「Aδ線維とC線維」の版間の差分

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<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0011140 水村 和枝]</font><br>
<font size="+1">[http://researchmap.jp/read0011140 水村 和枝]</font><br>
''中部大学 生命健康科学部 理学療法学科 医療技術実習センター''<br>
''中部大学 生命健康科学部 理学療法学科 医療技術実習センター''<br>
DOI XXXX/XXXX 原稿受付日:2013年3月21日 原稿完成日:2013年月日<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2013年3月21日 原稿完成日:2018年2月21日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/noritakaichinohe 一戸 紀孝](国立精神・神経医療研究センター 神経研究所)<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/noritakaichinohe 一戸 紀孝](国立精神・神経医療研究センター 神経研究所)<br>
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|+'''表1.神経線維の分類'''<ref name="ref1">'''Eric R. Kandel et al.'''<br>Principles of neural science fifth edition 475-480</ref>  
|+'''表1.神経線維の分類'''<ref name="Kandel">'''Eric R. Kandel et al.'''<br>Principles of neural science fifth edition 475-480</ref>  
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 感覚性の細い[[有髄神経]]であり、筋からの求心性感覚神経線維についてはIII群線維ともいう<ref name="ref1"><pubmed>18865009</pubmed></ref>。  
 感覚性の細い[[有髄神経]]であり、筋からの求心性感覚神経線維についてはIII群線維ともいう<ref name="ref1"><pubmed>18865009</pubmed></ref>。  


 伝導速度は大型の動物では2.5-3 m/sから25-30 m/s、[[wikipedia:ja:ラット|ラット]]では1.3-2m/sから12-20 m/s<ref name="ref2"><pubmed>1770443</pubmed></ref><ref name="ref3"><pubmed>1770437</pubmed></ref>である。
 伝導速度は大型の動物では2.5-3 m/sから25-30 m/s、[[wj:ラット|ラット]]では1.3-2m/sから12-20 m/s<ref name="ref2"><pubmed>1770443</pubmed></ref><ref name="ref3"><pubmed>1770437</pubmed></ref>である。


=== C線維  ===
=== C線維  ===
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=== 感覚受容  ===
=== 感覚受容  ===


 感覚受容器は種々の[[wikipedia:ja:エネルギー|エネルギー]]([[wikipedia:ja:熱エネルギー|熱エネルギー]]、[[wikipedia:ja:機械エネルギー|機械エネルギー]]、[[wikipedia:ja:化学エネルギー|化学エネルギー]])を電気的な神経の信号([[脱分極]])、さらには[[活動電位]])に変換して、情報を[[中枢神経]]に送る。  
 感覚受容器は種々の[[wj:エネルギー|エネルギー]]([[wj:熱エネルギー|熱エネルギー]]、[[wj:機械エネルギー|機械エネルギー]]、[[wj:化学エネルギー|化学エネルギー]])を電気的な神経の信号([[脱分極]])、さらには[[活動電位]])に変換して、情報を[[中枢神経]]に送る。  


 Aδ線維終末には[[痛み]]および[[冷感覚]]情報を伝える感覚受容器(それぞれ[[侵害受容器]]、[[冷受容器]])がある。ただし、ラットでは冷受容器は主として後述のC線維である。 C線維は痛み感覚を伝えていると一般には考えられているが、痛み感覚ばかりではなく、[[痒み]]感覚、快感を起こすような(sensual)[[触感覚]]、[[温感覚]](ラットでは冷感覚も)も伝えている。Aδ線維の受容器もC線維の受容器も感覚終末は特別な小体構造を造らない[[自由神経終末]]である。
 Aδ線維終末には[[痛み]]および[[冷感覚]]情報を伝える感覚受容器(それぞれ[[侵害受容器]]、[[冷受容器]])がある。ただし、ラットでは冷受容器は主として後述のC線維である。 C線維は痛み感覚を伝えていると一般には考えられているが、痛み感覚ばかりではなく、[[痒み]]感覚、快感を起こすような(sensual)[[触感覚]]、[[温感覚]](ラットでは冷感覚も)も伝えている。Aδ線維の受容器もC線維の受容器も感覚終末は特別な小体構造を造らない[[自由神経終末]]である。つまり、それら終末はそれぞれそれらの受容器(それぞれ侵害受容器、[[C線維低閾値機械受容器]]、[[温受容器]])となっている。侵害受容器には熱にも機械刺激にも反応する[[侵害受容器|ポリモーダル(侵害)受容器]]、機械刺激にのみ反応する[[機械侵害受容器]]、機械刺激に反応せず熱刺激にのみ反応する[[熱侵害受容器]]、正常な組織では活動しておらず炎症時などで活動する[[非活動性侵害受容器]]等がある、後者の2つはC線維のみに存在する('''表2''')。痒み感覚の受容器には、[[ポリモーダルタイプ]](痒み物質のもならず機械刺激、熱刺激にも反応する)のものと、痒み物質にのみ特異的に反応する[[化学受容器]]タイプとがある。  
 
 つまり、それら終末(この文脈ではC線維の終末でしょうか、それとも、Aδ線維とC線維両方でしょうか両方です)はそれぞれそれらの受容器(それぞれ侵害受容器、[[C線維低閾値機械受容器]]、[[温受容器]])となっている。侵害受容器には熱にも機械刺激にも反応する[[侵害受容器|ポリモーダル(侵害)受容器]]、機械刺激にのみ反応する[[機械侵害受容器]]、機械刺激に反応せず熱刺激にのみ反応する[[熱侵害受容器]]、正常な組織では活動しておらず炎症時などで活動する[[非活動性侵害受容器]]等がある、後者の2つはC線維のみに存在する(表2)。痒み感覚の受容器には、[[ポリモーダルタイプ]](痒み物質のもならず機械刺激、熱刺激にも反応する)のものと、痒み物質にのみ特異的に反応する[[化学受容器]]タイプとがある。  


 侵害受容にはAδ線維のものとC線維のものとがあるが、それらが引き起こす感覚には違いがある。Aδ線維による痛みは、鋭く、識別性、局在性がよく、同じ部位の刺激では最初に(速く)感じられるので「[[速い痛み]]」または「[[一次痛]]」といわれる。逃避反射を引き起こす求心神経であると考えられている。  
 侵害受容にはAδ線維のものとC線維のものとがあるが、それらが引き起こす感覚には違いがある。Aδ線維による痛みは、鋭く、識別性、局在性がよく、同じ部位の刺激では最初に(速く)感じられるので「[[速い痛み]]」または「[[一次痛]]」といわれる。逃避反射を引き起こす求心神経であると考えられている。  
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 熱を電気的な変化に変換するものとして[[TRPV1]]、[[TRPV2|V2]]、[[TRPV3|V3]]、[[TRPV4|V4]]が、冷却を電気的変化に変換するものとして[[TRPM8]]が見出された。機械エネルギーのトランスジューサーとしては、[[Piezo1]]、[[Piezo2|2]]という分子が見い出され注目を浴びている。
 熱を電気的な変化に変換するものとして[[TRPV1]]、[[TRPV2|V2]]、[[TRPV3|V3]]、[[TRPV4|V4]]が、冷却を電気的変化に変換するものとして[[TRPM8]]が見出された。機械エネルギーのトランスジューサーとしては、[[Piezo1]]、[[Piezo2|2]]という分子が見い出され注目を浴びている。
  Piezo2は後根神経節細胞や三叉神経節における発現があり、触覚(Merkel細胞やMeissner細胞)と 筋紡錘の 機械受容変換に必須であることが明らかにされた。しかし皮膚侵害受容器の機械受容変換への関与は否定的である。  
 
  Piezo2は[[後根神経節]]細胞や[[三叉神経節]]における発現があり、触覚([[Merkel細胞]]や[[Meissner細胞]])と 筋紡錘の 機械受容変換に必須であることが明らかにされた。しかし皮膚侵害受容器の機械受容変換への関与は否定的である。


==== 化学受容  ====
==== 化学受容  ====

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