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一方APPにはAβ配列の16番目で[[αセクレターゼ]]による切断を受ける代謝経路も存在する。この結果生じたC末端断片もγセクレターゼによる切断を受けてp3と呼ばれる短い断片が分泌される。この場合はAβ産生には至らないため、[[アルツハイマー病]]発症に対して防御的な経路と考えられる。 | 一方APPにはAβ配列の16番目で[[αセクレターゼ]]による切断を受ける代謝経路も存在する。この結果生じたC末端断片もγセクレターゼによる切断を受けてp3と呼ばれる短い断片が分泌される。この場合はAβ産生には至らないため、[[アルツハイマー病]]発症に対して防御的な経路と考えられる。 | ||
APPのα、β切断によって細胞外領域が分泌されるが、このような現象は[[エクトドメインシェディング]]とも呼ばれ、様々な膜タンパク質において観察されている<ref><pubmed> 22991436 </pubmed></ref>。そしてシェディングによって生じる膜結合型の断片がさらに引き続いて膜内配列におけるγ切断をうけるI型膜貫通蛋白も多く知られており、APPファミリー分子の他にも[[Notch]]や[[カドヘリン]]、[[CD44]]、[[ニューレグリン]]、[[ErbB4]]、[[アルカデイン]]、[[ | APPのα、β切断によって細胞外領域が分泌されるが、このような現象は[[エクトドメインシェディング]]とも呼ばれ、様々な膜タンパク質において観察されている<ref><pubmed> 22991436 </pubmed></ref>。そしてシェディングによって生じる膜結合型の断片がさらに引き続いて膜内配列におけるγ切断をうけるI型膜貫通蛋白も多く知られており、APPファミリー分子の他にも[[Notch]]や[[カドヘリン]]、[[CD44]]、[[ニューレグリン]]、[[ErbB4]]、[[アルカデイン]]、[[ニューロリギン]]などがその切断を介して神経・グリア細胞の分化、[[神経可塑性]]や神経生存性に重要な役割を果たすことが示されている<ref><pubmed> 16630834 </pubmed></ref><ref><pubmed> 19038214 </pubmed></ref><ref><pubmed> 21865451 </pubmed></ref><ref><pubmed> 21982365 </pubmed></ref><ref><pubmed> 23083742 </pubmed></ref>。また一部の基質ではAβ様分泌ペプチドの産生が確認されている<ref><pubmed> 20049724 </pubmed></ref><ref><pubmed> 21681798 </pubmed></ref>。しかしその生理的機能は定かではなく、またAβ以外の分子が凝集能を示すことは報告されていない。また多くの場合、シェディングの役割は細胞表面膜に存在する基質の量を低下させることに寄与している。したがってAβが産生されるプロセスは比較的普遍的な膜タンパク質代謝の一つであり<ref><pubmed> 15173829 </pubmed></ref>、シェディングによって生じた膜結合型断片を分解する過程で生じた産物とも考えられる。 | ||
一方、γセクレターゼ切断によって放出される細胞質内領域が何らかの役割を果たしていることが多い。特に膜受容体型転写因子であるNotchは、近接する細胞に発現しているリガンドの結合を契機として[[ADAM10]]によりシェディングを受け、引き続きγセクレターゼによって転写活性化ドメインを含む細胞質内領域を放出し、遺伝子発現を調節している<ref><pubmed> 23028119 </pubmed></ref><ref><pubmed> 24099003 </pubmed></ref>。 | 一方、γセクレターゼ切断によって放出される細胞質内領域が何らかの役割を果たしていることが多い。特に膜受容体型転写因子であるNotchは、近接する細胞に発現しているリガンドの結合を契機として[[ADAM10]]によりシェディングを受け、引き続きγセクレターゼによって転写活性化ドメインを含む細胞質内領域を放出し、遺伝子発現を調節している<ref><pubmed> 23028119 </pubmed></ref><ref><pubmed> 24099003 </pubmed></ref>。 |