16,039
回編集
細編集の要約なし |
細 (→治療) |
||
76行目: | 76行目: | ||
限局性恐怖症では、恐怖の対象や状況を回避することで苦痛を緩和できるため治療を受ける患者の割合は少ないが、回避できない場合等に治療が求められる。心理療法(精神療法)としては認知行動療法が用いられる。中でも、曝露療法、または脱感作が、古くから用いられている。曝露療法は、患者が自らの意思で段階的に恐怖刺激に直面し、その間の不安感の減少を自覚し、恐怖刺激への接触を自信が持てる成功体験として学習することを反復練習し、恐怖刺激への馴化(慣れ)を生じさせていくものである。ごくまれに、恐怖刺激への曝露を、1回のセッションで長時間集中的に実施する方法も用いられる<ref name=Ost1989><pubmed>2914000</pubmed></ref><ref name=Öst1987>Öst, L.-G. (1987). One-session Treatments for a Case of Multiple Simple Phobias. Scandinavian Journal of Behaviour Therapy, 16(4), 175-184. [https://doi.org/10.1080/16506078709455800|[PDF]]</ref>17,18。またバーチャルリアリティ(仮想現実)技術を利用した曝露療法も行われている<ref name=Rothbaum1995><pubmed>7694917</pubmed></ref>19が、その長期的な有効性の評価はあまり行われていない。 | 限局性恐怖症では、恐怖の対象や状況を回避することで苦痛を緩和できるため治療を受ける患者の割合は少ないが、回避できない場合等に治療が求められる。心理療法(精神療法)としては認知行動療法が用いられる。中でも、曝露療法、または脱感作が、古くから用いられている。曝露療法は、患者が自らの意思で段階的に恐怖刺激に直面し、その間の不安感の減少を自覚し、恐怖刺激への接触を自信が持てる成功体験として学習することを反復練習し、恐怖刺激への馴化(慣れ)を生じさせていくものである。ごくまれに、恐怖刺激への曝露を、1回のセッションで長時間集中的に実施する方法も用いられる<ref name=Ost1989><pubmed>2914000</pubmed></ref><ref name=Öst1987>Öst, L.-G. (1987). One-session Treatments for a Case of Multiple Simple Phobias. Scandinavian Journal of Behaviour Therapy, 16(4), 175-184. [https://doi.org/10.1080/16506078709455800|[PDF]]</ref>17,18。またバーチャルリアリティ(仮想現実)技術を利用した曝露療法も行われている<ref name=Rothbaum1995><pubmed>7694917</pubmed></ref>19が、その長期的な有効性の評価はあまり行われていない。 | ||
薬物療法は、通常推奨されることはない。が、医師の判断によっては、強い不安に対して、短期間に限って選択的セロトニン受容体再取り込み阻害薬(SSRI)やベンゾジアゼピン系抗不安薬が処方されることがある<ref name=松永寿人2016>松永寿人. (2016). 特定の恐怖症(限局性恐怖症). In 今日の精神疾患治療指針 第2版(電子版). 医学書院.</ref>16。 | 薬物療法は、通常推奨されることはない。が、医師の判断によっては、強い不安に対して、短期間に限って選択的セロトニン受容体再取り込み阻害薬(SSRI)やベンゾジアゼピン系抗不安薬が処方されることがある<ref name=松永寿人2016>'''松永寿人. (2016).'''<br>特定の恐怖症(限局性恐怖症). In 今日の精神疾患治療指針 第2版(電子版). 医学書院.</ref>16。 | ||
== 曝露療法の増強薬の研究 == | == 曝露療法の増強薬の研究 == |