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==== パーキンソン病 ==== | ==== パーキンソン病 ==== | ||
[[パーキンソン病]]において、ニーマンピック病のようなリソソームの脂質蓄積病との関連が示唆されており、リソソームの機能不全がα-シヌクレイン(α-Syn)の蓄積を引き起こすことが示唆されているが、発症機序は現段階では不明である<ref name=Signorelli2021><pubmed>34572524</pubmed></ref>。 | [[パーキンソン病]]において、ニーマンピック病のようなリソソームの脂質蓄積病との関連が示唆されており、リソソームの機能不全がα-シヌクレイン(α-Syn)の蓄積を引き起こすことが示唆されているが、発症機序は現段階では不明である<ref name=Signorelli2021><pubmed>34572524</pubmed></ref>。 | ||
==== | ==== 骨疾患==== | ||
SMS2は骨組織で高い発現レベルを示し、そのヘテロ接合変異が、常染色体顕性遺伝疾患、[[ | SMS2は骨組織で高い発現レベルを示し、そのヘテロ接合変異が、常染色体顕性遺伝疾患、[[骨脆弱性を伴う頭蓋骨のドーナツ状病変]]([[calvarial doughnut lesions with bone fragility]]; [[CDL]]: OMIM #126550)の原因変異として同定されている<ref name=Pekkinen2019><pubmed>30779713</pubmed></ref>。シビアな変異I62SやM64Rをもつ病原性SMS2は小胞体から出ることができず、小胞体でスフィンゴミエリンを合成/蓄積することで、細胞内の脂質プロファイルに変化を生じる<ref name=Sokoya2022><pubmed>36102623</pubmed></ref>。 | ||
=== ウイルス感染症 === | === ウイルス感染症 === | ||
ヒト免疫不全症候群ウイルス1型 (HIV-1, human immunodeficiency virus type-I)は、エンベロープウイルスであり、複製されたウイルスは、感染細胞の細胞膜で形成、出芽し、細胞外へ放出される。ウイルスエンベロープのリピドミクス解析では<ref name=Aloia1993><pubmed>8389472</pubmed></ref><ref name=Brugger2006><pubmed>16481622</pubmed></ref><ref name=Chan2008><pubmed>18799574</pubmed></ref><ref name=Lorizate2013><pubmed>23279151</pubmed></ref><ref name=Mucksch2019><pubmed>31776383</pubmed></ref>、スフィンゴミエリンが感染細胞の細胞膜に比べ濃縮されていることが報告されている<ref name=Chan2008><pubmed>18799574</pubmed></ref><ref name=Lorizate2013><pubmed>23279151</pubmed></ref>114]。これらの結果は、スフィンゴミエリン、コレステロールに特異的に結合するタンパク質(脂質プローブ)と先端顕微鏡技術の使用によって確認され、スフィンゴミエリン やコレステロールが細胞膜上のウイルス形成部位に濃縮されることが観察されている<ref name=Favard2019><pubmed>31616784</pubmed></ref><ref name=Sengupta2019><pubmed>30936472</pubmed></ref><ref name=Tomishige2023><pubmed>37990014</pubmed></ref>。セラミド合成酵素阻害剤fumonisin B1処理は、産生されたウイルスの感染性を減少する<ref name=Brugger2006><pubmed>16481622</pubmed></ref>。宿主由来の中性スフィンゴミエリナーゼ(nSMase2)がウイルスに取り込まれ、その活性がウイルス成熟に重要であることが報告された<ref name=Waheed2023><pubmed>37406093</pubmed></ref><ref name=Yoo2023><pubmed>37406092</pubmed></ref>。nSMase2の薬理的、遺伝的阻害は、ウイルスプロテアーゼ活性低下によるウイルス成熟を阻害し、ウイルスの感染性を低下させる<ref name=Waheed2023><pubmed>37406093</pubmed></ref><ref name=Yoo2023><pubmed>37406092</pubmed></ref>。 | ヒト免疫不全症候群ウイルス1型 (HIV-1, human immunodeficiency virus type-I)は、エンベロープウイルスであり、複製されたウイルスは、感染細胞の細胞膜で形成、出芽し、細胞外へ放出される。ウイルスエンベロープのリピドミクス解析では<ref name=Aloia1993><pubmed>8389472</pubmed></ref><ref name=Brugger2006><pubmed>16481622</pubmed></ref><ref name=Chan2008><pubmed>18799574</pubmed></ref><ref name=Lorizate2013><pubmed>23279151</pubmed></ref><ref name=Mucksch2019><pubmed>31776383</pubmed></ref>、スフィンゴミエリンが感染細胞の細胞膜に比べ濃縮されていることが報告されている<ref name=Chan2008><pubmed>18799574</pubmed></ref><ref name=Lorizate2013><pubmed>23279151</pubmed></ref>114]。これらの結果は、スフィンゴミエリン、コレステロールに特異的に結合するタンパク質(脂質プローブ)と先端顕微鏡技術の使用によって確認され、スフィンゴミエリン やコレステロールが細胞膜上のウイルス形成部位に濃縮されることが観察されている<ref name=Favard2019><pubmed>31616784</pubmed></ref><ref name=Sengupta2019><pubmed>30936472</pubmed></ref><ref name=Tomishige2023><pubmed>37990014</pubmed></ref>。セラミド合成酵素阻害剤fumonisin B1処理は、産生されたウイルスの感染性を減少する<ref name=Brugger2006><pubmed>16481622</pubmed></ref>。宿主由来の中性スフィンゴミエリナーゼ(nSMase2)がウイルスに取り込まれ、その活性がウイルス成熟に重要であることが報告された<ref name=Waheed2023><pubmed>37406093</pubmed></ref><ref name=Yoo2023><pubmed>37406092</pubmed></ref>。nSMase2の薬理的、遺伝的阻害は、ウイルスプロテアーゼ活性低下によるウイルス成熟を阻害し、ウイルスの感染性を低下させる<ref name=Waheed2023><pubmed>37406093</pubmed></ref><ref name=Yoo2023><pubmed>37406092</pubmed></ref>。 | ||