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== 疾患との関わり == | == 疾患との関わり == | ||
NPASファミリーメンバーの機能異常や発現レベルの変化は、[[神経精神疾患]]、がん、代謝性疾患など、様々なヒトの疾患と関連付けられている。 | |||
=== NPAS2 === | === NPAS2 === | ||
==== 睡眠障害 ==== | ==== 睡眠障害 ==== | ||
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=== NPAS4=== | === NPAS4=== | ||
==== てんかん ==== | ==== てんかん ==== | ||
てんかん発作は強力な神経活動刺激であり、発作時にNPAS4の発現が海馬などで著しく誘導される(Lin et al., 2008)。NPAS4は抑制性シナプスの形成を促進することから、発作後の神経回路の過剰興奮を抑制する保護的な役割(抗てんかん作用)を持つと考えられている。実際に、NPAS4欠損マウスは、薬物誘発性てんかん発作に対する感受性が亢進し、発作重症度が増加することが示されている<ref name=Shan2018><pubmed>29222951</pubmed></ref>(Shan et al., 2018)。 | |||
脳梗塞・神経変性疾患:脳虚血などの神経傷害後にもNPAS4の発現が誘導され、神経保護に関与する可能性が示唆されている<ref name=Shamloo2006><pubmed>17156197</pubmed></ref><ref name=Takahashi2021><pubmed>34349016</pubmed></ref>(Shamloo et al., 2006; Takahashi et al., 2021)。その機能不全が神経変性疾患の病態に関わる可能性も研究されている。 | |||
不安障害・PTSD(post-traumatic stress disorder):扁桃体におけるNPAS4の機能は恐怖記憶の形成と消去に関与するため、その調節異常が不安障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)の病態に関与する可能性が考えられている<ref name=Ploski2011><pubmed>21887312</pubmed></ref>(Ploski et al., 2011)。 | 不安障害・PTSD(post-traumatic stress disorder):扁桃体におけるNPAS4の機能は恐怖記憶の形成と消去に関与するため、その調節異常が不安障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)の病態に関与する可能性が考えられている<ref name=Ploski2011><pubmed>21887312</pubmed></ref>(Ploski et al., 2011)。 | ||
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病態仮説の一つである神経回路の興奮/抑制バランスの破綻において、NPAS4が重要な役割を果たしている可能性が注目されている。NPAS4の機能異常とASD病態との関連、および治療標的としての可能性が探求されている<ref name=Rein2021><pubmed>32099100</pubmed></ref>(Rein et al., 2021)。 | 病態仮説の一つである神経回路の興奮/抑制バランスの破綻において、NPAS4が重要な役割を果たしている可能性が注目されている。NPAS4の機能異常とASD病態との関連、および治療標的としての可能性が探求されている<ref name=Rein2021><pubmed>32099100</pubmed></ref>(Rein et al., 2021)。 | ||
== 関連語 == | == 関連語 == | ||
• 転写因子(Transcription factor) | • 転写因子(Transcription factor) | ||