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担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0080380 上口 裕之](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br>*:責任著者 | 担当編集委員:[http://researchmap.jp/read0080380 上口 裕之](独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)<br>*:責任著者 | ||
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==神経節とは== | ==神経節とは== | ||
[[ファイル:Ganglion Ohishi and Takada.jpg|サムネイル|<b>図. 神経節とそれを構成する細胞の分類</b>]] | |||
神経節とは、[[末梢神経系]]における[[神経細胞体]]の集合である。その機能により、[[感覚神経節]]と[[自律神経節]]に大別される。この項では[[脊椎動物]]の神経節を取り上げ、[[無脊椎動物]]の[[中枢神経系]]をなす神経節については扱わない。 | 神経節とは、[[末梢神経系]]における[[神経細胞体]]の集合である。その機能により、[[感覚神経節]]と[[自律神経節]]に大別される。この項では[[脊椎動物]]の神経節を取り上げ、[[無脊椎動物]]の[[中枢神経系]]をなす神経節については扱わない。 | ||
== 感覚神経節 == | == 感覚神経節 == | ||
感覚神経節には、末梢で感覚刺激を受容した場合に、その情報を中枢に伝達する[[感覚ニューロン]] | 感覚神経節には、末梢で感覚刺激を受容した場合に、その情報を中枢に伝達する[[感覚ニューロン]]の細胞体が集合している。感覚ニューロンは、形態学的には[[双極性ニューロン]]あるいは[[偽単極性ニューロン]]である。偽単極性ニューロンは、一本の[[軸索]]が細胞体から出てしばらくしたところで二本に分かれ、末梢端が[[樹状突起]]となる。感覚神経節には、[[三叉神経節]]、[[実神経節]]、[[前庭神経節]]、[[螺旋神経節]]、[[舌咽神経]]の[[上神経節]]と[[下神経節]]、[[迷走神経]]の[[上神経節]]と[[下神経節]]、[[脊髄後根神経節]]が含まれる。 | ||
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| [[三叉神経]]節||半月神経節||眼神経(三叉神経)||<u>側頭骨癌腰部</u>(正しいかご確認ください)の錐体の尖端部上||前頭部、眼(角膜、眼瞼)、鼻([[皮膚]]、鼻腔と副鼻腔の粘膜)の[[体性感覚]]||三叉神経主感覚核、三叉神経脊髄路核 | |||
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| | | 舌咽神経の上神経節||上舌咽神経節||舌咽神経||頸静脈孔の上部||口腔咽頭の部分、口蓋舌弓、舌の後方部、耳介の後ろの小領域、耳管、鼓室などの体性感覚||三叉神経脊髄路核 | ||
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== 自律神経節 == | == 自律神経節 == | ||
[[自律神経節]]内では、中枢神経系に細胞体がある[[節前ニューロン]]と、末梢の[[筋肉]]や[[腺]]などを支配する[[節後ニューロン]]が[[シナプス]]を形成している。自律神経節には[[交感神経系]]のものと、[[副交感神経系]]のものとがある。[[交感神経節前ニューロン]]、[[副交感神経節前ニューロン]]、[[副交感神経節後ニューロン]]および[[汗腺]]を支配する[[交感神経節後ニューロン]]では、[[アセチルコリン]]が神経伝達物質として用いられる。それ以外の交感神経節後ニューロンでは、[[ノルアドレナリン]]が神経伝達物質として用いられる。交感神経系の神経節には、[[交感神経幹神経節]]、[[自律神経叢神経節]]が含まれる。副交感神経系の神経節には、[[ | [[自律神経節]]内では、中枢神経系に細胞体がある[[節前ニューロン]]と、末梢の[[筋肉]]や[[腺]]などを支配する[[節後ニューロン]]が[[シナプス]]を形成している。自律神経節には[[交感神経系]]のものと、[[副交感神経系]]のものとがある。[[交感神経節前ニューロン]]、[[副交感神経節前ニューロン]]、[[副交感神経節後ニューロン]]および[[汗腺]]を支配する[[交感神経節後ニューロン]]では、[[アセチルコリン]]が神経伝達物質として用いられる。それ以外の交感神経節後ニューロンでは、[[ノルアドレナリン]]が神経伝達物質として用いられる。交感神経系の神経節には、[[交感神経幹神経節]]、[[自律神経叢神経節]]が含まれる。副交感神経系の神経節には、[[網様体神経節]]、[[翼口蓋神経節]]、[[顎下神経節]]、[[耳神経節]]と[[内臓]]を支配する[[副交感神経節]]([[終末神経節]]、[[壁内神経節]])が含まれる。 | ||
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| | | 毛様体神経節||||[[動眼神経]]||眼動脈の外側方で、[[視神経]]と外直筋の間||[[中脳]]の[[エディンガー・ウェストファル核]]及びその周辺部||副交感性:瞳孔収縮筋、毛様体筋 | ||
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| | | 顎下神経節||||中間神経(顔面神経)||舌骨舌筋の前縁付近で、舌神経と顎下腺の間||上唾液核||副交感性:顎下腺、舌下腺 | ||
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| | | 交感神経幹神経節||脊椎傍神経節。上頸神経節など、二十あまりの神経節がつながっている。星状神経節(頸胸神経節)は、下頸神経節と第1胸神経節が融合したもの。||脊髄神経||脊椎の両側を縦走||胸髄、腰髄の側角(Th1-L2)||交感性:胸部内臓、皮膚など | ||
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| | | 自律神経叢神経節||脊椎前神経節。腹腔神経節。||脊髄神経||自律神経叢中||胸髄、腰髄の側角(Th1-L2)||交感性:腹部内臓など | ||
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| | | 終末神経節、壁内神経節||副交感神経系の神経節||迷走神経、脊髄神経||自律神経叢中、内臓周囲、内臓壁内||迷走神経背側運動核、延髄の疑核、仙髄の側角(S2-S4)||副交感性:内臓、皮膚など | ||
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== 関連項目 == | == 関連項目 == | ||
* [[感覚神経節]] | * [[感覚神経節]] |
2015年6月27日 (土) 20:20時点における版
大石高生、*高田 昌彦
京都大学 霊長類研究所統合脳システム分野
DOI:10.14931/bsd.6048 原稿受付日:2015年6月27日 原稿完成日:2015年月日
担当編集委員:上口 裕之(独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター)
*:責任著者
英語名:ganglion 独:Ganglion 仏:ganglion
神経節とは、末梢神経系における神経細胞体の集合である。その機能により、感覚神経節と自律神経節に大別される。
神経節とは
神経節とは、末梢神経系における神経細胞体の集合である。その機能により、感覚神経節と自律神経節に大別される。この項では脊椎動物の神経節を取り上げ、無脊椎動物の中枢神経系をなす神経節については扱わない。
感覚神経節
感覚神経節には、末梢で感覚刺激を受容した場合に、その情報を中枢に伝達する感覚ニューロンの細胞体が集合している。感覚ニューロンは、形態学的には双極性ニューロンあるいは偽単極性ニューロンである。偽単極性ニューロンは、一本の軸索が細胞体から出てしばらくしたところで二本に分かれ、末梢端が樹状突起となる。感覚神経節には、三叉神経節、実神経節、前庭神経節、螺旋神経節、舌咽神経の上神経節と下神経節、迷走神経の上神経節と下神経節、脊髄後根神経節が含まれる。
神経節 | 別名 | 求心性神経 | 位置 | 感覚 | 中枢の終止 |
三叉神経節 | 半月神経節 | 眼神経(三叉神経) | 側頭骨癌腰部(正しいかご確認ください)の錐体の尖端部上 | 前頭部、眼(角膜、眼瞼)、鼻(皮膚、鼻腔と副鼻腔の粘膜)の体性感覚 | 三叉神経主感覚核、三叉神経脊髄路核 |
上顎神経(三叉神経) | 上顎部、上顎の歯、上唇の粘膜、頬粘膜、口蓋粘膜、上顎洞の体性感覚 | 三叉神経主感覚核、三叉神経脊髄路核 | |||
下顎神経(三叉神経) | 舌(前方2/3)、下顎部、下顎の歯、下唇の粘膜、頬粘膜の一部、外耳の一部の体性感覚 | 三叉神経主感覚核、三叉神経脊髄路核 | |||
膝神経節 | 顔面神経 | 顔面神経感の最初の彎曲部(顔面神経膝) | 外耳道と耳介の後ろの小領域の体性感覚 | 三叉神経主感覚核、三叉神経脊髄路核 | |
舌の前方2/3の味覚 | 孤束核の吻側部 | ||||
前庭神経節 | スカルパ神経節 | 前庭神経(内耳神経) | 蝸牛近傍 | 平衡覚 | 前庭神経核群、小脳片葉等 |
らせん神経節 | 蝸牛神経(内耳神経) | 蝸牛内部 | 聴覚 | 腹側蝸牛神経核、背側蝸牛神経核 | |
舌咽神経の上神経節 | 上舌咽神経節 | 舌咽神経 | 頸静脈孔の上部 | 口腔咽頭の部分、口蓋舌弓、舌の後方部、耳介の後ろの小領域、耳管、鼓室などの体性感覚 | 三叉神経脊髄路核 |
舌咽神経の下神経節 | 下舌咽神経節 | 舌咽神経 | 頸静脈孔の下部 | 口腔咽頭の部分、口蓋舌弓、舌の後方部、頸動脈小体などの内臟性感覚 | 孤束核の尾側部 |
舌の後方1/3の味覚 | 孤束核の吻側部 | ||||
迷走神経の上神経節 | 頸静脈神経節 | 迷走神経 | 頸静脈孔の上部 | 耳介の後ろ、外耳道後壁の体性感覚 | 三叉神経脊髄路核 |
迷走神経の下神経節 | 節状神経節 | 迷走神経 | 頸静脈孔の下部 | 喉頭蓋、喉頭部咽頭、声門下腔、胃腸管、呼吸系、心臓などの内臓性感覚 | 孤束核の尾側部 |
喉頭蓋の味覚 | 孤束核の吻側部 | ||||
脊髄後根神経節 | 脊髄神経節、後根神経節 | 脊髄後根神経 | 脊髄後根 | 皮膚および腱、筋の体性感覚 | 脊髄の後角、延髄後索核 |
自律神経節
自律神経節内では、中枢神経系に細胞体がある節前ニューロンと、末梢の筋肉や腺などを支配する節後ニューロンがシナプスを形成している。自律神経節には交感神経系のものと、副交感神経系のものとがある。交感神経節前ニューロン、副交感神経節前ニューロン、副交感神経節後ニューロンおよび汗腺を支配する交感神経節後ニューロンでは、アセチルコリンが神経伝達物質として用いられる。それ以外の交感神経節後ニューロンでは、ノルアドレナリンが神経伝達物質として用いられる。交感神経系の神経節には、交感神経幹神経節、自律神経叢神経節が含まれる。副交感神経系の神経節には、網様体神経節、翼口蓋神経節、顎下神経節、耳神経節と内臓を支配する副交感神経節(終末神経節、壁内神経節)が含まれる。
神経節 | 別名 | 脳神経・脊髄神経 | 位置 | 節前線維の起始部位 | 節後線維の支配 |
毛様体神経節 | 動眼神経 | 眼動脈の外側方で、視神経と外直筋の間 | 中脳のエディンガー・ウェストファル核及びその周辺部 | 副交感性:瞳孔収縮筋、毛様体筋 | |
翼口蓋神経節 | 中間神経(顔面神経) | 翼口蓋窩で、上顎神経の下内側 | 上唾液核 | 副交感性:涙腺 | |
顎下神経節 | 中間神経(顔面神経) | 舌骨舌筋の前縁付近で、舌神経と顎下腺の間 | 上唾液核 | 副交感性:顎下腺、舌下腺 | |
耳神経節 | 舌咽神経 | 卵円孔直下で、下顎神経の内側 | 下唾液核 | 副交感性:耳下腺 | |
交感神経幹神経節 | 脊椎傍神経節。上頸神経節など、二十あまりの神経節がつながっている。星状神経節(頸胸神経節)は、下頸神経節と第1胸神経節が融合したもの。 | 脊髄神経 | 脊椎の両側を縦走 | 胸髄、腰髄の側角(Th1-L2) | 交感性:胸部内臓、皮膚など |
自律神経叢神経節 | 脊椎前神経節。腹腔神経節。 | 脊髄神経 | 自律神経叢中 | 胸髄、腰髄の側角(Th1-L2) | 交感性:腹部内臓など |
終末神経節、壁内神経節 | 副交感神経系の神経節 | 迷走神経、脊髄神経 | 自律神経叢中、内臓周囲、内臓壁内 | 迷走神経背側運動核、延髄の疑核、仙髄の側角(S2-S4) | 副交感性:内臓、皮膚など |
関連項目
参考文献
- R.A. Harvey, C. Krebs, J. Weinberg, E. Akesson 著、監訳 白尾智明
イラストレイテッド神経科学
丸善出版、2013. - P. F. A. Martinez Martinez 著、水野 昇、岩堀修明、小西 昭 訳
神経解剖学
南光堂、1982. - 平澤興、岡本道雄 著
解剖学 2 脈管学・神経系 改訂第10版
金原出版、1969.