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細 (→薬物療法) |
細 (→強迫性障害の診断と鑑別診断) |
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強迫性障害は[[不安障害]]の一型であり、無意味ないし不適切、侵入的と判断され、無視やコントロールを試みても絶えず心を占める思考や衝動、イメージなどの強迫観念と、主には観念に伴い高まる不安を緩和、打ち消すことを目的とし、そのばかばかしさや、過剰であることを自ら認識し止めたいと思いつつも、駆り立てられる様に行う行為、すなわち[[強迫行為]]からなる。具体的には、トイレの度に「汚れ」を強く感じ、それをまき散らす不安から執拗に手洗いを続けたり、泥棒や火事の心配から、外出前に施錠やガス栓の確認を、切りがなく繰り返したりする。現在のところ、我が国の一般人口中におけるOCD患者数や[[有病率]]の確かなデータは見られない。しかし欧米と同程度であれば1-2%程度、すなわち50-100人に1人、日本の総人口に換算すれば、100万人強のOCD患者の存在が推定される<ref name="ref1">'''松永寿人'''<br>強迫性障害の疫学と治療<br>''精神療法'' 35(6); 701-711, 2009.</ref>。 | 強迫性障害は[[不安障害]]の一型であり、無意味ないし不適切、侵入的と判断され、無視やコントロールを試みても絶えず心を占める思考や衝動、イメージなどの強迫観念と、主には観念に伴い高まる不安を緩和、打ち消すことを目的とし、そのばかばかしさや、過剰であることを自ら認識し止めたいと思いつつも、駆り立てられる様に行う行為、すなわち[[強迫行為]]からなる。具体的には、トイレの度に「汚れ」を強く感じ、それをまき散らす不安から執拗に手洗いを続けたり、泥棒や火事の心配から、外出前に施錠やガス栓の確認を、切りがなく繰り返したりする。現在のところ、我が国の一般人口中におけるOCD患者数や[[有病率]]の確かなデータは見られない。しかし欧米と同程度であれば1-2%程度、すなわち50-100人に1人、日本の総人口に換算すれば、100万人強のOCD患者の存在が推定される<ref name="ref1">'''松永寿人'''<br>強迫性障害の疫学と治療<br>''精神療法'' 35(6); 701-711, 2009.</ref>。 | ||
== | ==診断と鑑別診断 === | ||
[[wikipedia:ja:アメリカ精神医学会|アメリカ精神医学会]]による[[DSM-IV]]<ref name="ref2">'''American Psychiatric Association'''<br>Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders. (4rd ed.) ''APA'', Washington, DC,1994.</ref>に従ってOCDを診断する場合、以下の点がポイントとなる。 | [[wikipedia:ja:アメリカ精神医学会|アメリカ精神医学会]]による[[DSM-IV]]<ref name="ref2">'''American Psychiatric Association'''<br>Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders. (4rd ed.) ''APA'', Washington, DC,1994.</ref>に従ってOCDを診断する場合、以下の点がポイントとなる。 | ||
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反復的または侵入的な思考やイメージ、繰り返し行動は、他の精神障害でもしばしば見られるが、内容がその障害の特異的病理に限定的な場合、OCDとは診断されない(体重やカロリーへの執着([[摂食障害]])、恐怖する対象や状況へのとらわれ([[恐怖症]])など)。[[大うつ病]]では、[[抑うつ気分]]に一貫した側面として、家計など現実的問題を過剰に心配し、好ましくない状況や罪悪感などに執拗にとらわれる場合がある。しかし自我違和感や不合理性の洞察を伴わず、意欲・行為障害など、より多彩な病像を呈す。 | 反復的または侵入的な思考やイメージ、繰り返し行動は、他の精神障害でもしばしば見られるが、内容がその障害の特異的病理に限定的な場合、OCDとは診断されない(体重やカロリーへの執着([[摂食障害]])、恐怖する対象や状況へのとらわれ([[恐怖症]])など)。[[大うつ病]]では、[[抑うつ気分]]に一貫した側面として、家計など現実的問題を過剰に心配し、好ましくない状況や罪悪感などに執拗にとらわれる場合がある。しかし自我違和感や不合理性の洞察を伴わず、意欲・行為障害など、より多彩な病像を呈す。 | ||
また[[統合失調症]]、[[幻聴]]や[[思考吹入]]などは、自らの心の産物ではなく、外部からの体験と認識される点で、また妄想的思考や奇異な[[常同行動]]は、通常[[自我異和性]]に乏しく現実的検討が加えられていない点で、それぞれ強迫症状と区別される。[[広汎性発達障害]]においても、限局的対象、ないし習慣、儀式への極端な執着や、常同的、反復的行動が認められる。しかしこれらは自らの興味や行動様式への頑なこだわりによるもので通常不安を伴わず、コミュニケーション障害なども見られる。 | また[[統合失調症]]、[[幻聴]]や[[思考吹入]]などは、自らの心の産物ではなく、外部からの体験と認識される点で、また妄想的思考や奇異な[[常同行動]]は、通常[[自我異和性]]に乏しく現実的検討が加えられていない点で、それぞれ強迫症状と区別される。[[広汎性発達障害]]においても、限局的対象、ないし習慣、儀式への極端な執着や、常同的、反復的行動が認められる。しかしこれらは自らの興味や行動様式への頑なこだわりによるもので通常不安を伴わず、コミュニケーション障害なども見られる。 | ||
=== 強迫症状の内容、臨床像 === | === 強迫症状の内容、臨床像 === |