「むずむず脚症候群」の版間の差分

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 これに比べて日本国内で適応を得ているガバペンチンエナカルビルの量は600㎎とかなり低い(もちろんプレガバリンと等力価ではないが)ので、ドパミン作動薬に比べると有効性は低い。われわれが国内のプラセボ対照二重盲検比較試験データを結合して、ガバペンチンエナカルビルの有効例の特性を検討した研究では、家族歴があること、血清フェリチン値が正常であること、先行するドパミン作動薬による治療歴が存在することが本剤の有効性と関連していた<ref name=Inoue2021><pubmed>34329897</pubmed></ref> 50)。しかしながら、効果が若干劣るというデメリットを抱えながらも、オーグメンテーションリスクが決定的に低いことから、全世界的には治療の第一ラインを&alpha;2&delta;リガンドにするという流れが出来つつある<ref name=Garcia-Borreguero2018><pubmed>29602660</pubmed></ref> 51)。
 これに比べて日本国内で適応を得ているガバペンチンエナカルビルの量は600㎎とかなり低い(もちろんプレガバリンと等力価ではないが)ので、ドパミン作動薬に比べると有効性は低い。われわれが国内のプラセボ対照二重盲検比較試験データを結合して、ガバペンチンエナカルビルの有効例の特性を検討した研究では、家族歴があること、血清フェリチン値が正常であること、先行するドパミン作動薬による治療歴が存在することが本剤の有効性と関連していた<ref name=Inoue2021><pubmed>34329897</pubmed></ref> 50)。しかしながら、効果が若干劣るというデメリットを抱えながらも、オーグメンテーションリスクが決定的に低いことから、全世界的には治療の第一ラインを&alpha;2&delta;リガンドにするという流れが出来つつある<ref name=Garcia-Borreguero2018><pubmed>29602660</pubmed></ref> 51)。


===その他===
 オーグメンテーションを避ける上では、血清フェリチン値を定期的に測定し、50-75μg/l以上を保つことが必要である。ドパミン作動薬使用下でオーグメンテーションが生じた場合には、分割投与や投与時刻の前進、&alpha;2&delta;リガンドの投与を考慮する。International restless legs syndrome study group (IRLSSG)の治療アルゴリズム52) <ref name=Garcia-Borreguero2016><pubmed>27448465</pubmed></ref>('''図4''')では、オーグメンテーション重症例では、ドパミン系薬剤の休薬(10日間程度)、ロチゴチン、&alpha;2&delta;リガンド、[[オピオイド]]製剤(わが国では保険適応外)などを検討すべきとされている。
 オーグメンテーションを避ける上では、血清フェリチン値を定期的に測定し、50-75μg/l以上を保つことが必要である。ドパミン作動薬使用下でオーグメンテーションが生じた場合には、分割投与や投与時刻の前進、&alpha;2&delta;リガンドの投与を考慮する。International restless legs syndrome study group (IRLSSG)の治療アルゴリズム52) <ref name=Garcia-Borreguero2016><pubmed>27448465</pubmed></ref>('''図4''')では、オーグメンテーション重症例では、ドパミン系薬剤の休薬(10日間程度)、ロチゴチン、&alpha;2&delta;リガンド、[[オピオイド]]製剤(わが国では保険適応外)などを検討すべきとされている。


===その他===
 むずむず脚症候群治療研究においては、より有効性と安全性の高い薬剤が模索されている。その中では、鉄剤投与が、血清[[フェリチン]]値が正常であっても有効な可能性が示唆されているが53),54) <ref name=Allen2018><pubmed>29425576</pubmed></ref><ref name=Trotti2019><pubmed>30609006</pubmed></ref> 、まだその効果がドパミン作動薬に比肩しうる水準なのか、日中機能や睡眠の質を改善しうるか、投与のタイミングをどうすべきか、など明らかにすべき課題は多い。また、[[ベンゾジアゼピン]]製剤である[[クロナゼパム]]は、全世界的にむずむず脚症候群に対して長年オフラベル使用されてきたが、その効果と位置づけは不明瞭で、多剤ないし[[プラセボ]]を対照とした[[盲検比較試験]]を含めた系統的な研究が必要であろう。
 むずむず脚症候群治療研究においては、より有効性と安全性の高い薬剤が模索されている。その中では、鉄剤投与が、血清[[フェリチン]]値が正常であっても有効な可能性が示唆されているが53),54) <ref name=Allen2018><pubmed>29425576</pubmed></ref><ref name=Trotti2019><pubmed>30609006</pubmed></ref> 、まだその効果がドパミン作動薬に比肩しうる水準なのか、日中機能や睡眠の質を改善しうるか、投与のタイミングをどうすべきか、など明らかにすべき課題は多い。また、[[ベンゾジアゼピン]]製剤である[[クロナゼパム]]は、全世界的にむずむず脚症候群に対して長年オフラベル使用されてきたが、その効果と位置づけは不明瞭で、多剤ないし[[プラセボ]]を対照とした[[盲検比較試験]]を含めた系統的な研究が必要であろう。


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