「低親和性神経成長因子受容体」の版間の差分

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=== 細胞生存 ===
=== 細胞生存 ===


 神経栄養因子の結合により、p75の下流で活性化される分子として、NF-κBも報告されている。p75を介したNF-κBの活性化は、神経細胞生存を促す。NGFの結合により、p75とそのアダプタータンパク質である[[Traf 6]]が結合する。[[Interleukin-1 receptor-associated kinase]] ([[IRAK]])は、通常細胞質に局在するが、NGF刺激により、[[MyD88]]と結合し、受容体複合体にリクルートされる。MyD88は受容体複合体から解離し、IRAKはリン酸化され、活性化される。そして、[[atypical protein kinase C]] ([[aPKC]])、[[p62]]がリクルートされる。さらに、aPKCの基質である[[IκB kinase]] ([[IKK]])が活性化され、IκBがリン酸化を受けて分解され、NF-κBが核内で転写活性を示す <ref><pubmed> 16939974 </pubmed></ref>。一方で、NGF刺激により、TNF存在下におけるNF-κBの活性は増強するが、生理的な条件下では、NGFの結合によりNF-κBの活性化は誘導されないとする報告も存在し、議論の余地が残っている。
 神経栄養因子の結合により、p75の下流で活性化される分子として、[[NF-κB]]も報告されている。p75を介したNF-κBの活性化は、神経細胞生存を促す。NGFの結合により、p75とそのアダプタータンパク質である[[Traf 6]]が結合する。[[Interleukin-1 receptor-associated kinase]] ([[IRAK]])は、通常細胞質に局在するが、NGF刺激により、[[MyD88]]と結合し、受容体複合体にリクルートされる。MyD88は受容体複合体から解離し、IRAKはリン酸化され、活性化される。そして、[[非典型的タンパク質キナーゼC]] ([[atypical protein kinase C]], [[aPKC]])、[[p62]]がリクルートされる。さらに、aPKCの基質である[[IκBキナーゼ]] ([[IKK]])が活性化され、IκBがリン酸化を受けて分解され、NF-κBが核内で転写活性を示す <ref><pubmed> 16939974 </pubmed></ref>。一方で、NGF刺激により、TNF存在下におけるNF-κBの活性は増強するが、生理的な条件下では、NGFの結合によりNF-κBの活性化は誘導されないとする報告も存在し、議論の余地が残っている。


 また、p75がTrk受容体を正に制御することが報告されている。内在性にTrkAとp75を発現しているPC12細胞において、NGF存在下、p75依存性にTrkのアダプタータンパク質である[[Shc]]のリン酸化が亢進することが示された。このとき、Trkのリン酸化その下流シグナルを伝達する[[Akt]]のリン酸化が亢進していることから、p75はShcと結合し、Trk経路のシグナルを増強すると考えられている <ref><pubmed> 15056278 </pubmed></ref>。  
 また、p75がTrk受容体を正に制御することが報告されている。内在性にTrkAとp75を発現しているPC12細胞において、NGF存在下、p75依存性にTrkのアダプタータンパク質である[[Shc]]のリン酸化が亢進することが示された。このとき、Trkのリン酸化その下流シグナルを伝達する[[Akt]]のリン酸化が亢進していることから、p75はShcと結合し、Trk経路のシグナルを増強すると考えられている <ref><pubmed> 15056278 </pubmed></ref>。


=== 軸索伸長の制御  ===
=== 軸索伸長の制御  ===