスムターゼ」の版間の差分

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==== 非細胞自律性神経細胞死 ====
==== 非細胞自律性神経細胞死 ====
 変異SOD1 tgマウスにおいて、ミクログリアや[[アストロサイト]]での変異SOD1の発現量が多いほどALSの進行速度が速くなり、逆にミクログリアやアストロサイトでの変異SOD1を除去するとALSの進行速度が遅くなることが証明された。つまり、変異SOD1を発現している運動神経細胞が自律的に[[細胞死]]をきたすわけではない『非細胞自律性神経細胞死』の概念が提唱されている<ref name=Boillee2006><pubmed>16741123</pubmed></ref><ref name=Yamanaka2008><pubmed>18246065</pubmed></ref>[59, 60]。
 変異SOD1 tgマウスにおいて、ミクログリアや[[アストロサイト]]での変異SOD1の発現量が多いほどALSの進行速度が速くなり、逆にミクログリアやアストロサイトでの変異SOD1を除去するとALSの進行速度が遅くなることが証明された。つまり、変異SOD1を発現している運動神経細胞が自律的に[[細胞死]]をきたすわけではない『非細胞自律性神経細胞死』の概念が提唱されている<ref name=Boillee2006><pubmed>16741123</pubmed></ref><ref name=Yamanaka2008><pubmed>18246065</pubmed></ref>[59, 60]。
==== プリオン伝播作用とワクチン療法 ====
 また細胞外に放出されたミスフォールドSOD1が隣接する細胞に取り込まれ、その細胞内のSOD1をミスフォールディングさせる[[プリオン]]伝播作用を示すことが提唱された<ref name=Munch2011><pubmed>21321227</pubmed></ref><ref name=Grad2014><pubmed>25551548</pubmed></ref>[87, 88]。さらに、ALS患者脳脊髄液中に存在する可溶性ミスフォールド野生型SOD1が運動ニューロン様細胞に対して細胞毒性を示す<ref name=Tokuda2019><pubmed>31744522</pubmed></ref>[27]。そこで、細胞外([[脳脊髄液]])のミスフォールドSOD1をターゲットにした新たなALS治療法が開発されるようになってきた。マウスを用いた実験段階であるが、ミスフォールドSOD1に特異的な抗体を髄腔内投与する療法やSOD1を投与して生体内で抗体を作らせる[[ワクチン療法]]の効果が報告されている<ref name=Urushitani2007><pubmed>17277077</pubmed></ref><ref name=Takeuchi2010><pubmed>20838241</pubmed></ref>[89, 90]。
==== SOD1に対する核酸医薬 ====
 SOD1の翻訳を阻害する[[核酸医薬]]の開発競争も始まっている<ref name=Ralph2005><pubmed>15768029</pubmed></ref><ref name=Stoica2016><pubmed>26891182</pubmed></ref><ref name=Mueller2020><pubmed>32640133</pubmed></ref>[91, 92, 93]。既にSOD1変異を持つ患者に対して、SOD1 mRNAを分解する[[アンチセンス薬]][[tofersen]]の髄腔内投与の効果・安全性を検討する第1/第2相試験が行われており、第3相試験への期待が高まっている<ref name=Miller2020><pubmed>32640130</pubmed></ref>[94]。


=== SOD1欠損症 ===
=== SOD1欠損症 ===

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