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[[天然変性タンパク質]](natively unfolded protein)は、明確な立体構造を持たずに柔軟なコンフォメーションをとるタンパク質のことをいう<ref name=Uversky2002><pubmed>11910019</pubmed></ref>[19]。天然変性タンパク質は本質的に無秩序なタンパク質([[intrinsically disordered proteins]])ということもある<ref name=Dunker2001><pubmed>11381529</pubmed></ref>[20]。タンパク質の立体構造を形成しない領域は[[天然変性領域]]([[intrinsically disordered region]], [[IDR]])や[[低複雑性ドメイン]](low complexity domain)と呼ばれることがある。天然変性領域はタンパク質の液-液相分離のために機能する領域である。 | [[天然変性タンパク質]](natively unfolded protein)は、明確な立体構造を持たずに柔軟なコンフォメーションをとるタンパク質のことをいう<ref name=Uversky2002><pubmed>11910019</pubmed></ref>[19]。天然変性タンパク質は本質的に無秩序なタンパク質([[intrinsically disordered proteins]])ということもある<ref name=Dunker2001><pubmed>11381529</pubmed></ref>[20]。タンパク質の立体構造を形成しない領域は[[天然変性領域]]([[intrinsically disordered region]], [[IDR]])や[[低複雑性ドメイン]](low complexity domain)と呼ばれることがある。天然変性領域はタンパク質の液-液相分離のために機能する領域である。 | ||
天然変性タンパク質は、[[真核生物]]の持つタンパク質に多くみられる。30残基以上の天然変性領域を持つタンパク質は、[[ヒト]]の場合、約44%と推定されている<ref name= | 天然変性タンパク質は、[[真核生物]]の持つタンパク質に多くみられる。30残基以上の天然変性領域を持つタンパク質は、[[ヒト]]の場合、約44%と推定されている<ref name=vanderLee2014><pubmed>24773235</pubmed></ref>[21]。一方、天然変性タンパク質は[[真正細菌]]や[[アーキア]]にはあまり存在しない。 | ||
天然変性領域は荷電残基や[[極性アミノ酸]]に富んでおり、類似した配列が繰り返し存在するのが特徴である<ref name=Chong2018><pubmed>29913160</pubmed></ref>[22]。例えば、[[フェニルアラニン]]と[[グリシン]]が繰り返し現れる[[FGリピート]]や、[[アルギニン]]とグリシンが繰り返し現れる[[RGGリピート]]などのモチーフが知られている。天然変性タンパク質にはRNA結合ドメインを持っているものも多く、RNAと共に液-液相分離を形成するものがある。 | 天然変性領域は荷電残基や[[極性アミノ酸]]に富んでおり、類似した配列が繰り返し存在するのが特徴である<ref name=Chong2018><pubmed>29913160</pubmed></ref>[22]。例えば、[[フェニルアラニン]]と[[グリシン]]が繰り返し現れる[[FGリピート]]や、[[アルギニン]]とグリシンが繰り返し現れる[[RGGリピート]]などのモチーフが知られている。天然変性タンパク質にはRNA結合ドメインを持っているものも多く、RNAと共に液-液相分離を形成するものがある。 |