「液-液相分離」の版間の差分

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 液滴は流動性を持つことが特徴である。観察対象の顆粒状タンパク質集合物が液滴であるかを判別するには、接触時に融合するかどうかを確認するのが簡便である。液滴の中には、1秒もあれば完全に融合してしまうほど柔らかいものも存在する<ref name=Sakakibara2023><pubmed>37291907</pubmed></ref>[15]。一方で、接触しても融合しない場合、その集合物は液滴ではなく凝集体であると判断できる。
 液滴は流動性を持つことが特徴である。観察対象の顆粒状タンパク質集合物が液滴であるかを判別するには、接触時に融合するかどうかを確認するのが簡便である。液滴の中には、1秒もあれば完全に融合してしまうほど柔らかいものも存在する<ref name=Sakakibara2023><pubmed>37291907</pubmed></ref>[15]。一方で、接触しても融合しない場合、その集合物は液滴ではなく凝集体であると判断できる。


 液滴の流動性を定量する方法として、光褪色後蛍光回復法(Fluorescence Recovery After Photobleaching, FRAP)が広く用いられている<ref name=Sprague2005><pubmed>15695095</pubmed></ref>[16]。この手法では、液滴の一部分にレーザーを照射して蛍光を褪色させ、その後の蛍光回復速度から分子の流動性を計測する。細胞内の液滴では、蛍光の回復が秒から分のオーダーの現象として観察されることが多い。ただし、観察対象が液体の性質を持つのか、固体に近い性質を持つのかを蛍光回復の速度論的解析だけで判断するのは難しいとの見解もあり<ref name=McSwiggen2019><pubmed>31594803</pubmed></ref>[17]、慎重な解釈が求められる。
 液滴の流動性を定量する方法として、[[光褪色後蛍光回復法]]([[fluorescence recovery after photobleaching]], [[FRAP]])が広く用いられている<ref name=Sprague2005><pubmed>15695095</pubmed></ref>[16]。この手法では、液滴の一部分にレーザーを照射して蛍光を褪色させ、その後の蛍光回復速度から分子の流動性を計測する。細胞内の液滴では、蛍光の回復が秒から分のオーダーの現象として観察されることが多い。ただし、観察対象が液体の性質を持つのか、固体に近い性質を持つのかを蛍光回復の速度論的解析だけで判断するのは難しいとの見解もあり<ref name=McSwiggen2019><pubmed>31594803</pubmed></ref>[17]、慎重な解釈が求められる。


== タンパク質の液-液相分離 ==
== タンパク質の液-液相分離 ==

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