「イノシトール1,4,5-三リン酸」の版間の差分

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==化学構造==
==化学構造==
 イノシトール1,4,5-三リン酸(以下IP<sub>3</sub>あるいはInsP3と略す)、イノシトール環(inositol ring)に3個のリン酸基が結合した代謝化合物である。イノシトール環がもつ6個の炭素(1~6位)のうち、特別に指定されなければ1、4、5位の3個の炭素にリン酸基が結合したイノシトール1,4,5-三リン酸を指す。InsP3/IP<sub>3</sub>間で他の炭素の位置にリン酸基が結合するものと区別する場合には、1,4,5-IP<sub>3</sub>(あるいはIns(1,4,5)P<sub>3</sub>)や、1,3,4-IP<sub>3</sub>(あるいはIns(1,3,4)P3)などとリン酸基が付く炭素の位置を明記する必要がある。
[[ファイル:Furuichi IP3 Figure1.png|サムネイル|'''図1. D-myo-イノシトール1,4,5-三リン酸の化学構造'''<br>
'''(a)'''はハース投影式(Haworth projection)による環状構造、'''(b)'''はin vivoで熱力学的に安定と考えられるイス型の構造で示している<ref name=Irvine2016><pubmed>27623846</pubmed></ref> 。'''(c)'''はIUBNCの提案で、Agranoffの亀の頭・手・足・尾の配置を例えとして、6個の炭素の位置を、2位が亀の頭で、1位が右手となるように、反時計回りに1~6位の順で番号を付ける<ref name=Agranoff2009><pubmed>19447884</pubmed></ref> <br>
図1 D-myo-イノシトール1,4,5-三リン酸の化学構造
Ins(1,4,5)P<sub>3</sub>では、イノシトール環の1,4,5位の炭素にリン酸基(図では○Pで示す位置に-OPO32-)が結合し、2,3,6位の炭素にヒドロキシ基(-OH)が結合している。PIP<sub>2</sub>では白抜き矢印(⇒)で示すイノシトール環1位のリン酸基とジアシルグリセロールのsn-3位のヒドロキシ基がエステル結合しており、この結合をPLCが加水分解することよってIP<sub>3</sub>が細胞膜から細胞質へと遊離する。]]
(a)はハース投影式(Haworth projection)による環状構造、(b)はin vivoで熱力学的に安定と考えられるイス型の構造で示している<ref name=Irvine2016><pubmed>27623846</pubmed></ref> 。(c)はIUBNCの提案で、Agranoffの亀の頭・手・足・尾の配置を例えとして、6個の炭素の位置を、2位が亀の頭で、1位が右手となるように、反時計回りに1~6位の順で番号を付ける<ref name=Agranoff2009><pubmed>19447884</pubmed></ref> 。Ins(1,4,5)P<sub>3</sub>では、イノシトール環の1,4,5位の炭素にリン酸基(図では○Pで示す位置に-OPO32-)が結合し、2,3,6位の炭素にヒドロキシ基(-OH)が結合している。PIP<sub>2</sub>では白抜き矢印(⇒)で示すイノシトール環1位のリン酸基とジアシルグリセロールのsn-3位のヒドロキシ基がエステル結合しており、この結合をPLCが加水分解することよってIP<sub>3</sub>が細胞膜から細胞質へと遊離する。
 イノシトール1,4,5-三リン酸(以下IP<sub>3</sub>あるいはInsP3と略す)はイノシトール環(inositol ring)に3個のリン酸基が結合した代謝化合物である。イノシトール環がもつ6個の炭素(1~6位)のうち、特別に指定されなければ1、4、5位の3個の炭素にリン酸基が結合したイノシトール1,4,5-三リン酸を指す。InsP3/IP<sub>3</sub>間で他の炭素の位置にリン酸基が結合するものと区別する場合には、1,4,5-IP<sub>3</sub>(あるいはIns(1,4,5)P<sub>3</sub>)や、1,3,4-IP<sub>3</sub>(あるいはIns(1,3,4)P3)などとリン酸基が付く炭素の位置を明記する必要がある。


==産生==
==産生==

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