「アルコール依存症」の版間の差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
編集の要約なし
111行目: 111行目:
   
   
==治療==
==治療==
 治療目標の設定は、断酒を原則とすることが通常である。米国APA(American Psychiatric Association)の治療ガイドラインによれば、断酒継続が最も長期間の良好なアウトカムを示すと記述されている。一方でコントロール使用を希望する患者が多くいるのも事実であるが、物質使用障害の患者がコントロール使用を選択するのは非現実的であり、治療者はアルコールを摂取し続けることの悪い結果を患者と共有し、長期間の断酒がもっともよい治療の選択肢であるという認識を共有していくべきであるとされている<ref>Practice guideline for the Treatment of Patients with Substance Use Disorders<br>Second Edition. 2006. US</ref>。
===断酒または節酒===
 治療目標の設定は、断酒を原則とすることが通常である。米国APA(American Psychiatric Association)の治療ガイドラインによれば、断酒継続が最も長期間の良好なアウトカムを示すと記述されている。一方でコントロール使用を希望する患者が多くいるのも事実であるが、物質使用障害の患者がコントロール使用を選択するのは非現実的であり、治療者はアルコールを摂取し続けることの悪い結果を患者と共有し、長期間の断酒がもっともよい治療の選択肢であるという認識を共有していくべきであるとされている<ref>'''American Psychiatric Association'''<br>Practice guideline for the Treatment of Patients with Substance Use Disorders<br>Second Edition. 2006. US [http://psychiatryonline.org/pb/assets/raw/sitewide/practice_guidelines/guidelines/substanceuse.pdf PDF]</ref>。


 また、英国国立医療技術評価機構NICE(National institute for Health and Care Excellence)の治療ガイドラインでは、アルコール依存、または何らかの精神的あるいは身体的合併症のあるアルコール使用障害には断酒をすすめるべきであるとされている。患者が節酒を望む場合には断酒が最も適切な目標であることを強くすすめる。しかし、断酒をゴールとしないからと言って治療を拒んではならない。断酒を目標に考えていない患者には、ひとまず<u>ハームリダクション(編集部コメント:日本語でお願いできればと思います</u>)の考えに基づき、飲酒によって被る害を減らすことに注目したケアを行ってもよい。しかし、それは断酒を見据えてのものでなければならないとされている<ref>Alcohol Use Disorders<br>Diagnosis and Assessment and Management of Harmful Drinking and Alcohol Dependence<br>2011.UK</ref>。
 また、英国国立医療技術評価機構NICE(National institute for Health and Care Excellence)の治療ガイドラインでは、アルコール依存、または何らかの精神的あるいは身体的合併症のあるアルコール使用障害には断酒をすすめるべきであるとされている。患者が節酒を望む場合には断酒が最も適切な目標であることを強くすすめる。しかし、断酒をゴールとしないからと言って治療を拒んではならない。断酒を目標に考えていない患者には、ひとまず<u>ハームリダクション(編集部コメント:日本語でお願いできればと思います</u>)の考えに基づき、飲酒によって被る害を減らすことに注目したケアを行ってもよい。しかし、それは断酒を見据えてのものでなければならないとされている<ref>Alcohol Use Disorders<br>Diagnosis and Assessment and Management of Harmful Drinking and Alcohol Dependence<br>2011.UK</ref>。


=== 離脱症状のコントロール ===
 アルコールの[[離脱症状]]が出現している場合、まずは離脱症状のコントロールが重要となる。離脱症状の全てに対して[[ベンゾジアゼピン]]系薬剤(benzodiazepines)の使用が推奨されている。[[離脱]]期における[[振戦]]、[[wj:頻脈|頻脈]]、[[wj:血圧|血圧]]上昇、[[wj:発汗|発汗]]などの[[自律神経]]症状、アルコール離脱[[けいれん]]や[[せん妄]]に対してもアルコールと[[交差耐性]]、交差依存をもつベンゾジアゼピン系薬剤の投与が推奨されている。こうしたベンゾジアゼピン系薬剤の使用によって、アルコール離脱の症状の軽減のほか、致死率の低下、出現時間の短縮、興奮状態の鎮静に要する時間の短縮、せん妄のコントロールが適切にできるとしている<ref><pubmed>9214531</pubmed></ref>。
 アルコールの[[離脱症状]]が出現している場合、まずは離脱症状のコントロールが重要となる。離脱症状の全てに対して[[ベンゾジアゼピン]]系薬剤(benzodiazepines)の使用が推奨されている。[[離脱]]期における[[振戦]]、[[wj:頻脈|頻脈]]、[[wj:血圧|血圧]]上昇、[[wj:発汗|発汗]]などの[[自律神経]]症状、アルコール離脱[[けいれん]]や[[せん妄]]に対してもアルコールと[[交差耐性]]、交差依存をもつベンゾジアゼピン系薬剤の投与が推奨されている。こうしたベンゾジアゼピン系薬剤の使用によって、アルコール離脱の症状の軽減のほか、致死率の低下、出現時間の短縮、興奮状態の鎮静に要する時間の短縮、せん妄のコントロールが適切にできるとしている<ref><pubmed>9214531</pubmed></ref>。


案内メニュー