「SNAP-25」の版間の差分
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<font size="+1">[http://researchmap.jp/coco 高橋 正身]</font><br> | <font size="+1">[http://researchmap.jp/coco 高橋 正身]</font><br> | ||
''北里大学医学部''<br> | ''北里大学医学部''<br> | ||
DOI:<selfdoi /> | DOI:<selfdoi /> 原稿受付日:2016年1月29日 原稿完成日:2016年2月2日<br> | ||
担当編集委員:[http://researchmap.jp/michisukeyuzaki 柚崎 通介](慶應義塾大学 医学部生理学)<br> | 担当編集委員:[http://researchmap.jp/michisukeyuzaki 柚崎 通介](慶應義塾大学 医学部生理学)<br> | ||
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===リン酸化=== | ===リン酸化=== | ||
Ser187が[[プロテインキナーゼC]]([[PKC]])によってリン酸化されるとシンタキシンとの結合が強まり、Ca<sup>2+</sup>非依存的なシナプトタグミン1との結合が低下する<ref name=ref25><pubmed>8662851</pubmed></ref> <ref name=ref26><pubmed>17325194</pubmed></ref>。SNAP-25は[[cAMP依存性タンパク質キナーゼ]]([[PKA]])によってもThr138がリン酸化されるが、この場合にはシンタキシンおよびシナプトタグミン1との結合はいずれも抑制される<ref name=ref26 />。[[セロトニン]]などの[[ | Ser187が[[プロテインキナーゼC]]([[PKC]])によってリン酸化されるとシンタキシンとの結合が強まり、Ca<sup>2+</sup>非依存的なシナプトタグミン1との結合が低下する<ref name=ref25><pubmed>8662851</pubmed></ref> <ref name=ref26><pubmed>17325194</pubmed></ref>。SNAP-25は[[cAMP依存性タンパク質キナーゼ]]([[PKA]])によってもThr138がリン酸化されるが、この場合にはシンタキシンおよびシナプトタグミン1との結合はいずれも抑制される<ref name=ref26 />。[[セロトニン]]などの[[メタボトロピックレセプター]]が活性化されると、開口放出による神経伝達物質放出が抑制されることが知られている。活性化型[[Gタンパク質]]である[[Gβγ]]はSNAP-25と直接結合し、結合部位としてAsp99, Lys102, Arg198, Lys201を含む膜に近い部位と、Arg135、Arg136、Arg161、Arg142を含む2か所が同定され、セロトニン受容体の活性化に伴う放出抑制にはC末端に近いArg198, Lys201へのGβγの結合が関与することが示されている<ref name=ref27><pubmed>22962332</pubmed></ref>。 | ||
===ボツリヌス毒素による分解=== | ===ボツリヌス毒素による分解=== | ||
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SNAP-25はt-SNAREタンパク質として開口放出による[[神経伝達物質]]放出や水溶性[[ホルモン]]の分泌に不可欠な役割を果たしている<ref name=ref4 /> <ref name=ref15 /> <ref name=ref16 />。 | SNAP-25はt-SNAREタンパク質として開口放出による[[神経伝達物質]]放出や水溶性[[ホルモン]]の分泌に不可欠な役割を果たしている<ref name=ref4 /> <ref name=ref15 /> <ref name=ref16 />。 | ||
SNAREタンパク質による神経伝達物質放出はCa<sup>2+</sup>[[イオン]]によって誘発され、その場合のCa<sup>2+</sup>センサーとしてはシナプトタグミンが同定されている<ref name=ref28><pubmed>24183019</pubmed></ref>。シナプトタグミン1との結合部位としてAsp51, Glu52, Glu55<ref name=ref29><pubmed>16267273</pubmed></ref>およびAsp172, Asp179, Asp186, Asp193<ref name=ref30><pubmed>12062043</pubmed></ref>が同定されている。いずれも変異を加えると[[PC12細胞]]からの放出が抑制される。[[膜容量測定法|膜容量測定]]による時間分解能の良いアッセイではAsp51, Glu52, Glu55がCa<sup>2+</sup>依存性放出に必須でAsp172, Asp179, Asp186, Asp193はフュージョン誘発にあまり影響しないが、[[放出可能プール]](readily releasable pool)を少し減少させる ことが示されている<ref name=ref31><pubmed>24005294</pubmed></ref>。 | SNAREタンパク質による神経伝達物質放出はCa<sup>2+</sup>[[イオン]]によって誘発され、その場合のCa<sup>2+</sup>センサーとしてはシナプトタグミンが同定されている<ref name=ref28><pubmed>24183019</pubmed></ref>。シナプトタグミン1との結合部位としてAsp51, Glu52, Glu55<ref name=ref29><pubmed>16267273</pubmed></ref>およびAsp172, Asp179, Asp186, Asp193<ref name=ref30><pubmed>12062043</pubmed></ref>が同定されている。いずれも変異を加えると[[PC12細胞]]からの放出が抑制される。[[膜容量測定法|膜容量測定]]による時間分解能の良いアッセイではAsp51, Glu52, Glu55がCa<sup>2+</sup>依存性放出に必須でAsp172, Asp179, Asp186, Asp193はフュージョン誘発にあまり影響しないが、[[放出可能プール]](readily releasable pool)を少し減少させる ことが示されている<ref name=ref31><pubmed>24005294</pubmed></ref>。 | ||
SNARE複合体形成に際しては、構成する4本のへリックスの中でQcおよびQbの2本のへリックスを供出する。SNAP-25がBoNT/Eで切断を受けると神経伝達物質放出が見られなくなることや<ref name=ref5 />、SNAP-25の[[KOマウス]]ではCa<sup>2+</sup>誘発性の神経伝達物質放出が見られないこと<ref name=ref6 />、SNAP-25とsyntaxinを組み込んだリポゾームをVAMP-2を組み込んだ[[リポゾーム]]を混ぜるとリポゾーム同士の[[膜融合]]が起こることなどから<ref name=ref33><pubmed>25997356</pubmed></ref>、SNAP-25は開口放出による神経伝達物質放出に必須なタンパク質であると結論されている。SNAP-25は内分泌細胞にも発現し、水溶性ホルモン分泌に不可欠な役割を果たしている。 | SNARE複合体形成に際しては、構成する4本のへリックスの中でQcおよびQbの2本のへリックスを供出する。SNAP-25がBoNT/Eで切断を受けると神経伝達物質放出が見られなくなることや<ref name=ref5 />、SNAP-25の[[KOマウス]]ではCa<sup>2+</sup>誘発性の神経伝達物質放出が見られないこと<ref name=ref6 />、SNAP-25とsyntaxinを組み込んだリポゾームをVAMP-2を組み込んだ[[リポゾーム]]を混ぜるとリポゾーム同士の[[膜融合]]が起こることなどから<ref name=ref33><pubmed>25997356</pubmed></ref>、SNAP-25は開口放出による神経伝達物質放出に必須なタンパク質であると結論されている。SNAP-25は内分泌細胞にも発現し、水溶性ホルモン分泌に不可欠な役割を果たしている。 | ||