前脳はヒトの脳のもっとも大きな部分であり、中枢神経系の再前端領域に位置する。発生過程では脳になる神経間域は前脳 (forebrainもしくはprosencephalon)、中脳 (midbrain, mesencephalon)、後脳 (hindbrainもしくはrhombencephalon)と言った3領域に区分される。前脳域は5脳胞期に終脳 (telencephalon)と間脳 (diencephalon)に分かれる。ちなみに終脳は大脳と呼ばれることがあるが、記述によっては間脳を含んだ脳部位を大脳とよぶ場合がある。大脳は英語でcerebrumであるが、中脳水道は英語でcerebral aqueductと言うが中脳の構造である。同様に大脳脚 (cerebral peduncle)も中脳の構造であるが、これは大脳の入出力線維を含んでいる。
終脳(もしくは大脳)
哺乳類の脳では表面から脳の深部にむかって大脳皮質、大脳白質、大脳基底核となっている。
大脳皮質は層構造を呈する神経細胞から構成されている。特に発生過程で6層構造をとる領域を新皮質とされるが、成熟した新皮質の全ての領野で6層がみられる訳ではない。
大脳白質は、大脳への入出力線維を含む交連繊維(脳梁や前交連)。
扁桃体や海馬は大脳皮質の一部であり、終脳に含まれる。扁桃体や海馬を含む大脳底部の脳幹を囲む様な領域を辺縁皮質とよぶ。辺縁系 (limbic system)(もしくは大脳辺縁系)と言う場合には海馬、海馬傍回、帯状回、梨状葉皮質、扁桃体に加え、中隔核、乳頭体、視床前核、嗅球といった大脳皮質外の構造、神経核と脳弓や嗅条の様なそれらをつなぐ神経線維も含まれる。
間脳
視床、視床上部、視床下部に分けられ、これらは発生過程で背腹軸にそった3領域(蓋板→視床上部、翼板→視床、基板→視床下部)から分化する。
視床下部は自律神経系と内分泌系の最高中枢であり、機能が異なる細かい神経核が存在する。
内包は視床と大脳基底核の間にある白質部分で間脳に含まれる。大脳皮質への入出力繊維が通過する。内包前脚側は大脳基底核のレンズ核と尾状核を分ける。内包のくの字部分は内包膝と言う。内包後脚側は視床とレンズ核を分ける。
(執筆者:勝山裕 担当編集者:大隅典子)