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=== その他 === | === その他 === | ||
グレリンは中脳[[腹側被蓋野]](VTA)に存在するドーパミン作動性ニューロンを活性化し、[[側坐核]](nucleus accumbens, NAc)へのドーパミン放出を促進する。この作用は[[快感]]や[[報酬行動]]と密接に関係し、摂食行動の動機づけに関与する。空腹時に食物をより魅力的に感じるのは、こうした神経機構に基づくと考えられている<ref name=Abizaid2006><pubmed>17060947</pubmed></ref>。また、グレリンはエネルギー摂取の生理的必要性と報酬系の活動を結びつけ、高カロリー食や甘味への嗜好、過食傾向の形成にも関与する可能性がある | |||
<ref name=Abizaid2006><pubmed>17060947</pubmed></ref> | <ref name=Dickson2011><pubmed>21354264</pubmed></ref>。さらに、ドーパミン系を介した報酬処理への関与から、グレリンはアルコールや薬物など依存性物質に対する報酬反応にも影響を及ぼすとされる。動物実験では、グレリン受容体の遮断により[[アルコール]]や薬物への応答が減弱することが報告されている。ドーパミン系が快楽やストレス応答に関与することから、グレリンは気分調節や抗ストレス作用にも寄与する可能性がある。さらに海馬においては学習や記憶にも影響を与えることが報告されている<ref name=Diano2006><pubmed>16491079</pubmed></ref><ref name=Carlini2002><pubmed>12470640</pubmed></ref>。血中のグレリンが海馬に作用し、[[シナプス]]形成や[[長期増強]]([[LTP]])を促進することで、[[空間学習]]記憶の向上に寄与する可能性があると報告されている。グレリン欠損マウスでは[[CA1]]領域のシナプス数減少と記憶障害が見られ、グレリン投与によりこれらの障害が回復することが示されている。ただし、血中グレリンが海馬に直接到達するかどうかは不明であり、迷走神経を介した間接的経路の関与も示唆されている。 | ||
<ref name=Dickson2011><pubmed>21354264</pubmed></ref> | |||
<ref name=Diano2006><pubmed>16491079</pubmed></ref> | |||
<ref name=Carlini2002><pubmed>12470640</pubmed></ref> | |||
== 疾患との関わり == | == 疾患との関わり == | ||