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英語名:basket cell 独:Korbzelle 仏:cellule à corbeille
<font size="+1">大塚 岳、[http://researchmap.jp/yasuokawaguchi 川口 泰雄]</font><br>
''自然科学研究機構生理学研究所 大脳神経回路論研究部門''<br>
DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2012年6月6日 原稿完成日:2014年11月2日<br>
担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0080380 上口 裕之](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br>
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英語名:basket cell 独:Korbzelle 仏:cellule à corbeille
同義語:籠細胞


同義語:籠細胞
== 定義  ==
 
 バスケット細胞とは、脳領域の[[海馬]]や[[大脳皮質]]、[[小脳]]の[[分子層]]にある[[GABA]]作動性[[介在細胞]]である。元々は[[wikipedia:ja:ネコ|ネコ]]や[[wikipedia:ja:サル|サル]]の皮質細胞で、[[軸索]]が標的細胞の[[細胞体]]をバスケット状に囲むことからバスケット細胞と命名された<ref name="ref1">'''Ramón y Cajal S'''<br>Histologie du Système Nerveux de l’Homme et des Vertébrés. <br>Tome II. Maloine, Paris, 1911, P997</ref>。同様な細胞は[[wikipedia:ja:ラット|ラット]]などでは見出し難かったが、軸索のブトンの多くが(15-40%)標的細胞の細胞体と[[樹状突起]]基部に存在するものをバスケット細胞とした。大脳皮質や海馬では[[錐体細胞]]、小脳においては[[プルキンエ細胞]]に[[シナプス]]を主に形成する。バスケット細胞の樹状突起は、多極で複雑に広がっている。大脳皮質や海馬では、[[カルシウム]]結合タンパク質である[[パルブアルブミン]](parvalbumin)や、[[コレシストキニン]](cholecystokinin;CCK)を発現している。
 
== 大脳皮質や海馬のバスケット細胞 ==
 
 大脳皮質では、一層を除く全ての層にバスケット細胞があり、大脳皮質の主な抑制性[[介在細胞]]タイプである。
 
 海馬では(細胞分布を御願い致します。)
 
=== 形態的分類  ===
 
 大脳皮質のバスケット細胞は、large basket細胞とsmall basket細胞に大きく分類される。(Nested, descendingは?)(以下は海馬も当てはまるのでしょうか?)
 
==== Large basket 細胞 ====
 
 Large basket 細胞の細胞体は、直径20-30μm程度の大きさがあり、[[棘突起]](spine)があまり見られない樹状突起が多極に広がっている。軸索は、水平・垂直方向に~1000μm程度まで広がっている。ラットの大脳皮質においては、約50%はパルブアルブミン(PV)のmRNAを発現している。
 
==== Small basket細胞 ====
 
 Small basket細胞は、直径が~20μm程度の小さな細胞体を持ち、棘突起があまり見られない樹状突起が多極に広がっている。軸索の走行は局所的に密度が高く、大脳皮質では一つの層に限局される。large basket細胞とは異なり、軸索の走行は水平方向には300μm程度に留まる。Small basket細胞は、5%程度しかパルブアルブミンを発現しておらず、70%程度の細胞でコレシストキニンを発現している。
 
==== Nest basket細胞 ====
 
 Small basketのように局所的に密度が高い軸索走行と長距離を走行する軸索の両方を持つnest basket細胞<ref name="ref2"><pubmed>11884355</pubmed></ref>も報告されている。Nest basket細胞も約50%はパルブアルブミン(PV)のmRNAを発現している。
 
====Descending basket細胞 ====
 
 下降性の軸索を持つdescending basket細胞という細胞も報告されている。この細胞は[[血管作動性腸管ペプチド]](VIP; vasoactive intestinal polypeptide)や[[副腎皮質刺激ホルモン放出因子]](CRF; corticotropin releasing factor)を発現している<ref name="ref3"><pubmed>15044524</pubmed></ref>。


{{box|text=
===電気生理学的分類===
 バスケット細胞とは、海馬、大脳皮質、小脳皮質にあるGABA作動性介在細胞である。元々はネコやサルの大脳皮質で見つかり、軸索が標的細胞の細胞体をバスケット状に取り囲むことからバスケット細胞と命名された<ref name="ref1">'''Ramón y Cajal S'''<br>Histologie du Système Nerveux de l’Homme et des Vertébrés. <br>Tome II. Maloine, Paris, 1911, P997</ref>。ラットなどの齧歯類の脳では、バスケット状の軸索を持つ同様の神経細胞は見出せなかった。軸索の神経終末の多くが(15 - 40%)標的細胞の細胞体と樹状突起基部に存在するものをバスケット細胞とした。大脳皮質や海馬では錐体細胞、小脳においてはプルキンエ細胞にシナプスを主に形成する。バスケット細胞の樹状突起は、多極で複雑に広がっている。大脳皮質や海馬では、カルシウム結合タンパク質であるパルブアルブミンや、神経ペプチドの一種のコレシストキニンを発現している。
 様々な発火特性を示す細胞が見られるが、最も多く見られるのはfast-spiking型である<ref name="ref5"><pubmed>8395585</pubmed></ref>。他に、late-spiking型やnon-FS型の発火特性を示す細胞もある。
}}


== 大脳皮質や海馬のバスケット細胞  ==
 バスケット細胞は錐体細胞の細胞体や樹状突起基部にシナプスを形成することから、錐体細胞の同期性や周期的な発火活動を制御していると考えられる。しかし、パルブアルブミン(PV)を発現しているfast-spiking型バスケット細胞とコレシストキニン(CCK)を発現しているバスケット細胞の神経終末では、[[カナビノイド]]などによって伝達物質の放出は異なる制御を受けていることが知られている<ref name="ref7"><pubmed>17920013</pubmed></ref>。従って、バスケット細胞サブタイプ間で錐体細胞の活動制御様式が異なることが考えられる。
=== 大脳皮質  ===
[[Image:バスケット細胞1.jpg|thumb|300px|'''図1.大脳皮質のバスケット細胞'''<br>LBC,ラージバスケット、SBC,スモールバスケット、FS-BC, Fast-spiking型バスケット細胞。黒,樹状突起、赤,軸索。(生理学研究所・大脳神経回路論研究部門)。]]
 大脳皮質のバスケット細胞は、[[大型バスケット細胞]]と[[小型バスケット細胞]]に大きく分類される(図1)。


==== 大型バスケット細胞====
====Fast-spiking型====
 [[大型バスケット細胞]]の細胞体は、直径20-30 μm程度の大きさがあり、[[棘突起]](spine)があまり見られない樹状突起が多極に広がっている。軸索は、水平・垂直方向に~1000μm程度まで広がっている。


==== 小型バスケット細胞====
 バスケット細胞の多くはFast-spiking型であり<ref name="ref5"><pubmed>8395585</pubmed></ref>、fast-spiking型バスケット細胞はお互いに化学シナプスだけでなく[[ギャップジャンクション]]([[電気シナプス]])を介して電気的に結合している<ref name="ref6"><pubmed>15927686</pubmed></ref>。
 小型バスケット細胞は、直径が~20 μm程度の小さな細胞体を持ち、棘突起があまり見られない樹状突起が多極に広がっている。軸索の走行は局所的に密度が高く、大脳皮質では一つの層に限局される。大型バスケット細胞とは異なり、軸索の走行は水平方向には300 μm程度に留まる。
 パルブアルブミン(PV)を発現しているバスケット細胞は、Fast-spiking型である。


 また、最近では小型バスケット細胞のように局所的に密度が高い軸索走行と長距離を走行する軸索の両方を持つ[[ネストバスケット細胞]]<ref name="ref2"><pubmed>11884355</pubmed></ref>を加えて3種類に分類されこともある。
====Non-FS型====
=== 海馬  ===
 海馬の歯状回にあるバスケット細胞は、樹状突起の走行や細胞体の形状から


# [[錐体バスケット細胞]]
 Non-FS型のバスケット細胞では、large basketはCCKを発現していることが多く、small basketはVIP/CCK/CRFなどを発現していることが多い<ref name="ref3"><pubmed>15044524</pubmed></ref>。
# [[紡錘状バスケット細胞|fusiform(紡錘状)バスケット細胞]]
# [[水平バスケット細胞]]
# [[Inverted fusiformバスケット細胞]]
# [[分子層バスケット細胞|molecular layer(分子層)バスケット細胞]]


の少なくとも5種類の細胞タイプに分類することができる<ref name="ref3"><pubmed>6619905</pubmed></ref>。
====Late-spiking型====


=== 化学物質の発現  ===
 他に、late-spiking型発火特性を示す細胞もある。(もし必要であれば記述を御続け下さい)
[[Image:バスケット細胞2.jpg|thumb|200px|'''図2.大脳皮質のdescendingバスケット細胞'''<br>
<ref name=ref4 />より抜粋。]]
 [[wj:ラット|ラット]]の大脳皮質においては、大型バスケット細胞やネストバスケット細胞の約50%はパルブアルブミン(parvalbumin)の[[mRNA]]を発現している。しかし、小型バスケット細胞は、5%程度しかパルブアルブミンを発現しておらず、70%程度の細胞でコレシストキニン(cholecystokinin)を発現している<ref name="ref2" />。また、下降性の軸索を持つdescending basket細胞という細胞も報告されているが(図2)、この細胞は[[血管作動性腸管ペプチド]] ([[vasoactive intestinal polypeptide]], [[VIP]])や[[副腎皮質刺激ホルモン放出因子]] ([[corticotropin releasing factor]], [[CRF]])を発現している<ref name="ref4"><pubmed>15044524</pubmed></ref>。


 海馬においてもバスケット細胞は、パルブアルブミンやコレシストキニンを発現している。
== 小脳  ==
=== 発火特性  ===
[[Image:バスケット細胞3.jpg|thumb|300px|'''図3.大脳皮質のfast-spiking細胞の電流注入による発火応答'''<br>(生理学研究所・大脳神経回路論研究部門)。]]
 パルブアルブミン(PV)を発現しているバスケット細胞は、fast-spiking型である(図3)。大脳皮質や海馬のバスケット細胞では様々な発火特性を示す細胞が見られるが、最も多く見られるのはfast-spiking型である<ref name="ref5"><pubmed>8395585</pubmed></ref>。他に、late-spiking型やnon-FS型の発火特性を示す細胞もある。non-FS型のバスケット細胞では、大型バスケット細胞はCCKを発現していることが多く、小型バスケット細胞はVIP/CCK/CRFなどを発現していることが多い<ref name="ref3" />。
=== 機能  ===
 大脳皮質では第1層を除く全ての層にバスケット細胞があり、皮質の主要な抑制性介在細胞タイプである。海馬のバスケット細胞は、[[歯状回]]では[[顆粒細胞層]]と[[歯状回門]]の境界付近に、CA1では[[錐体細胞層]]やその近傍に多く見られる。Fast-spiking型バスケット細胞はお互いに[[化学シナプス]]だけでなく[[ギャップジャンクション]]([[電気シナプス]])を介して電気的に結合している<ref name="ref6"><pubmed>15927686</pubmed></ref>。バスケット細胞は錐体細胞の細胞体や樹状突起基部にシナプスを形成することから、錐体細胞に同期的・周期的な発火活動を引き起こすと考えられている。一方、パルブアルブミンを発現するfast-spiking型バスケット細胞とコレシストキニンを発現するバスケット細胞では、その神経終末の[[カナビノイド]]などによる伝達物質放出の調節が異なることが知られている<ref name="ref7"><pubmed>17920013</pubmed></ref>。従って、バスケット細胞サブタイプ間で錐体細胞の活動制御様式が分化していると考えられる。
== 小脳 ==
=== 形態学的特徴 ===
[[Image:バスケット細胞4.jpg|thumb|300px|'''図4.小脳バスケット細胞の樹状突起と軸索の形態'''<br>ML,分子層、PK,プルキンエ細胞(点線)、GrL, 顆粒層。矢印、プルキンエ細胞をバスケット状にとりまいている軸索の側枝。スケールバー:100 μm。<ref><pubmed>2723768</pubmed></ref>より抜粋。]]
 小脳のバスケット細胞は、カルシウム結合タンパク質であるパルブアルブミンを発現している<ref name="ref8"><pubmed>14964684</pubmed></ref>。バスケット細胞は[[小脳]][[分子層]]の[[プルキンエ細胞]]層に近いところに多く見られる。これらは、[[平行線維]]から興奮性入力を受けプルキンエ細胞の細胞体に抑制性シナプスを形成する。小脳バスケット細胞の特徴は、その軸索走行パタンにある。その軸索は、プルキンエ細胞の直上を小葉を超えて長く走行する。その途中で垂直に下降する側枝を出し、プルキンエ細胞の細胞体をとりまくようにシナプスを形成する(図4)。


=== 機能  ===
 バスケット細胞は小脳の[[分子層]]にあり、プルキンエ細胞層に近い側に細胞体が位置している。[[平行線維]]から興奮性の入力を受けプルキンエ細胞にシナプスを形成してプルキンエ細胞を抑制している。小脳におけるバスケット細胞の特色は、軸索の走行パタンにある。小脳バスケット細胞の軸索は、プルキンエ細胞のすぐ上を小葉を超えて長い距離を走行する。また、垂直に下降する側枝を出し、プルキンエ細胞の細胞体をとりまいてシナプス結合を形成する。小脳のバスケット細胞は、パルブアルブミン(PV)を発現している。
[[Image:バスケット細胞5.png|thumb|300px|'''図5.小脳の回路図'''<br>PC; プルキンエ細胞、BC; バスケット細胞、pf; 平行線維、cf; 登状線維。]]  
 小脳の出力細胞であるプルキンエ細胞は、平行線維と[[登上線維]]から興奮性シナプス入力を受ける。バスケット細胞は平行線維からの興奮性入力を受け、プルキンエ細胞に[[フィードフォワード抑制]]をかける(図5)。プルキンエ細胞は平行線維からの樹状突起興奮に続き、細胞体ではバスケット細胞からの抑制を受ける。従って、小脳バスケット細胞はプルキンエ細胞の発火タイミングを決めるのに重要な役割をしていると考えられる<ref name="ref9"><pubmed>15613376</pubmed></ref>。


== 参考文献  ==
== 参考文献  ==


<references />
<references />  
 
(執筆者:大塚 岳、川口泰雄 担当編集委員:渡辺 大)

2012年6月13日 (水) 00:29時点における版

英語名:basket cell 独:Korbzelle 仏:cellule à corbeille

同義語:籠細胞

定義

 バスケット細胞とは、脳領域の海馬大脳皮質小脳分子層にあるGABA作動性介在細胞である。元々はネコサルの皮質細胞で、軸索が標的細胞の細胞体をバスケット状に囲むことからバスケット細胞と命名された[1]。同様な細胞はラットなどでは見出し難かったが、軸索のブトンの多くが(15-40%)標的細胞の細胞体と樹状突起基部に存在するものをバスケット細胞とした。大脳皮質や海馬では錐体細胞、小脳においてはプルキンエ細胞シナプスを主に形成する。バスケット細胞の樹状突起は、多極で複雑に広がっている。大脳皮質や海馬では、カルシウム結合タンパク質であるパルブアルブミン(parvalbumin)や、コレシストキニン(cholecystokinin;CCK)を発現している。

大脳皮質や海馬のバスケット細胞

 大脳皮質では、一層を除く全ての層にバスケット細胞があり、大脳皮質の主な抑制性介在細胞タイプである。

 海馬では(細胞分布を御願い致します。)

形態的分類

 大脳皮質のバスケット細胞は、large basket細胞とsmall basket細胞に大きく分類される。(Nested, descendingは?)(以下は海馬も当てはまるのでしょうか?)

Large basket 細胞

 Large basket 細胞の細胞体は、直径20-30μm程度の大きさがあり、棘突起(spine)があまり見られない樹状突起が多極に広がっている。軸索は、水平・垂直方向に~1000μm程度まで広がっている。ラットの大脳皮質においては、約50%はパルブアルブミン(PV)のmRNAを発現している。

Small basket細胞

 Small basket細胞は、直径が~20μm程度の小さな細胞体を持ち、棘突起があまり見られない樹状突起が多極に広がっている。軸索の走行は局所的に密度が高く、大脳皮質では一つの層に限局される。large basket細胞とは異なり、軸索の走行は水平方向には300μm程度に留まる。Small basket細胞は、5%程度しかパルブアルブミンを発現しておらず、70%程度の細胞でコレシストキニンを発現している。

Nest basket細胞

 Small basketのように局所的に密度が高い軸索走行と長距離を走行する軸索の両方を持つnest basket細胞[2]も報告されている。Nest basket細胞も約50%はパルブアルブミン(PV)のmRNAを発現している。

Descending basket細胞

 下降性の軸索を持つdescending basket細胞という細胞も報告されている。この細胞は血管作動性腸管ペプチド(VIP; vasoactive intestinal polypeptide)や副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF; corticotropin releasing factor)を発現している[3]

電気生理学的分類

 様々な発火特性を示す細胞が見られるが、最も多く見られるのはfast-spiking型である[4]。他に、late-spiking型やnon-FS型の発火特性を示す細胞もある。

 バスケット細胞は錐体細胞の細胞体や樹状突起基部にシナプスを形成することから、錐体細胞の同期性や周期的な発火活動を制御していると考えられる。しかし、パルブアルブミン(PV)を発現しているfast-spiking型バスケット細胞とコレシストキニン(CCK)を発現しているバスケット細胞の神経終末では、カナビノイドなどによって伝達物質の放出は異なる制御を受けていることが知られている[5]。従って、バスケット細胞サブタイプ間で錐体細胞の活動制御様式が異なることが考えられる。

Fast-spiking型

 バスケット細胞の多くはFast-spiking型であり[4]、fast-spiking型バスケット細胞はお互いに化学シナプスだけでなくギャップジャンクション電気シナプス)を介して電気的に結合している[6]。  パルブアルブミン(PV)を発現しているバスケット細胞は、Fast-spiking型である。

Non-FS型

 Non-FS型のバスケット細胞では、large basketはCCKを発現していることが多く、small basketはVIP/CCK/CRFなどを発現していることが多い[3]

Late-spiking型

 他に、late-spiking型発火特性を示す細胞もある。(もし必要であれば記述を御続け下さい)

小脳

 バスケット細胞は小脳の分子層にあり、プルキンエ細胞層に近い側に細胞体が位置している。平行線維から興奮性の入力を受けプルキンエ細胞にシナプスを形成してプルキンエ細胞を抑制している。小脳におけるバスケット細胞の特色は、軸索の走行パタンにある。小脳バスケット細胞の軸索は、プルキンエ細胞のすぐ上を小葉を超えて長い距離を走行する。また、垂直に下降する側枝を出し、プルキンエ細胞の細胞体をとりまいてシナプス結合を形成する。小脳のバスケット細胞は、パルブアルブミン(PV)を発現している。

参考文献

  1. Ramón y Cajal S
    Histologie du Système Nerveux de l’Homme et des Vertébrés.
    Tome II. Maloine, Paris, 1911, P997
  2. Wang, Y., Gupta, A., Toledo-Rodriguez, M., Wu, C.Z., & Markram, H. (2002).
    Anatomical, physiological, molecular and circuit properties of nest basket cells in the developing somatosensory cortex. Cerebral cortex (New York, N.Y. : 1991), 12(4), 395-410. [PubMed:11884355] [WorldCat] [DOI]
  3. 3.0 3.1 Karube, F., Kubota, Y., & Kawaguchi, Y. (2004).
    Axon branching and synaptic bouton phenotypes in GABAergic nonpyramidal cell subtypes. The Journal of neuroscience : the official journal of the Society for Neuroscience, 24(12), 2853-65. [PubMed:15044524] [PMC] [WorldCat] [DOI]
  4. 4.0 4.1 Kawaguchi, Y., & Kubota, Y. (1993).
    Correlation of physiological subgroupings of nonpyramidal cells with parvalbumin- and calbindinD28k-immunoreactive neurons in layer V of rat frontal cortex. Journal of neurophysiology, 70(1), 387-96. [PubMed:8395585] [WorldCat] [DOI]
  5. Freund, T.F., & Katona, I. (2007).
    Perisomatic inhibition. Neuron, 56(1), 33-42. [PubMed:17920013] [WorldCat] [DOI]
  6. Hestrin, S., & Galarreta, M. (2005).
    Electrical synapses define networks of neocortical GABAergic neurons. Trends in neurosciences, 28(6), 304-9. [PubMed:15927686] [WorldCat] [DOI]

(執筆者:大塚 岳、川口泰雄 担当編集委員:渡辺 大)