「縫線核」の版間の差分

サイズ変更なし 、 2022年12月1日 (木)
 
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 縫線核細胞の前頭への投射線維の形態学的特徴や投射先はその起源核によって異なる<ref name=ref4><pubmed>16157378</pubmed></ref>。背側縫線核からの投射線維は小さな結節状構造バリコシティー (varicosity)を持つ細い軸索が広汎に微細に分岐し、小型の多形性のシナプスボタンを有し、[[大脳基底核]]や[[前頭皮質]]、外側[[中隔核]]、[[扁桃体]]、腹側[[海馬]]に投射する。内側縫線核からの投射線維は比較的太く結節状構造は有さず、分岐は短く細く、大きい球形のシナプスボタンを有し、背側海馬や内側中隔核、視床下部に投射する。この形態学的差異は[[アンフェタミン]]誘導体である神経毒 [[パラクロロアンフェタミン]] ([[parachloroamphetamine]], [[PCA]]) や[[3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン]] ([[3,4-methylenedioxymethamphetamine]], [[MDMA]], 通称‘ecstasy’)に対する脆弱性とも関連がある可能性があり、投与後、内側縫線核からの投射線維は保存されている一方、背側縫線核からの投射線維は障害される<ref name=ref5><pubmed>3323265</pubmed></ref>。神経毒への感受性の差は、投射先の[[セロトニントランスポーター]] ([[SERT]])の分布の差とも関連があり、背側縫線核から微細な投射を受ける[[側坐核]]のほとんどの部位はセロトニントランスポーター濃度が高く、内側縫線核から球状のシナプス投射を受ける尾側の[[側坐核]]shellではセロトニントランスポーター濃度が非常に低い。
 縫線核細胞の前頭への投射線維の形態学的特徴や投射先はその起源核によって異なる<ref name=ref4><pubmed>16157378</pubmed></ref>。背側縫線核からの投射線維は小さな結節状構造バリコシティー (varicosity)を持つ細い軸索が広汎に微細に分岐し、小型の多形性のシナプスボタンを有し、[[大脳基底核]]や[[前頭皮質]]、外側[[中隔核]]、[[扁桃体]]、腹側[[海馬]]に投射する。内側縫線核からの投射線維は比較的太く結節状構造は有さず、分岐は短く細く、大きい球形のシナプスボタンを有し、背側海馬や内側中隔核、視床下部に投射する。この形態学的差異は[[アンフェタミン]]誘導体である神経毒 [[パラクロロアンフェタミン]] ([[parachloroamphetamine]], [[PCA]]) や[[3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン]] ([[3,4-methylenedioxymethamphetamine]], [[MDMA]], 通称‘ecstasy’)に対する脆弱性とも関連がある可能性があり、投与後、内側縫線核からの投射線維は保存されている一方、背側縫線核からの投射線維は障害される<ref name=ref5><pubmed>3323265</pubmed></ref>。神経毒への感受性の差は、投射先の[[セロトニントランスポーター]] ([[SERT]])の分布の差とも関連があり、背側縫線核から微細な投射を受ける[[側坐核]]のほとんどの部位はセロトニントランスポーター濃度が高く、内側縫線核から球状のシナプス投射を受ける尾側の[[側坐核]]shellではセロトニントランスポーター濃度が非常に低い。


 一つの縫線核ニューロンからは複数の領域に枝分かれして投射するいわゆる側枝投射 (collateral projection)が報告されている。例えば、[[線条体]]と[[黒質]]、[[中隔野]]と[[嗅内野]]、[[前頭葉]]と側坐核、扁桃体中心核と視床下部[[室傍核]]、[[外側膝状体]]と[[上丘]]などがあるがその機能的意義は不明である。
 一つの縫線核ニューロンからは複数の領域に枝分かれして投射するいわゆる側枝投射 (collateral projection)が報告されている。例えば、[[線条体]]と[[黒質]]、[[中隔野]]と[[嗅内野]]、[[前頭葉]]と側坐核、扁桃体中心核と[[視床下部室傍核]]、[[外側膝状体]]と[[上丘]]などがあるがその機能的意義は不明である。


==== 背側縫線核からの投射 ====
==== 背側縫線核からの投射 ====