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=== '''パペッツの回路''' === | === '''パペッツの回路''' === | ||
感覚器官より入力された外界の情報は、脳において分析・統合され、情動体験へと結びつく。神経解剖学者のジェームス・パペッツ(James Papez)により提唱された「パペッツの回路」は、情動に関わる仮説として古くから知られる<ref>"""Papez, J. W."""<br>A proposed mechanism of emotion.<br>Archives of Neurology and Psychiatry, 38, 725-743.1937</pubmed></ref>。ここでは、視床をはじめとして、視床下部(hypothalamus)、海馬(hippocampus)、帯状皮質(cingulate | 感覚器官より入力された外界の情報は、脳において分析・統合され、情動体験へと結びつく。神経解剖学者のジェームス・パペッツ(James Papez)により提唱された「パペッツの回路」は、情動に関わる仮説として古くから知られる<ref>"""Papez, J. W."""<br>A proposed mechanism of emotion.<br>Archives of Neurology and Psychiatry, 38, 725-743.1937</pubmed></ref>。ここでは、視床をはじめとして、視床下部(hypothalamus)、海馬(hippocampus)、帯状皮質(cingulate cortex)により形成される神経回路が情動を生ずると考える。「パペッツの回路」が注目された後、げし類、霊長類に関する研究の積み重ねとともに、近年は、機能的核磁気共鳴装置(fMRI: Functional magnetic resonance imaging)や陽電子断層撮像法(PET: Positron emission tomography)等のヒトを対象とした神経イメージング法(Neuro-imaging)による成果を基に、扁桃体(amygdala)や島(insula)、腹内側前頭前野(ventro medial prefrontal cortex: VMPFC)などの脳領域と情動の関わりが注目されている。 | ||
=== <br>'''情動と扁桃体''' === | === <br>'''情動と扁桃体''' === | ||
知覚された刺激が生体にとって安全で報酬的あるか、あるいは脅威をもたらすものか否かを速やかに評価することは適応上欠かせない<ref>"""LeDoux, J. E."""<br>The emotional brain: the mysterious underpinnings of emotional life.<br>New York: Simon and Schuster.1996</pubmed></ref>。こうした感覚刺激に対する基本的な価値判断を行うのが、側頭葉内側部の上内側縁の左右に位置する扁桃体である。扁桃体は、異なる機能をもった複数の亜核(主には中心核、内側核、皮質核、基底核内側核、基底核外側)から構成され、情動的刺激を検出・評価するとともに、顔面神経と三叉神経を介した顔の表情筋の出力にも関わる。 | |||
==== <br>'''情動刺激の検出・評価''' ==== | ==== <br>'''情動刺激の検出・評価''' ==== | ||
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<references /> | <references /> | ||
7. Adolphs, R., Tranel, D., Damasio, H., & Damasio, A. (1994). Impaired recognition of emotion in facial expressions following bilateral damage to the human amygdala. Nature, 372, 669-672. | 7. Adolphs, R., Tranel, D., Damasio, H., & Damasio, A. (1994). Impaired recognition of emotion in facial expressions following bilateral damage to the human amygdala. Nature, 372, 669-672. |
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